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恋の女神は微笑まない (242)
2015.01.14 Wed
「でも、俺がちーちゃんのこと好きかも、とか……好きになるかも、とは思わなかったの? いくら俺が『嫌いじゃない』て言ってたとしても」
「好かれるようなことしてないし。それに、わざわざこんなふうに会ったのに、大和くん、縒りを戻すつもりはないって言ったじゃん? あぁ、嫌いじゃないってそういうことなんだな、て思った」
「それは…、ちーちゃんが俺のこと嫌いだと思ってたから…………そんなこと言えないと思って。さっきだって、俺が好きだって言ったとき、すごい怒ったじゃん」
「怒ってないってば。大和くんは俺のこと好きじゃないと思ってたのに、好きだって言うからビックリしただけで」
話を聞いて、大和はようやく千尋の気持ちを理解した、というか、不思議に感じていた言動やら行動の謎が解けた。
大和はずっと、千尋は大和のことを嫌いだから、今さら好きだと言われて怒ったのだと思っていたが、そうではなくて、千尋は大和が千尋のことを好きではないと思っていたにもかかわらず、好きだなんて言われたものだから、動揺していたのだ。
だから先ほどの、『だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…』とか言っていたのも、語気が弱かったというわけだ。
「で…、結局、ちーちゃんの気持ちは? まだちゃんと聞いてない。俺はちゃんと言ったよ? 好きだ、て」
ここまでの会話で、千尋が大和のことを嫌いではないことは分かっている。
けれど、それではダメなのだ。
好きじゃないとか、嫌いじゃないとか、そんな言い回しばかりしていて、互いの気持ちを勝手に思い込んでいたのだ。だからもうここらでいい加減、腹を括ろうじゃないか。
さっきは千尋の態度から、勝手に気持ちを推測してしまったけれど、今度はそうしない。言ってくれるまで、ちゃんと待つから。
「…もう大和くんに会えないと思ったら、ヤダな、て思う。寂しいし」
「うん」
「大和くんが俺のこと忘れたいとか言うのもヤダ。忘れてほしくない。………………好き」
「…うん」
初めて聞いた、千尋の『好き』という言葉。
それなのに大和は、ただ頷くしか出来なかった。それを、千尋は咎めなかった。懸命に言葉を選びながら、話を続けた。
「でも、付き合うとかなったら、あの週刊誌のこともあるし、別に週刊誌に載ったこと自体はどうでもいいんだけど、女に間違われたのはムカつくし…、俺、そういうのホント嫌だから、そういう思いはもうしたくないと思う…………て、別にまた付き合うわけじゃないから、付き合うとかのことは言わなくていいのか」
話している途中で気が付いたのだろう、千尋は慌てて最後にそう付け加えた。
互いに恋愛感情を以って好きだとしたら、その後には、付き合うとかいう話になるんだけれど――――2人には、それがない。お互いに相手のことが好きでも、これから先、付き合うことはない。
千尋は大和と付き合いたくないと言ったし、大和は千尋と縒りを戻すつもりはないと言った。
だから、付き合うことになったら、という話をする必要などなかった。
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「好かれるようなことしてないし。それに、わざわざこんなふうに会ったのに、大和くん、縒りを戻すつもりはないって言ったじゃん? あぁ、嫌いじゃないってそういうことなんだな、て思った」
「それは…、ちーちゃんが俺のこと嫌いだと思ってたから…………そんなこと言えないと思って。さっきだって、俺が好きだって言ったとき、すごい怒ったじゃん」
「怒ってないってば。大和くんは俺のこと好きじゃないと思ってたのに、好きだって言うからビックリしただけで」
話を聞いて、大和はようやく千尋の気持ちを理解した、というか、不思議に感じていた言動やら行動の謎が解けた。
大和はずっと、千尋は大和のことを嫌いだから、今さら好きだと言われて怒ったのだと思っていたが、そうではなくて、千尋は大和が千尋のことを好きではないと思っていたにもかかわらず、好きだなんて言われたものだから、動揺していたのだ。
だから先ほどの、『だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…』とか言っていたのも、語気が弱かったというわけだ。
「で…、結局、ちーちゃんの気持ちは? まだちゃんと聞いてない。俺はちゃんと言ったよ? 好きだ、て」
ここまでの会話で、千尋が大和のことを嫌いではないことは分かっている。
けれど、それではダメなのだ。
好きじゃないとか、嫌いじゃないとか、そんな言い回しばかりしていて、互いの気持ちを勝手に思い込んでいたのだ。だからもうここらでいい加減、腹を括ろうじゃないか。
さっきは千尋の態度から、勝手に気持ちを推測してしまったけれど、今度はそうしない。言ってくれるまで、ちゃんと待つから。
「…もう大和くんに会えないと思ったら、ヤダな、て思う。寂しいし」
「うん」
「大和くんが俺のこと忘れたいとか言うのもヤダ。忘れてほしくない。………………好き」
「…うん」
初めて聞いた、千尋の『好き』という言葉。
それなのに大和は、ただ頷くしか出来なかった。それを、千尋は咎めなかった。懸命に言葉を選びながら、話を続けた。
「でも、付き合うとかなったら、あの週刊誌のこともあるし、別に週刊誌に載ったこと自体はどうでもいいんだけど、女に間違われたのはムカつくし…、俺、そういうのホント嫌だから、そういう思いはもうしたくないと思う…………て、別にまた付き合うわけじゃないから、付き合うとかのことは言わなくていいのか」
話している途中で気が付いたのだろう、千尋は慌てて最後にそう付け加えた。
互いに恋愛感情を以って好きだとしたら、その後には、付き合うとかいう話になるんだけれど――――2人には、それがない。お互いに相手のことが好きでも、これから先、付き合うことはない。
千尋は大和と付き合いたくないと言ったし、大和は千尋と縒りを戻すつもりはないと言った。
だから、付き合うことになったら、という話をする必要などなかった。
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