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恋の女神は微笑まない (237)
2015.01.09 Fri
yamato
千尋が泣き出したのは、大和が、千尋の気持ちを分かったと言ったことが原因だった。
しかし、分かってしまったものは仕方がない。
大和のことをどう思っているのか尋ねられた千尋が、なかなか答えられなかったのは、大和のことは好きではないけれど、面と向かっては言いにくいから。そういうことなのだ。
だから大和は、分かった、と言ったのだが…………千尋を泣かせてしまった以上、それは正しい答えではなかったようだ。
泣きながら千尋は、またしても大和に、嫌いになって、と言って来た。
けれど、どんなに千尋にそう言われても、やっぱり好きとか嫌いというのは理屈ではないし、千尋を好きという気持ちを無理に捻じ曲げることは出来ないから、正直に、無理だと答えた。
最後くらい、千尋の望みを叶えてあげたかったけれど、好きなのに、嫌いだと言って別れることは出来なかった。
その代わり、千尋のことは嫌いになれないけれど、忘れる努力はする。
千尋としても、好きでもないヤツにいつまでも想われているのは気持ち悪いだろうし、大和も、もう会えない相手をずっと忘れられないのはツラいから。
なのに、それを告げると千尋は、忘れないでと言い、どうして忘れると言うのかと尋ねて来る。
嫌いになってくれと言うくらいなのだから、大和に忘れられるのは、千尋にとって有り難いことだろうに、一体どうしたことかと思いつつ、大和はありのままに胸の内を明かした。
千尋のことが好きでも、もう会えないのだ。それなのに、忘れられないなんてツラいから――――いくら千尋でも、その気持ちは分かると思ったのだ。
しかし、感情を高ぶらせていた千尋の反応は、黙る、だった。
しばらく黙った後、『………………え?』と漏らして、首を少し傾けただけだった。
恐らくは、何かを考えたけれども、意味が分からなかったということなのだろうが、何を悩むことがあったのか大和には分からず、逆に『え?』と聞き返してしまった。
千尋が何を疑問に思ったのかは、首を倒したタイミングからしても、その直前の大和の発言なのだろうが、別にそんなおかしなことは言っていないはずだ。
「え、何、ちーちゃん」
「いや…、『何?』とかこっちのセリフだし。何言ってんの、大和くん」
「え、俺? いや、ちーちゃんが急に『え?』とか言うから、何かと思って」
「だって大和くんが変なこと言うから」
「変なこと?? え? 俺が?」
いや、大和は変なことなど言っていない。
少なくとも、千尋をそこまでキョトンとさせるようなことは。
「えと…、俺、何か変なこと言ったっけ?」
「ゆったよ! 好き、てゆった!」
「それって……好きなのにもう会えないから、忘れなかったらツラい、て言ったアレ?」
「そーだよ! 何だよ、好き、て!」
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千尋が泣き出したのは、大和が、千尋の気持ちを分かったと言ったことが原因だった。
しかし、分かってしまったものは仕方がない。
大和のことをどう思っているのか尋ねられた千尋が、なかなか答えられなかったのは、大和のことは好きではないけれど、面と向かっては言いにくいから。そういうことなのだ。
だから大和は、分かった、と言ったのだが…………千尋を泣かせてしまった以上、それは正しい答えではなかったようだ。
泣きながら千尋は、またしても大和に、嫌いになって、と言って来た。
けれど、どんなに千尋にそう言われても、やっぱり好きとか嫌いというのは理屈ではないし、千尋を好きという気持ちを無理に捻じ曲げることは出来ないから、正直に、無理だと答えた。
最後くらい、千尋の望みを叶えてあげたかったけれど、好きなのに、嫌いだと言って別れることは出来なかった。
その代わり、千尋のことは嫌いになれないけれど、忘れる努力はする。
千尋としても、好きでもないヤツにいつまでも想われているのは気持ち悪いだろうし、大和も、もう会えない相手をずっと忘れられないのはツラいから。
なのに、それを告げると千尋は、忘れないでと言い、どうして忘れると言うのかと尋ねて来る。
嫌いになってくれと言うくらいなのだから、大和に忘れられるのは、千尋にとって有り難いことだろうに、一体どうしたことかと思いつつ、大和はありのままに胸の内を明かした。
千尋のことが好きでも、もう会えないのだ。それなのに、忘れられないなんてツラいから――――いくら千尋でも、その気持ちは分かると思ったのだ。
しかし、感情を高ぶらせていた千尋の反応は、黙る、だった。
しばらく黙った後、『………………え?』と漏らして、首を少し傾けただけだった。
恐らくは、何かを考えたけれども、意味が分からなかったということなのだろうが、何を悩むことがあったのか大和には分からず、逆に『え?』と聞き返してしまった。
千尋が何を疑問に思ったのかは、首を倒したタイミングからしても、その直前の大和の発言なのだろうが、別にそんなおかしなことは言っていないはずだ。
「え、何、ちーちゃん」
「いや…、『何?』とかこっちのセリフだし。何言ってんの、大和くん」
「え、俺? いや、ちーちゃんが急に『え?』とか言うから、何かと思って」
「だって大和くんが変なこと言うから」
「変なこと?? え? 俺が?」
いや、大和は変なことなど言っていない。
少なくとも、千尋をそこまでキョトンとさせるようなことは。
「えと…、俺、何か変なこと言ったっけ?」
「ゆったよ! 好き、てゆった!」
「それって……好きなのにもう会えないから、忘れなかったらツラい、て言ったアレ?」
「そーだよ! 何だよ、好き、て!」
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