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恋の女神は微笑まない (241)
2015.01.13 Tue
…それは、千尋が泣き出してしまったときだ。大和が、千尋の気持ちを分かったと言って、何が分かったんだと千尋に詰め寄られたとき。
あのとき千尋は自分の気持ちを打ち明けようとしていたのに、なかなか言わない千尋に、言いづらいこと――――つまり大和のことが嫌いなのだと勝手に解釈して、話を終わらせてしまったのだ。
「大和くんのほうこそ、俺のこと嫌いなんだと思ってた」
「嫌いじゃないって言ったじゃん。大切な人だって言った!」
「嫌いじゃないとは言ったけど、好きだとは言ってない」
それは屁理屈のようにも思えたけれど、千尋は本気で言っているようだった。
でも、よく考えたら、こうした些細な思い違いが積み重なっていって、今の2人の状態にあるわけだから、 千尋を突っ込んでいる場合でもない。大和だって、よく聞きもしないで、千尋の気持ちを推測して、思い込んでいた。
「大体、だったら最初からそんな言い方しなきゃよかったじゃん。嫌いじゃない、なんて」
「ちーちゃんは俺のこと好きじゃないと思ってたから…。だから、好きだなんて言えないな、て思ってたんだよ。でも、ちーちゃんは『嫌いになった?』て聞くし……嫌いになってない、て言うしかなかったんだよ」
それが大和の、窮余の策だった。自分の気持ちに嘘をつかないでいるための、けれど、千尋にその想いを伝えないための。
でも普通、嫌いじゃないと言ったら、好きなのだと思うような気もするが…………それを言えば、千尋が冷ややかな目で大和を見た。
「詭弁だね。好きと嫌いじゃないは一緒じゃない」
「まぁそうだけど…」
「俺は、大和くんは俺のことなんか嫌いになってると思ってたから、嫌いじゃないて言われたときもすごいビックリしたけど…、でも、好きじゃないんだったら、嫌いじゃないとか言わないで、うんと嫌いになってほしかったよ」
「何で?」
それは、ずっと大和が疑問に思っていたことだ。
お試しのお付き合いをする前にもそう言っていたけれど、今日車に乗ってからの千尋は、そのときとはまた違った雰囲気を持って、そう言い続けていた。
千尋が大和のことを嫌いだから、好きでいてほしくない、という発想もあったが、千尋はそこまで大和のことを嫌ってはいないようだから、だとすると余計に意味が分からなかった。
「嫌いじゃないとか、そんな中途半端な気持ちじゃ、大和くん、俺のことなんてすぐに忘れちゃうだろうな、て思って」
「え?」
「好きなら覚えててくれるだろうけど、好きにはなってもらえないんだし、だったら、うんと嫌いになってもらうしかないな、て。そしたら、大和くんの心の中にずっと残ってるかな、て思ったの。傷みたいに」
嫌いになれという反面、忘れないで、とも言っていた千尋を思い出す。
そうか、忘れてほしくなかったからこそ、嫌いになれと言っていたのか――――けれど、その気持ちなら、少しは分かる。
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あのとき千尋は自分の気持ちを打ち明けようとしていたのに、なかなか言わない千尋に、言いづらいこと――――つまり大和のことが嫌いなのだと勝手に解釈して、話を終わらせてしまったのだ。
「大和くんのほうこそ、俺のこと嫌いなんだと思ってた」
「嫌いじゃないって言ったじゃん。大切な人だって言った!」
「嫌いじゃないとは言ったけど、好きだとは言ってない」
それは屁理屈のようにも思えたけれど、千尋は本気で言っているようだった。
でも、よく考えたら、こうした些細な思い違いが積み重なっていって、今の2人の状態にあるわけだから、 千尋を突っ込んでいる場合でもない。大和だって、よく聞きもしないで、千尋の気持ちを推測して、思い込んでいた。
「大体、だったら最初からそんな言い方しなきゃよかったじゃん。嫌いじゃない、なんて」
「ちーちゃんは俺のこと好きじゃないと思ってたから…。だから、好きだなんて言えないな、て思ってたんだよ。でも、ちーちゃんは『嫌いになった?』て聞くし……嫌いになってない、て言うしかなかったんだよ」
それが大和の、窮余の策だった。自分の気持ちに嘘をつかないでいるための、けれど、千尋にその想いを伝えないための。
でも普通、嫌いじゃないと言ったら、好きなのだと思うような気もするが…………それを言えば、千尋が冷ややかな目で大和を見た。
「詭弁だね。好きと嫌いじゃないは一緒じゃない」
「まぁそうだけど…」
「俺は、大和くんは俺のことなんか嫌いになってると思ってたから、嫌いじゃないて言われたときもすごいビックリしたけど…、でも、好きじゃないんだったら、嫌いじゃないとか言わないで、うんと嫌いになってほしかったよ」
「何で?」
それは、ずっと大和が疑問に思っていたことだ。
お試しのお付き合いをする前にもそう言っていたけれど、今日車に乗ってからの千尋は、そのときとはまた違った雰囲気を持って、そう言い続けていた。
千尋が大和のことを嫌いだから、好きでいてほしくない、という発想もあったが、千尋はそこまで大和のことを嫌ってはいないようだから、だとすると余計に意味が分からなかった。
「嫌いじゃないとか、そんな中途半端な気持ちじゃ、大和くん、俺のことなんてすぐに忘れちゃうだろうな、て思って」
「え?」
「好きなら覚えててくれるだろうけど、好きにはなってもらえないんだし、だったら、うんと嫌いになってもらうしかないな、て。そしたら、大和くんの心の中にずっと残ってるかな、て思ったの。傷みたいに」
嫌いになれという反面、忘れないで、とも言っていた千尋を思い出す。
そうか、忘れてほしくなかったからこそ、嫌いになれと言っていたのか――――けれど、その気持ちなら、少しは分かる。
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