スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋の女神は微笑まない (239)
2015.01.11 Sun
「違う、そうじゃない、ナシじゃない!」
「もうどっちでもいいよ。どっちだって同じだし。どうせもう会わないんだし」
「待ってちーちゃん、ゴメン、ちゃんと説明するから。いや、ちゃんと話そう」
「………………」
大和は千尋の腕を掴んで引き止めた。
振り払われると思ったその手は、しかしそうはならなかった。
ちゃんと話をしようとか、そんなこともう何度も、千尋の家に着くまでの間に、もう何度も繰り返したというのに、それでもまだ、こんなふうに互いの気持ちを分かり合えないでいて。
それなのに、まだ話をする必要などあるんだろうか。
千尋の言葉ではないけれど、もう会わない2人なのだ、大和の気持ちを分かってもらえなくても、互いに誤解したままでも、もういいような気もするけれど、でも。
「あの…、さっきの、『ナシ』て言ったのは違うから。ゴメン、ちーちゃんがすごい怒るから、テンパって思わず言っただけで、ナシじゃないから、ちーちゃんのこと好きなの」
「…そんなに怒ってない」
「そうだっけ? 『何言ってんの!?』て結構な剣幕だった気もしたけど…」
「だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…」
怒っていない、とは言ったものの、それなりに感情を高ぶらせた自覚はあるようで、千尋の反論の声は小さい。
こういう、素直になり切れないところが、かわいいと思う。
「それはまぁ…………うん、だって好きだから、ちーちゃんのこと。言うつもりはなかったんだけどね」
「そこの意味が分かんない!」
「え?」
「言うつもりがなかったって何? その一言が俺を惑わすんだけど! 何で言うつもりがなかったの? 言うつもりがなかったのにうっかり言っちゃったのは、大和くんがうっかり八兵衛だからいいとして、」
「うっかり八兵衛…」
大和の言うことの意味が、どうして分からないんだろう。大和にしたら、こういう場面で『うっかり八兵衛』とか思い付いて、しかも口にしちゃう千尋のほうが謎なんだけれど…。
「いや、だって、言われても迷惑でしょ? ちーちゃんも」
「俺が? 迷惑? 何で?」
「え、それ俺に言わす?」
「うん、言って」
大和に好きだと言われたら千尋が困る…というか、嫌がると思ったのは、もちろん千尋が大和のことを好きではないからで…………それはわざわざ大和が言わなくても千尋も分かると思ったのだが、千尋は大和に言えと言う。
まぁ、これまで、言わなくても相手が分かると思っていたせいで、いろいろと誤解を生んできたところもあるから、はっきり言うしかないか。
back next
「もうどっちでもいいよ。どっちだって同じだし。どうせもう会わないんだし」
「待ってちーちゃん、ゴメン、ちゃんと説明するから。いや、ちゃんと話そう」
「………………」
大和は千尋の腕を掴んで引き止めた。
振り払われると思ったその手は、しかしそうはならなかった。
ちゃんと話をしようとか、そんなこともう何度も、千尋の家に着くまでの間に、もう何度も繰り返したというのに、それでもまだ、こんなふうに互いの気持ちを分かり合えないでいて。
それなのに、まだ話をする必要などあるんだろうか。
千尋の言葉ではないけれど、もう会わない2人なのだ、大和の気持ちを分かってもらえなくても、互いに誤解したままでも、もういいような気もするけれど、でも。
「あの…、さっきの、『ナシ』て言ったのは違うから。ゴメン、ちーちゃんがすごい怒るから、テンパって思わず言っただけで、ナシじゃないから、ちーちゃんのこと好きなの」
「…そんなに怒ってない」
「そうだっけ? 『何言ってんの!?』て結構な剣幕だった気もしたけど…」
「だって、何言ってんの? て思ったんだもん。好きとか何とか…」
怒っていない、とは言ったものの、それなりに感情を高ぶらせた自覚はあるようで、千尋の反論の声は小さい。
こういう、素直になり切れないところが、かわいいと思う。
「それはまぁ…………うん、だって好きだから、ちーちゃんのこと。言うつもりはなかったんだけどね」
「そこの意味が分かんない!」
「え?」
「言うつもりがなかったって何? その一言が俺を惑わすんだけど! 何で言うつもりがなかったの? 言うつもりがなかったのにうっかり言っちゃったのは、大和くんがうっかり八兵衛だからいいとして、」
「うっかり八兵衛…」
大和の言うことの意味が、どうして分からないんだろう。大和にしたら、こういう場面で『うっかり八兵衛』とか思い付いて、しかも口にしちゃう千尋のほうが謎なんだけれど…。
「いや、だって、言われても迷惑でしょ? ちーちゃんも」
「俺が? 迷惑? 何で?」
「え、それ俺に言わす?」
「うん、言って」
大和に好きだと言われたら千尋が困る…というか、嫌がると思ったのは、もちろん千尋が大和のことを好きではないからで…………それはわざわざ大和が言わなくても千尋も分かると思ったのだが、千尋は大和に言えと言う。
まぁ、これまで、言わなくても相手が分かると思っていたせいで、いろいろと誤解を生んできたところもあるから、はっきり言うしかないか。
back next
- 関連記事
-
- 恋の女神は微笑まない (240) (2015/01/12)
- 恋の女神は微笑まない (239) (2015/01/11)
- 恋の女神は微笑まない (238) (2015/01/10)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。