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30. 曲がり角で明け星ひとつ (前編)
2008.09.10 Wed
きっと、こんなんじゃ、ダメだ。
…………でも。
*****
「秋は、休みがいっぱいあって、いいね。連休もあるし」
初秋の冷たい空気の中。
隣を歩く哲也が、突然そんなことを言い出した。
「別にお前、連休とか関係ないだろ? 日曜日、元から仕事だろ?」
「でも、何かいいじゃん。休みだぁーってなるじゃんか!」
「だーかーら、お前は休みじゃないだろ」
言えば、哲也は子供みたいに頬を膨らまして、「でもいいの!」て言う。
まぁ俺はカレンダーどおり休みだし、もっと言えば土曜日もお休みですから。満喫しますけどね。
「寒いなぁ」
「うん、すっげぇ寒い」
昼間、晴れたからな。今になると、すげぇ空気冷たい。
「…………ゴメンな、こんな時間に」
手がかじかむんか、しきりに手をさすってた哲也が、小さい声で言った。
…………こんな時間。
まぁ、ね。
もうすぐ4時ですわ―――――明け方の。
明日……いや、今日は仕事休みだからいいんだけど。
哲也からの電話は、3時ちょっと過ぎに鳴った…………5日ぶりの電話。
そんな時間、もちろん俺は寝てたからすぐに出れなくて、1回目のは出そびれた。
寝惚けてボーっとしてたら、すぐに2回目が鳴って、慌てて電話に出た。
電話越しの哲也はグズグズ鼻を啜ってて、どうやら……というか、間違いなく泣いてるようで。
泣きながら哲也が『会いたい』って言ってきたから、『おいで』って言ったけど、雨降ってる音がして―――――嫌な予感。
『傘持ってない』
その言葉が決定打。
哲也の居場所を聞き出して、俺は家を出る。それが3時半。
啓ちゃんが聞いたら、『どこまでお人好しなんだ』て、絶対突っ込まれる。
「ふふ…」
「え? 何急に笑ってんの、貴久」
想像が付きすぎる啓ちゃんを思ったら、思わず吹き出してしまって。
途端に、『キモイ』とか言いながら、哲也が眉を顰めた。
「何でもない。それよりちゃんと傘入れよ。わざわざ迎え来てんのに、濡れて風邪引いたら承知しねぇぞ」
「……ん、」
哲也は素直に、半歩ほど俺のほうに寄った。
…………はい、そうです。相合傘です。
いや、別に変な意味で、傘を1本しか持ってかなかったわけじゃないんです。もとから俺ん家に傘が1本しかないから、しょうがないんです。
幸いにも哲也は小さなカバン1つしか持ってないから、これ以上濡れる心配がない。他の荷物は店に置いてあるとかで。
「もともと……そんなに置く場所もなかったし」
荷物は? て聞いたら、そんな風に言われて。どうやらずっと、あの大荷物は哲也が勤めてる店に置いていたらしい。
…………でも。
*****
「秋は、休みがいっぱいあって、いいね。連休もあるし」
初秋の冷たい空気の中。
隣を歩く哲也が、突然そんなことを言い出した。
「別にお前、連休とか関係ないだろ? 日曜日、元から仕事だろ?」
「でも、何かいいじゃん。休みだぁーってなるじゃんか!」
「だーかーら、お前は休みじゃないだろ」
言えば、哲也は子供みたいに頬を膨らまして、「でもいいの!」て言う。
まぁ俺はカレンダーどおり休みだし、もっと言えば土曜日もお休みですから。満喫しますけどね。
「寒いなぁ」
「うん、すっげぇ寒い」
昼間、晴れたからな。今になると、すげぇ空気冷たい。
「…………ゴメンな、こんな時間に」
手がかじかむんか、しきりに手をさすってた哲也が、小さい声で言った。
…………こんな時間。
まぁ、ね。
もうすぐ4時ですわ―――――明け方の。
明日……いや、今日は仕事休みだからいいんだけど。
哲也からの電話は、3時ちょっと過ぎに鳴った…………5日ぶりの電話。
そんな時間、もちろん俺は寝てたからすぐに出れなくて、1回目のは出そびれた。
寝惚けてボーっとしてたら、すぐに2回目が鳴って、慌てて電話に出た。
電話越しの哲也はグズグズ鼻を啜ってて、どうやら……というか、間違いなく泣いてるようで。
泣きながら哲也が『会いたい』って言ってきたから、『おいで』って言ったけど、雨降ってる音がして―――――嫌な予感。
『傘持ってない』
その言葉が決定打。
哲也の居場所を聞き出して、俺は家を出る。それが3時半。
啓ちゃんが聞いたら、『どこまでお人好しなんだ』て、絶対突っ込まれる。
「ふふ…」
「え? 何急に笑ってんの、貴久」
想像が付きすぎる啓ちゃんを思ったら、思わず吹き出してしまって。
途端に、『キモイ』とか言いながら、哲也が眉を顰めた。
「何でもない。それよりちゃんと傘入れよ。わざわざ迎え来てんのに、濡れて風邪引いたら承知しねぇぞ」
「……ん、」
哲也は素直に、半歩ほど俺のほうに寄った。
…………はい、そうです。相合傘です。
いや、別に変な意味で、傘を1本しか持ってかなかったわけじゃないんです。もとから俺ん家に傘が1本しかないから、しょうがないんです。
幸いにも哲也は小さなカバン1つしか持ってないから、これ以上濡れる心配がない。他の荷物は店に置いてあるとかで。
「もともと……そんなに置く場所もなかったし」
荷物は? て聞いたら、そんな風に言われて。どうやらずっと、あの大荷物は哲也が勤めてる店に置いていたらしい。
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柚子季@携帯 ⇒
うっきゃ~♪
哲ちゃん、貴久のとこに戻って来たのね?そうなのね!?
わーいヽ(´▽`)/わーい
昨日は本当繋がってましたね♪ウフフ(≧ω≦)
哲ちゃん、貴久のとこに戻って来たのね?そうなのね!?
わーいヽ(´▽`)/わーい
昨日は本当繋がってましたね♪ウフフ(≧ω≦)
りり ⇒ 出てきたのね?お帰り~∩(^o^)∩ばんざ~い
小さなカバン一個持って…こんなとこまでいじらしい哲タン。かわいい…。
今度こそビシッと決めるのよ貴久くん!!
そして恋人同士に…フフフフフ…。
もうすぐ完結しちゃうのか…。
ふたりの幸せ、応援してるからね……。
不器用さが可愛いふたり大好きなんで、やっぱり寂しいです。
いつも朝から優しい気持ちをいただいています♪
今度こそビシッと決めるのよ貴久くん!!
そして恋人同士に…フフフフフ…。
もうすぐ完結しちゃうのか…。
ふたりの幸せ、応援してるからね……。
不器用さが可愛いふたり大好きなんで、やっぱり寂しいです。
いつも朝から優しい気持ちをいただいています♪
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
如月久美子 ⇒ >りりさん
確かにカバン1個……いじらしい…。
というか、お店の広さを特に意識してなかったけど、そんなに置けたのかな…(今さら)
不器用で鈍感同士の2人も、そろそろ完結間近です~。
最後まで応援よろしくです。
コメントありがとうございました!
というか、お店の広さを特に意識してなかったけど、そんなに置けたのかな…(今さら)
不器用で鈍感同士の2人も、そろそろ完結間近です~。
最後まで応援よろしくです。
コメントありがとうございました!