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恋の女神は微笑まない (271)
2015.02.12 Thu
「ッ…!」
千尋が謎の訪問者にビクビクしていたら、風呂のお湯が沸いたメロディが鳴って、余計に千尋をビビらせる。
外まで聞こえたかな…? と千尋は焦ったけれど、今までの隣室のメロディが聞こえて来たことはないし、毎日鳴っているのに外まで聞こえていたら、大変な近所迷惑になるはずだから、大丈夫だろう。
「あ、そうだ」
風呂に入っていたことにしよう。後でもし、どうして家にいたのに出なかったんだと責められても、風呂に入っていたから出られなかったと言えば、言い訳になる。
嘘をつくのは嫌だけど…………でもまぁ、風呂に入ろうとしていたのは間違いないし、あとちょっとのタイミングの差で、千尋は本当に風呂に入っていたわけだから、そんなに嘘とも言えない。
うん、嘘じゃない。
「よし…!」
そうと決めたら、千尋は即行動に移す。千尋は弁当をそのままに、そっと風呂場に向かおうとした……が、タイミング悪く、テーブルの上に置いていたスマホが音を立てた。
それだけなら、先ほどの風呂のメロディと同じく、外までは聞こえなかっただろう。
しかし、スマホを取ろうとした千尋が慌てすぎて椅子に引っ掛かり、椅子もろとも見事に引っ繰り返ってしまったものだから、さすがに『絶対に気付かれていない』とまでは言えなくなってきた。
「イッテー…」
千尋が家にいることを感付かれたかもしれないことも心配だが、こんなにバタバタして、階下の住人にうるさがられるのも困る。千尋はご近所付き合いを、出来るだけ穏便に済ませたいほうなのだ。
というか、それよりも何よりも、足が痛い…。
これはもう、千尋にちゃんと来訪者を確認しろ、ということなのかもしれない。まっとうな人間になろうとしているのに、居留守なんて使おうとした千尋に対しての戒めだろう。
そう感じた千尋は、行き先を風呂場から玄関に変更し、もうコソコソするのはやめだ! と思いつつも、足音を忍ばせながら玄関へ向かい、ドアの覗き穴に顔を近づけた。
スマホが鳴った後、うるさくしたから、家にいることがばれたかと思ったが、意外にもその後、チャイムが鳴らなくなったので、もしかしたら諦めて帰ったのかもしれない。
――――というのは、やはり千尋の希望的観測でしかなかった。覗き穴から見たそこには、まだ人の気配が、大和が、
「うえぇっ!? うわっ、アダッ!」
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千尋が謎の訪問者にビクビクしていたら、風呂のお湯が沸いたメロディが鳴って、余計に千尋をビビらせる。
外まで聞こえたかな…? と千尋は焦ったけれど、今までの隣室のメロディが聞こえて来たことはないし、毎日鳴っているのに外まで聞こえていたら、大変な近所迷惑になるはずだから、大丈夫だろう。
「あ、そうだ」
風呂に入っていたことにしよう。後でもし、どうして家にいたのに出なかったんだと責められても、風呂に入っていたから出られなかったと言えば、言い訳になる。
嘘をつくのは嫌だけど…………でもまぁ、風呂に入ろうとしていたのは間違いないし、あとちょっとのタイミングの差で、千尋は本当に風呂に入っていたわけだから、そんなに嘘とも言えない。
うん、嘘じゃない。
「よし…!」
そうと決めたら、千尋は即行動に移す。千尋は弁当をそのままに、そっと風呂場に向かおうとした……が、タイミング悪く、テーブルの上に置いていたスマホが音を立てた。
それだけなら、先ほどの風呂のメロディと同じく、外までは聞こえなかっただろう。
しかし、スマホを取ろうとした千尋が慌てすぎて椅子に引っ掛かり、椅子もろとも見事に引っ繰り返ってしまったものだから、さすがに『絶対に気付かれていない』とまでは言えなくなってきた。
「イッテー…」
千尋が家にいることを感付かれたかもしれないことも心配だが、こんなにバタバタして、階下の住人にうるさがられるのも困る。千尋はご近所付き合いを、出来るだけ穏便に済ませたいほうなのだ。
というか、それよりも何よりも、足が痛い…。
これはもう、千尋にちゃんと来訪者を確認しろ、ということなのかもしれない。まっとうな人間になろうとしているのに、居留守なんて使おうとした千尋に対しての戒めだろう。
そう感じた千尋は、行き先を風呂場から玄関に変更し、もうコソコソするのはやめだ! と思いつつも、足音を忍ばせながら玄関へ向かい、ドアの覗き穴に顔を近づけた。
スマホが鳴った後、うるさくしたから、家にいることがばれたかと思ったが、意外にもその後、チャイムが鳴らなくなったので、もしかしたら諦めて帰ったのかもしれない。
――――というのは、やはり千尋の希望的観測でしかなかった。覗き穴から見たそこには、まだ人の気配が、大和が、
「うえぇっ!? うわっ、アダッ!」
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