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恋の女神は微笑まない (269)
2015.02.10 Tue
店長に『早く帰って寝ます』と言ったからといって、本当にそのとおりにしなければいけないわけではないが、しかし千尋は結局、大人しく家へと帰って来た。
本人にその気がなくとも、こんな日に1人で外で食事をしたり飲んだりしたりしていたら、完全に寂しい男だ。負け組だ。
赤の他人にどう見られようが、どう思われようが、別に知ったことではないのだけれど、でもやっぱり今日という日だけは、人の目が気にならないと言ったら嘘になる。
だから千尋は、途中のコンビニで弁当を買うという寄り道をしただけで帰って来たのだ。
というか、コンビニで弁当を買って帰るだけで、負け組気分になるから不思議だ。クリスマスマジック。
「ただいまぁ~…」
家に誰もいないことは分かり切ったことで、今まで1回だって、わざわざ『ただいま』を言ったことなどないのに、どういうわけかそんなことを言ってしまった。
どれだけ寂しがり屋なんだ。
というか、これで、ちょっとしたディスプレイ感覚ででもクリスマスツリーを飾っていたら、泣いていたかもしれない。部屋が殺風景で、本当によかった。
クリスマス感ゼロの部屋にホッとしつつ、千尋は買ってきた弁当を電子レンジに突っ込んでから、手洗いとうがいをしに行く。
この間熱を出したのは、別に手洗いやうがいをサボったことだけが原因ではないが、千尋はあれから生まれ変わったので、こういうことはしっかりしておくのだ。
風呂のスイッチを入れ、部屋着に着替えて戻って来たら、すでにレンジは止まっていて、千尋は中から温まった弁当を取り出した。
テレビすら点けていない室内は、ただただひたすらに静かで、千尋は黙々と弁当を口に運ぶ。
クリスマスイブに家で1人でコンビニの弁当を食うのが、こんなに寂しいものだとは思わなかった。これは、店長に言ったとおり、さっさと寝たほうがいいかもしれない。
(早寝するいい子のところには、サンタさんが来るかもしんないしね………………なーんつって)
みんなして『サンタさん』『サンタさん』と繰り返すものだから、1人でいるのに、そんなことを考えてしまった。毒されすぎだ。
そういえば、店長の子どもは、もうプレゼントを受け取ったのだろうか。いや、プレゼントはクリスマスの朝に靴下の中に入っているものだから、これからか。
きっと今日は、サンタさんに会いたくて、いつまでも寝ないかもしれない。そして、早く寝ない悪い子のところにはサンタさんが来ないわよ、とお母さんに怒られて、慌ててふとんに潜り込むのだ。千尋がそうだった。
店長の話を聞いて、恋人と過ごすことだけがクリスマスではないとは思ったけれど、今さら千尋がクリスマスイブに実家に帰ったところで、寂しさの度合いに変わりはない。
むしろそこに憐みがプラスされるだけだ。
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本人にその気がなくとも、こんな日に1人で外で食事をしたり飲んだりしたりしていたら、完全に寂しい男だ。負け組だ。
赤の他人にどう見られようが、どう思われようが、別に知ったことではないのだけれど、でもやっぱり今日という日だけは、人の目が気にならないと言ったら嘘になる。
だから千尋は、途中のコンビニで弁当を買うという寄り道をしただけで帰って来たのだ。
というか、コンビニで弁当を買って帰るだけで、負け組気分になるから不思議だ。クリスマスマジック。
「ただいまぁ~…」
家に誰もいないことは分かり切ったことで、今まで1回だって、わざわざ『ただいま』を言ったことなどないのに、どういうわけかそんなことを言ってしまった。
どれだけ寂しがり屋なんだ。
というか、これで、ちょっとしたディスプレイ感覚ででもクリスマスツリーを飾っていたら、泣いていたかもしれない。部屋が殺風景で、本当によかった。
クリスマス感ゼロの部屋にホッとしつつ、千尋は買ってきた弁当を電子レンジに突っ込んでから、手洗いとうがいをしに行く。
この間熱を出したのは、別に手洗いやうがいをサボったことだけが原因ではないが、千尋はあれから生まれ変わったので、こういうことはしっかりしておくのだ。
風呂のスイッチを入れ、部屋着に着替えて戻って来たら、すでにレンジは止まっていて、千尋は中から温まった弁当を取り出した。
テレビすら点けていない室内は、ただただひたすらに静かで、千尋は黙々と弁当を口に運ぶ。
クリスマスイブに家で1人でコンビニの弁当を食うのが、こんなに寂しいものだとは思わなかった。これは、店長に言ったとおり、さっさと寝たほうがいいかもしれない。
(早寝するいい子のところには、サンタさんが来るかもしんないしね………………なーんつって)
みんなして『サンタさん』『サンタさん』と繰り返すものだから、1人でいるのに、そんなことを考えてしまった。毒されすぎだ。
そういえば、店長の子どもは、もうプレゼントを受け取ったのだろうか。いや、プレゼントはクリスマスの朝に靴下の中に入っているものだから、これからか。
きっと今日は、サンタさんに会いたくて、いつまでも寝ないかもしれない。そして、早く寝ない悪い子のところにはサンタさんが来ないわよ、とお母さんに怒られて、慌ててふとんに潜り込むのだ。千尋がそうだった。
店長の話を聞いて、恋人と過ごすことだけがクリスマスではないとは思ったけれど、今さら千尋がクリスマスイブに実家に帰ったところで、寂しさの度合いに変わりはない。
むしろそこに憐みがプラスされるだけだ。
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