スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋の女神は微笑まない (225)
2014.12.27 Sat
「いつ…て、大和くんが電話くれたときに決まってんじゃん。それから全然会ってないし、話してないんだから」
「………………。待って。その電話て、もしかして、ちーちゃんが『付き合わない』て言ったときの?」
「うん。あのとき俺、めっちゃひどいこと言ったし…。大和くんが悪いわけじゃないのにさ」
大和が最後に千尋と話をしたのは、週刊誌に千尋との写真が載った後、謝るべく千尋に電話をしたとき――――つまりは、千尋に別れを切り出されたときだ。
あのとき千尋から言われたことは、確かにひどいことだったかもしれないし、大和にしてみれば言われたくないことではあった。
しかしそれは、そう言われるだけのことを大和がしたからであって、それに対して千尋が罪悪感を抱く必要はないし、ましてや大和が千尋に文句を言うなどあり得ないのに。
「じゃあちーちゃんは、そのときのことを、俺が怒ってると思ってたの?」
「怒ってる、ていうか……ムカついてるとは思ってた。ムカついたでしょ?」
「そんなこと全然ないし! だって…、ちーちゃんにそう言われても仕方のないことしたのは俺だし。むしろ、そのことでちーちゃんがまだ怒ってると思ってた」
「え、俺が怒っ……いやまぁ、あのときは怒って…つーか、ムカついて大和くんにめっちゃ言ったけど、よく考えたら大和くんが悪いわけじゃないんだよなぁ、て思って。なのにあんなに言っちゃったから、大和くんを怒らせちゃったなぁ、て思ってたんだけど…」
つまり千尋の怒りは、あの電話のときがピークで、言った後から千尋は反省して、気にしていたということか。
千尋からの電話を受け、大和は千尋がそれからずっと怒っていていると思っていたし、それだけ怒っているのだから、大和のことも当然嫌いになったと思っていたのだが、千尋も、電話であんなことを言ったせいで、大和が怒っていると思っていたわけか。
あの電話以来、思っていることを確認し合ったことはなく、お互い、相手の気持ちを勝手に想像して、思い込んでいたということか。
けれど、例えば今まで付き合ってきた彼女だって、別れることになったとき、もちろん理由は聞くけれど、それから先の相手の気持ちを考えたことなんてなかった。
別れた直後はそれなりに落ち込むし、いろいろと考えはするけれど、彼女の自分に対する気持ちは、別れたいと言って来たからには、嫌いに思っている、としか考えていなかった。
今さら昔の彼女の気持ちをどうこうすることは出来ないけれど、少しくらいは未練がましく、相手の気持ちをもっと聞こうとしていたらよかったのかもしれない。
そうしたら、今回だって、こんなにこじれて千尋に勘違いさせる前に、何かが変わっていたかもしれないのに。
「俺は怒ってないよ。ちーちゃんは、ひどいこと言って俺を怒らせたって思ってたみたいだけど、俺はちーちゃんを怒らせたって思ってたんだから……文句なんて何もないの。分かった?」
「分かった…」
今度こそ本当に分かってくれたのか、千尋は頷いた後、「そーだったんだ…」なんて呟いている。
千尋の思考回路は割かし突飛なほうだから、いろいろと思い込みが過ぎるところはあったけれど、相手の気持ちをちゃんと確認しなければ、互いに誤解し、すれ違って行くのは、何も千尋相手だからだけではないことだ。
back next
「………………。待って。その電話て、もしかして、ちーちゃんが『付き合わない』て言ったときの?」
「うん。あのとき俺、めっちゃひどいこと言ったし…。大和くんが悪いわけじゃないのにさ」
大和が最後に千尋と話をしたのは、週刊誌に千尋との写真が載った後、謝るべく千尋に電話をしたとき――――つまりは、千尋に別れを切り出されたときだ。
あのとき千尋から言われたことは、確かにひどいことだったかもしれないし、大和にしてみれば言われたくないことではあった。
しかしそれは、そう言われるだけのことを大和がしたからであって、それに対して千尋が罪悪感を抱く必要はないし、ましてや大和が千尋に文句を言うなどあり得ないのに。
「じゃあちーちゃんは、そのときのことを、俺が怒ってると思ってたの?」
「怒ってる、ていうか……ムカついてるとは思ってた。ムカついたでしょ?」
「そんなこと全然ないし! だって…、ちーちゃんにそう言われても仕方のないことしたのは俺だし。むしろ、そのことでちーちゃんがまだ怒ってると思ってた」
「え、俺が怒っ……いやまぁ、あのときは怒って…つーか、ムカついて大和くんにめっちゃ言ったけど、よく考えたら大和くんが悪いわけじゃないんだよなぁ、て思って。なのにあんなに言っちゃったから、大和くんを怒らせちゃったなぁ、て思ってたんだけど…」
つまり千尋の怒りは、あの電話のときがピークで、言った後から千尋は反省して、気にしていたということか。
千尋からの電話を受け、大和は千尋がそれからずっと怒っていていると思っていたし、それだけ怒っているのだから、大和のことも当然嫌いになったと思っていたのだが、千尋も、電話であんなことを言ったせいで、大和が怒っていると思っていたわけか。
あの電話以来、思っていることを確認し合ったことはなく、お互い、相手の気持ちを勝手に想像して、思い込んでいたということか。
けれど、例えば今まで付き合ってきた彼女だって、別れることになったとき、もちろん理由は聞くけれど、それから先の相手の気持ちを考えたことなんてなかった。
別れた直後はそれなりに落ち込むし、いろいろと考えはするけれど、彼女の自分に対する気持ちは、別れたいと言って来たからには、嫌いに思っている、としか考えていなかった。
今さら昔の彼女の気持ちをどうこうすることは出来ないけれど、少しくらいは未練がましく、相手の気持ちをもっと聞こうとしていたらよかったのかもしれない。
そうしたら、今回だって、こんなにこじれて千尋に勘違いさせる前に、何かが変わっていたかもしれないのに。
「俺は怒ってないよ。ちーちゃんは、ひどいこと言って俺を怒らせたって思ってたみたいだけど、俺はちーちゃんを怒らせたって思ってたんだから……文句なんて何もないの。分かった?」
「分かった…」
今度こそ本当に分かってくれたのか、千尋は頷いた後、「そーだったんだ…」なんて呟いている。
千尋の思考回路は割かし突飛なほうだから、いろいろと思い込みが過ぎるところはあったけれど、相手の気持ちをちゃんと確認しなければ、互いに誤解し、すれ違って行くのは、何も千尋相手だからだけではないことだ。
back next
- 関連記事
-
- 恋の女神は微笑まない (226) (2014/12/28)
- 恋の女神は微笑まない (225) (2014/12/27)
- 恋の女神は微笑まない (224) (2014/12/26)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。