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恋の女神は微笑まない (270)
2015.02.11 Wed
「はぁ…」
こんな気持ちでいるのも、今夜一晩だけだ。
日本では、クリスマス当日よりもイブに重きが置かれているから、明日になってしまえば、街中の浮かれた雰囲気も、今日の半分くらいにはなるだろう。
そうすれば千尋はもう、こんな気持ちでいなくても済む――――少なくともあと1年、来年のクリスマスイブまでは。
いや、たった今現在は、一生1人で生きていくと思っているけれど、1年過ごすうちに誰かいい人が現れて、自然な流れで付き合うことになるかもしれない。
そうしたら、来年のクリスマスイブは今年とは違うものになっているはずだ。
「よしっ」
こんなことでクヨクヨしていても仕方ないし、気にするのは自分らしくない。
さっさと弁当を食べて、風呂に入って寝よう。寝てしまえば、明日なんてすぐに来る。明日になれば、千尋の大好きな仕事が待っているのだ。落ち込んでいる暇などない。
最初に決めたとおり、少なくとも初売り期間が終わるまでは仕事に集中するのだ。
千尋は、持ち前の思い込み力を発揮して気を取り直すと、弁当に向き直った。
しかし、ちょうど嫌いなピーマンの欠片をよけようとしたタイミングで玄関のチャイムが鳴って、千尋が驚いて肩を跳ね上げると、弾みで箸がミニトマトに当たり、ピーマンはそのままに、ミニトマトが床に落下する事態となった。
「うぐぅ…」
転々と転がって行くミニトマトを見つめながら、千尋はこぶしを握り締める。
調理したものではない、生のミニトマトだから、洗えば済む話だけれど、何か悔しい…。
その間も、チャイムはピンポンピンポンとうるさい。
最初はイラついていた千尋だったが、こんな時間にそれこそ宅配便のはずがあるわけもなく、そうなると一体誰なのかと、だんだん気味が悪くなってくる。
この間のように南條かとも思ったが、チャイムの押し方の感じが全然違うし…。
大体、クリスマスイブのこんな時間に、千尋の家を訪れる人物など、いるわけがない。
こうなったら、今度こそ居留守を使ってしまおう。幸いにも千尋はテレビも点けていないし、ミニトマトを落っことしたくらいしか物音を立てていないから、千尋が家にいることはバレていないはずだ。
「…………」
千尋は息を殺して、気配を殺して、謎の来訪者が去るのを待つけれど、いつまで経ってもチャイムの鳴り止む気配がない。
もしかして、千尋が家にいるのに気付いているんだろうか。物音はしていないけれど、例えば室内の明かりとか…………玄関の外からでは見えないものの、例えば窓の明かりとか?
そこまで確認しているとなると、ちょっとどころでなく怖いんですけど…。
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こんな気持ちでいるのも、今夜一晩だけだ。
日本では、クリスマス当日よりもイブに重きが置かれているから、明日になってしまえば、街中の浮かれた雰囲気も、今日の半分くらいにはなるだろう。
そうすれば千尋はもう、こんな気持ちでいなくても済む――――少なくともあと1年、来年のクリスマスイブまでは。
いや、たった今現在は、一生1人で生きていくと思っているけれど、1年過ごすうちに誰かいい人が現れて、自然な流れで付き合うことになるかもしれない。
そうしたら、来年のクリスマスイブは今年とは違うものになっているはずだ。
「よしっ」
こんなことでクヨクヨしていても仕方ないし、気にするのは自分らしくない。
さっさと弁当を食べて、風呂に入って寝よう。寝てしまえば、明日なんてすぐに来る。明日になれば、千尋の大好きな仕事が待っているのだ。落ち込んでいる暇などない。
最初に決めたとおり、少なくとも初売り期間が終わるまでは仕事に集中するのだ。
千尋は、持ち前の思い込み力を発揮して気を取り直すと、弁当に向き直った。
しかし、ちょうど嫌いなピーマンの欠片をよけようとしたタイミングで玄関のチャイムが鳴って、千尋が驚いて肩を跳ね上げると、弾みで箸がミニトマトに当たり、ピーマンはそのままに、ミニトマトが床に落下する事態となった。
「うぐぅ…」
転々と転がって行くミニトマトを見つめながら、千尋はこぶしを握り締める。
調理したものではない、生のミニトマトだから、洗えば済む話だけれど、何か悔しい…。
その間も、チャイムはピンポンピンポンとうるさい。
最初はイラついていた千尋だったが、こんな時間にそれこそ宅配便のはずがあるわけもなく、そうなると一体誰なのかと、だんだん気味が悪くなってくる。
この間のように南條かとも思ったが、チャイムの押し方の感じが全然違うし…。
大体、クリスマスイブのこんな時間に、千尋の家を訪れる人物など、いるわけがない。
こうなったら、今度こそ居留守を使ってしまおう。幸いにも千尋はテレビも点けていないし、ミニトマトを落っことしたくらいしか物音を立てていないから、千尋が家にいることはバレていないはずだ。
「…………」
千尋は息を殺して、気配を殺して、謎の来訪者が去るのを待つけれど、いつまで経ってもチャイムの鳴り止む気配がない。
もしかして、千尋が家にいるのに気付いているんだろうか。物音はしていないけれど、例えば室内の明かりとか…………玄関の外からでは見えないものの、例えば窓の明かりとか?
そこまで確認しているとなると、ちょっとどころでなく怖いんですけど…。
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