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恋の女神は微笑まない (254)
2015.01.26 Mon
「…………」
年末で忙しいのに、今日は仕事を休んでしまったのだ。年内は、いや、少なくともお正月の初売り期間が終わるまでは、恋だの何だのは忘れて、仕事に集中しよう。
そして、それが一段落したら、気持ちを切り替えて、新しい恋へと向かう。
新しい年が来ることだし、区切りをつけるにはちょうどいいと思う。
「よしっ」
千尋はそう決意を固めると、しっかりと頭を起こして、残りのおかゆをキビキビと食べ始めた。
もし誰かが千尋の今の行動を見ていたら、突然どうしたことかと訝しんだかもしれないが、千尋的には、『病は気から。こんなウダウダと食事をしていたのでは、治るものも治らない』との思いがあってのことだ。
傍から見たら突拍子もない行動でも、ちゃんと意味があるのである。
「ごちそうさまでした!」
いつもは言わないような挨拶までして、普段なら面倒くさがって食事の後すぐにはしないのに、食器を片付けるべくシンクに向かう。
特に何かしたわけでもないのに、新しい自分に生まれ変わった気でいるのだ。千尋は、自己暗示には掛かりにくいタイプではあったが、思い込みは激しいほうなのだ。
「まだ寝るには早いけど、今日は寝とくか…………眠くないけど」
食事を終えると、することもないし、ただ起きているだけなら寝ているほうがいいだろうと、千尋は仕方なく寝室に戻ることにする。
これを機に、不摂生な生活を改めて、まっとうな人間になることにするか。お酒も控えめに……いや、やめる。遥希も前に禁酒だとか言っていたから、道連れにしよう。
志高く勝手なことを思って、千尋はベッドに身を横たえた――――ちょうどそのタイミングで、玄関のチャイムが音を立てた。
「………………」
新しい千尋に生まれ変わったというのに、思わず、今鳴るかよ、とイラッとしてしまった。
相手は千尋が何をしているかなど知らないのだから、タイミングなど計りようがないので、仕方のないことなのだが、こんなふうに思ってしまうのが千尋なのだ。
しかも、まっとうな人間になったのなら、ここはさっさと玄関に行くべきなのに、千尋はなかなか起き上がらない。早い話が、居留守を使おうというわけである。…まったく何も今までと変わっていない。
(だってパジャマだしー…、こんな格好で人に会えないしー…)
と、勝手な理由を付けて、突然の来訪者が帰るのを待つ。
いや、善良な千尋は理由を明かしたけれど、本当だったら千尋はただいま仕事中で、誰か来たとしても出てみようがないのだ。だから今、千尋は理由なく居留守を使ったって、問題ない。
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年末で忙しいのに、今日は仕事を休んでしまったのだ。年内は、いや、少なくともお正月の初売り期間が終わるまでは、恋だの何だのは忘れて、仕事に集中しよう。
そして、それが一段落したら、気持ちを切り替えて、新しい恋へと向かう。
新しい年が来ることだし、区切りをつけるにはちょうどいいと思う。
「よしっ」
千尋はそう決意を固めると、しっかりと頭を起こして、残りのおかゆをキビキビと食べ始めた。
もし誰かが千尋の今の行動を見ていたら、突然どうしたことかと訝しんだかもしれないが、千尋的には、『病は気から。こんなウダウダと食事をしていたのでは、治るものも治らない』との思いがあってのことだ。
傍から見たら突拍子もない行動でも、ちゃんと意味があるのである。
「ごちそうさまでした!」
いつもは言わないような挨拶までして、普段なら面倒くさがって食事の後すぐにはしないのに、食器を片付けるべくシンクに向かう。
特に何かしたわけでもないのに、新しい自分に生まれ変わった気でいるのだ。千尋は、自己暗示には掛かりにくいタイプではあったが、思い込みは激しいほうなのだ。
「まだ寝るには早いけど、今日は寝とくか…………眠くないけど」
食事を終えると、することもないし、ただ起きているだけなら寝ているほうがいいだろうと、千尋は仕方なく寝室に戻ることにする。
これを機に、不摂生な生活を改めて、まっとうな人間になることにするか。お酒も控えめに……いや、やめる。遥希も前に禁酒だとか言っていたから、道連れにしよう。
志高く勝手なことを思って、千尋はベッドに身を横たえた――――ちょうどそのタイミングで、玄関のチャイムが音を立てた。
「………………」
新しい千尋に生まれ変わったというのに、思わず、今鳴るかよ、とイラッとしてしまった。
相手は千尋が何をしているかなど知らないのだから、タイミングなど計りようがないので、仕方のないことなのだが、こんなふうに思ってしまうのが千尋なのだ。
しかも、まっとうな人間になったのなら、ここはさっさと玄関に行くべきなのに、千尋はなかなか起き上がらない。早い話が、居留守を使おうというわけである。…まったく何も今までと変わっていない。
(だってパジャマだしー…、こんな格好で人に会えないしー…)
と、勝手な理由を付けて、突然の来訪者が帰るのを待つ。
いや、善良な千尋は理由を明かしたけれど、本当だったら千尋はただいま仕事中で、誰か来たとしても出てみようがないのだ。だから今、千尋は理由なく居留守を使ったって、問題ない。
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