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恋の女神は微笑まない (243)
2015.01.15 Thu
「…じゃ、お互いにちゃんと気持ちも言い合ったことだし、バイバイしよっか」
「あ…うん」
一瞬の沈黙も許さずに、千尋はそう言った。
少しでも車内が静寂に包まれたら、何かとてつもないものに押し潰されそうだったから、話を続けてくれたのは有り難かったけれど、それが別れの言葉だったから、大和は少し悲しくなった。
けれど、終わりが来ることは分かっていたし、分かっていて、名残惜しくなるのも分かっていて、大和は終わりが来るのを長引かせていたのだ。
「大和くん、何か言い残したことない? これで最後だよ?」
「…ちーちゃんこそ」
「俺はないよ、言いたいことはみんな言ったからね! 言いたくないことも言ったけど」
「何それ」
「ぐへへ」
大和が苦笑すれば、千尋も盛大に笑った。
千尋は泣いたり怒ったりしたけれど、最後は笑っていた。
「じゃあね、大和くん。バイバイ」
今度こそ千尋は、車を降りた。
バイバイ――――またね、とでも言うように。
千尋はマンションのエントランスまで駆けて行った後、クルリと振り返って、大和に手を振った。笑顔で。
ずっと、手を振っていた。
きっと大和がここを離れるまで、そうしているつもりなんだろう。
「…バイバイ、ちーちゃん」
去り難い気持ちを振り切って、大和は車を発進させた。
笑顔を向ける千尋が、その表情の下にどんな感情を隠しているのか、大和は考えるのをやめた。
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「あ…うん」
一瞬の沈黙も許さずに、千尋はそう言った。
少しでも車内が静寂に包まれたら、何かとてつもないものに押し潰されそうだったから、話を続けてくれたのは有り難かったけれど、それが別れの言葉だったから、大和は少し悲しくなった。
けれど、終わりが来ることは分かっていたし、分かっていて、名残惜しくなるのも分かっていて、大和は終わりが来るのを長引かせていたのだ。
「大和くん、何か言い残したことない? これで最後だよ?」
「…ちーちゃんこそ」
「俺はないよ、言いたいことはみんな言ったからね! 言いたくないことも言ったけど」
「何それ」
「ぐへへ」
大和が苦笑すれば、千尋も盛大に笑った。
千尋は泣いたり怒ったりしたけれど、最後は笑っていた。
「じゃあね、大和くん。バイバイ」
今度こそ千尋は、車を降りた。
バイバイ――――またね、とでも言うように。
千尋はマンションのエントランスまで駆けて行った後、クルリと振り返って、大和に手を振った。笑顔で。
ずっと、手を振っていた。
きっと大和がここを離れるまで、そうしているつもりなんだろう。
「…バイバイ、ちーちゃん」
去り難い気持ちを振り切って、大和は車を発進させた。
笑顔を向ける千尋が、その表情の下にどんな感情を隠しているのか、大和は考えるのをやめた。
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