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恋の女神は微笑まない (251)
2015.01.23 Fri
「…大和くん、ゴメンなさい」
「ん?」
買って来たの冷蔵庫に入れてくる、と大和が寝室を出ようとしたところで、千尋はその背中に謝った。
昨日の今日で…というのはもちろんだが、それだけでなく、千尋が間違えて電話をしたせいで、大和に多大なる迷惑を掛けてしまったことが、申し訳なくて仕方ないのだ。
「…気にしなくていいから。食べたら薬飲んで、ゆっくり休んでね」
気にするなと言われたって、気にせずにはいられないんだけれど、しかしこうなってしまった以上、余計なことを考えるのはやめて、早く風邪を治すことだけに専念しよう。
もう会わないと言って別れた相手にここまでしてもらって、それで風邪を悪化させてしまった日には、目も当てられない。
「…ありがとう、大和くん」
千尋は、今だけは素直になって、大和に礼を言った。
大和が寝室を出て行った後、千尋はおかゆを平らげると、用意してもらった風邪薬に手を伸ばした。
これ飲んで寝たら、明日は仕事行けるかな…と思いながら、千尋は口いっぱいに広がった苦味を、水と一緒に飲み干した。
「ちーちゃん、」
千尋がベッドに横になり、大きく息をついたところで、ドアが開いて大和が顔を覗かせた。
「じゃあ俺、仕事あるから、もう行くね?」
「あ、うん…。あの、ホント、ゴメンなさいっ…。あの、」
「そんなに謝んないで、大丈夫だから。俺のほうこそ、押し掛けたりして…………ゴメン」
「…………」
大和に改まられると、急に昨日のことが意識されて、どうしたらいいか分からなくなる。
何も答えられずに顔を上げたら、大和と目が合った。
「とりあえず、」
沈黙に陥り掛けたその場の空気を断ち切るように、大和が口を開く。
「俺、これ片付けたら、行くね?」
「…ん」
「冷蔵庫にご飯とか入ってるから……まぁ、コンビニで買ったヤツだけど、食べてね。それと、ツラかったら、病院に…」
「うん」
サイドテーブルにスポーツドリンクを置いて、代わりに空になったお椀を手に取った大和の優しさが痛くて、千尋は大和が言い終わる前に返事をした。
よくない態度に受け止められたかもしれないと、一瞬頭をよぎりはしたけれど、これ以上優しくされたらどうにかなってしまいそうだったから。
「…じゃあね、ちーちゃん。お大事に」
大和は静かに寝室を出て行き、千尋はホロリと零れた涙をそっと拭った。
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「ん?」
買って来たの冷蔵庫に入れてくる、と大和が寝室を出ようとしたところで、千尋はその背中に謝った。
昨日の今日で…というのはもちろんだが、それだけでなく、千尋が間違えて電話をしたせいで、大和に多大なる迷惑を掛けてしまったことが、申し訳なくて仕方ないのだ。
「…気にしなくていいから。食べたら薬飲んで、ゆっくり休んでね」
気にするなと言われたって、気にせずにはいられないんだけれど、しかしこうなってしまった以上、余計なことを考えるのはやめて、早く風邪を治すことだけに専念しよう。
もう会わないと言って別れた相手にここまでしてもらって、それで風邪を悪化させてしまった日には、目も当てられない。
「…ありがとう、大和くん」
千尋は、今だけは素直になって、大和に礼を言った。
大和が寝室を出て行った後、千尋はおかゆを平らげると、用意してもらった風邪薬に手を伸ばした。
これ飲んで寝たら、明日は仕事行けるかな…と思いながら、千尋は口いっぱいに広がった苦味を、水と一緒に飲み干した。
「ちーちゃん、」
千尋がベッドに横になり、大きく息をついたところで、ドアが開いて大和が顔を覗かせた。
「じゃあ俺、仕事あるから、もう行くね?」
「あ、うん…。あの、ホント、ゴメンなさいっ…。あの、」
「そんなに謝んないで、大丈夫だから。俺のほうこそ、押し掛けたりして…………ゴメン」
「…………」
大和に改まられると、急に昨日のことが意識されて、どうしたらいいか分からなくなる。
何も答えられずに顔を上げたら、大和と目が合った。
「とりあえず、」
沈黙に陥り掛けたその場の空気を断ち切るように、大和が口を開く。
「俺、これ片付けたら、行くね?」
「…ん」
「冷蔵庫にご飯とか入ってるから……まぁ、コンビニで買ったヤツだけど、食べてね。それと、ツラかったら、病院に…」
「うん」
サイドテーブルにスポーツドリンクを置いて、代わりに空になったお椀を手に取った大和の優しさが痛くて、千尋は大和が言い終わる前に返事をした。
よくない態度に受け止められたかもしれないと、一瞬頭をよぎりはしたけれど、これ以上優しくされたらどうにかなってしまいそうだったから。
「…じゃあね、ちーちゃん。お大事に」
大和は静かに寝室を出て行き、千尋はホロリと零れた涙をそっと拭った。
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