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恋の女神は微笑まない (261)
2015.02.02 Mon
まっとうな人間になろうという志がよかったのか、薬が効いたのか、十分な休息がよかったのかは分からないが、おかげさまで翌日には熱も下がり、千尋は無事に仕事に行くことが出来た。
休んだ分を取り返すため、千尋は、何でも言い付けてください、いくらでも残業します、というスタンスだったのだが、また体調を崩したらどうするんだと店長は聞き入れてくれなかった。
ただでさえ千尋は、有給の消化が悪いのだ。
千尋の、仕事における気持ちの重点は、服のデザインをすることだ。そのためなら、どれだけ寝る間を惜しんでも、プライベートの時間を削っても構わないと思っている。
しかし、それと同時に、デザインした服を置いてくれたり、デザインする環境を与えてくれる職場、店舗での仕事を疎かにしてはいけないと切に思っているのだ。
根っこのところで、意外にも千尋は真面目なのである。
だから、大和とのことだけでなく、風邪を引いて仕事を休んだり、その後、仕事に没頭したりしていたせいで、千尋は遥希のことをすっかり忘れていた。
電話が鳴って、スマホの画面に表示された遥希の名前を見て、『あぁ! ハルちゃんの存在、忘れてた!』と、千尋はようやく気が付いたのだ。
「…もしもし」
夜ご飯を食べて、風呂にも入って、もう風邪は引くまいとしっかりと髪も乾かしたような時間。
こんな時間に遥希から掛かってくる電話は、大抵ロクなことがないのだが、電話に出なかったら出なかったで、後々面倒くさいことになるので、千尋は仕方なく電話に出る。
『もっしも~し、ちーちゃ~ん!』
「………………」
やっぱり出なければよかった…と後悔するには持って来いなテンションの遥希に、千尋は深呼吸して気持ちを落ち着ける。今からキレていたのでは、遥希の電話には付き合えない。
『ちーちゃ~ん、今どこぉ~?』
「家だよ。ハルちゃん、酔っ払ってる? ちゃんとお家いるの?」
『うんー、今帰って来たぁ』
「飲み会だったの?」
『そぉー。がっこぉのねぇ、人とねぇ、飲んだー。ぼーねんかい』
一時期、遥希があまりに千尋をご飯に誘ってばかりいたものだから、もしかして遥希は他に友だちがいないんじゃ…? と本気で心配したことがあったけれど、どうやらそれは千尋の取り越し苦労だったようだ。
しかし…、酔って醜態を曝したくないとか、そんな理由で飲み会にあまり出ないようにしていたはずなのに、出たら出たでこんなに酔っ払っていたのでは世話がない。
遥希はお酒大好きでも弱いんだから、酔って失敗したくないのなら、飲み会で飲みすぎないようにする…でなく、1滴も飲まないようにしなければダメだと思う。
『ねぇちーちゃ~ん、これから家来な~い?』
「は?」
『一緒に飲もぉよぉ~。1人で飲むの寂しぃ~』
「さっさと寝ろ」
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休んだ分を取り返すため、千尋は、何でも言い付けてください、いくらでも残業します、というスタンスだったのだが、また体調を崩したらどうするんだと店長は聞き入れてくれなかった。
ただでさえ千尋は、有給の消化が悪いのだ。
千尋の、仕事における気持ちの重点は、服のデザインをすることだ。そのためなら、どれだけ寝る間を惜しんでも、プライベートの時間を削っても構わないと思っている。
しかし、それと同時に、デザインした服を置いてくれたり、デザインする環境を与えてくれる職場、店舗での仕事を疎かにしてはいけないと切に思っているのだ。
根っこのところで、意外にも千尋は真面目なのである。
だから、大和とのことだけでなく、風邪を引いて仕事を休んだり、その後、仕事に没頭したりしていたせいで、千尋は遥希のことをすっかり忘れていた。
電話が鳴って、スマホの画面に表示された遥希の名前を見て、『あぁ! ハルちゃんの存在、忘れてた!』と、千尋はようやく気が付いたのだ。
「…もしもし」
夜ご飯を食べて、風呂にも入って、もう風邪は引くまいとしっかりと髪も乾かしたような時間。
こんな時間に遥希から掛かってくる電話は、大抵ロクなことがないのだが、電話に出なかったら出なかったで、後々面倒くさいことになるので、千尋は仕方なく電話に出る。
『もっしも~し、ちーちゃ~ん!』
「………………」
やっぱり出なければよかった…と後悔するには持って来いなテンションの遥希に、千尋は深呼吸して気持ちを落ち着ける。今からキレていたのでは、遥希の電話には付き合えない。
『ちーちゃ~ん、今どこぉ~?』
「家だよ。ハルちゃん、酔っ払ってる? ちゃんとお家いるの?」
『うんー、今帰って来たぁ』
「飲み会だったの?」
『そぉー。がっこぉのねぇ、人とねぇ、飲んだー。ぼーねんかい』
一時期、遥希があまりに千尋をご飯に誘ってばかりいたものだから、もしかして遥希は他に友だちがいないんじゃ…? と本気で心配したことがあったけれど、どうやらそれは千尋の取り越し苦労だったようだ。
しかし…、酔って醜態を曝したくないとか、そんな理由で飲み会にあまり出ないようにしていたはずなのに、出たら出たでこんなに酔っ払っていたのでは世話がない。
遥希はお酒大好きでも弱いんだから、酔って失敗したくないのなら、飲み会で飲みすぎないようにする…でなく、1滴も飲まないようにしなければダメだと思う。
『ねぇちーちゃ~ん、これから家来な~い?』
「は?」
『一緒に飲もぉよぉ~。1人で飲むの寂しぃ~』
「さっさと寝ろ」
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