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恋の女神は微笑まない (252)
2015.01.24 Sat
明日はちゃんと仕事に行くためには、とにかく言うことを聞いて安静にしているしかないと、トイレとお昼以外は大人しく寝ていたが、さすがに夕方には目が冴えてしまった。
それでも、しっかりと寝たり薬をちゃんと飲んだりしたおかげか、朝のような決定的な具合の悪さは解消されている。ここで調子に乗って、無理さえしなければ、明日には仕事に行けるだろう。
寝てばかりだからお腹は空いていないけれど、こういうときは食事を疎かにしないほうがいい、と普段の不摂生な生活からは想像できない健全な発想で、千尋はキッチンに向かった。
カウンターの上にはレトルトのおかゆやらインスタント系の食材が乗っているし、いつもはアルコールばかりの冷蔵庫の中には、スポーツドリンクだのビタミンC飲料だのが入っていて、それが大和の存在を思い起こさせて、千
尋は切なくなる。
当たり前だが、食べるごとにそれらは減っていって、いつかはなくなってしまうわけで。そうしたら、大和の痕跡なんか、少しもなくなってしまうのだ。
それを思ったら、急にとんでもない寂しさに襲われて、千尋は急いで冷蔵庫のドアを閉めた。
お昼とは違う味のおかゆをお椀に空けて、レンジに突っ込む。大和がやってくれたように、丁寧に鍋で温めるなんて真似、面倒くさくて、千尋にはとても出来ないのだ。
レンジで温めている最中、スマホの充電が切れそうだったことを思い出した千尋は、明日、今朝のようにバタバタと慌てないため、スマホを充電しに寝室に戻った。
「え…」
枕元に投げっ放しになっていたスマホを手にした千尋は、それを充電器に繋ごうとしたところで、メッセージの受信に気が付いた。
本来であればこの時間、千尋は仕事をしているはずで、メッセージなんか送られても見られないのに、一体誰なのかと不審に思って開けば、大和だった。
驚いて何度も見直したけれど間違いない、具合がどうなったのかと尋ねる文面がそこにはあった。
食事や薬の心配をしたとはいえ、熱のある千尋を1人置いていったのだ、気にはなるだろう。
「大和くん…」
千尋が具合を悪くして、しかもそれを実際に目の当たりにしたからこそ、大和は連絡をくれたのだと分かっているが、それでも千尋はほのかな喜びを感じてしまう。
今朝、間違えて大和に電話をしたときは、本当にどうなることかと思っていたが、ちょっとラッキーだったかも。
(…て、だからって、別にわざと間違えたわけじゃないけどっ…!)
別に誰も聞いていないし、心の中で思っていただけなのに、千尋は1人で慌てて、言い訳をした。
「返事…」
…したほうがいいんだろうか。
向こうは千尋の容態を気にしているし、返事をしなかったら、悪化して返事も出来ないほどだと勘違いしてしまうかもしれない。
仕事前にわざわざ来てくれて、食事や薬まで用意してくれたのに、少しも具合がよくなっていないどころか、悪化しているなんて思われたら、まずい。
うん、こういうのを無視するのは、やっぱりよくない。
千尋はまたも1人で言い訳をして、スマホの画面に向き合った。
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それでも、しっかりと寝たり薬をちゃんと飲んだりしたおかげか、朝のような決定的な具合の悪さは解消されている。ここで調子に乗って、無理さえしなければ、明日には仕事に行けるだろう。
寝てばかりだからお腹は空いていないけれど、こういうときは食事を疎かにしないほうがいい、と普段の不摂生な生活からは想像できない健全な発想で、千尋はキッチンに向かった。
カウンターの上にはレトルトのおかゆやらインスタント系の食材が乗っているし、いつもはアルコールばかりの冷蔵庫の中には、スポーツドリンクだのビタミンC飲料だのが入っていて、それが大和の存在を思い起こさせて、千
尋は切なくなる。
当たり前だが、食べるごとにそれらは減っていって、いつかはなくなってしまうわけで。そうしたら、大和の痕跡なんか、少しもなくなってしまうのだ。
それを思ったら、急にとんでもない寂しさに襲われて、千尋は急いで冷蔵庫のドアを閉めた。
お昼とは違う味のおかゆをお椀に空けて、レンジに突っ込む。大和がやってくれたように、丁寧に鍋で温めるなんて真似、面倒くさくて、千尋にはとても出来ないのだ。
レンジで温めている最中、スマホの充電が切れそうだったことを思い出した千尋は、明日、今朝のようにバタバタと慌てないため、スマホを充電しに寝室に戻った。
「え…」
枕元に投げっ放しになっていたスマホを手にした千尋は、それを充電器に繋ごうとしたところで、メッセージの受信に気が付いた。
本来であればこの時間、千尋は仕事をしているはずで、メッセージなんか送られても見られないのに、一体誰なのかと不審に思って開けば、大和だった。
驚いて何度も見直したけれど間違いない、具合がどうなったのかと尋ねる文面がそこにはあった。
食事や薬の心配をしたとはいえ、熱のある千尋を1人置いていったのだ、気にはなるだろう。
「大和くん…」
千尋が具合を悪くして、しかもそれを実際に目の当たりにしたからこそ、大和は連絡をくれたのだと分かっているが、それでも千尋はほのかな喜びを感じてしまう。
今朝、間違えて大和に電話をしたときは、本当にどうなることかと思っていたが、ちょっとラッキーだったかも。
(…て、だからって、別にわざと間違えたわけじゃないけどっ…!)
別に誰も聞いていないし、心の中で思っていただけなのに、千尋は1人で慌てて、言い訳をした。
「返事…」
…したほうがいいんだろうか。
向こうは千尋の容態を気にしているし、返事をしなかったら、悪化して返事も出来ないほどだと勘違いしてしまうかもしれない。
仕事前にわざわざ来てくれて、食事や薬まで用意してくれたのに、少しも具合がよくなっていないどころか、悪化しているなんて思われたら、まずい。
うん、こういうのを無視するのは、やっぱりよくない。
千尋はまたも1人で言い訳をして、スマホの画面に向き合った。
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