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恋の女神は微笑まない (209)
2014.12.10 Wed
chihiro
「…………寒ぃ…………」
深夜の駅前で、千尋はポツリと呟き、鼻を啜った。
ちなみに千尋が鼻を啜ったのは、泣いたせいで鼻水が垂れたからではなく、完全に寒さゆえのことだった。
千尋は暑がりだから、この時期、夜でもそんなに着込まなくても平気な人なんだけれど、さすがに終電も終わったような時間に、ただ突っ立っているだけというのは、結構寒い。
しかし、千尋だって、何も好きでこんな寒い思いをしているわけではない。出来ることなら、さっさと家に帰って、ふとんに潜り込みたい。あ、風呂にも入りたい。
それなのに、そう出来ないのにはもちろん訳があって、千尋はまんまと終電に乗り遅れたのである。
駅には、終電に間に合う時間に到着したのだ。それは間違いない。
しかし、改札を通ろうとICカードを取り出そうとしたところで、気付かなければよかったものを、千尋は、着信を告げるスマホのランプを見つけてしまったのだ。
無視することだって、少なくとも電車に乗ってから確認することだって出来たはずなのに、千尋は何の気なしにスマホを手に取り、電源を入れていた。
そして、ディスプレイに表示されたポップアップの宛名を見た瞬間、驚いて『閉じる』ではなく『表示』をタップしてしまった千尋はますます慌てたが、内容を読んでさらにパニックに陥った。
大和が、千尋に会いたいとメッセージを送って来たのだ。しかも、いつ会えるのかまで聞いて来ている。
わけが分からなくなった千尋の思考回路が行き着いた先は、先ほど別れたばかりの琉の存在だった。
何もないのに大和が連絡して来るはずないから、琉が何か入れ知恵したに違いない。そう思った千尋は、すぐさま遥希に電話をして、琉に代わらせたのだ。
しかし、電話に出た琉は何もしていないと言うし、聞けば、どうやら大和が自分で千尋に連絡するようなことを言ったらしいし…………もうすっかり理解不能。つい、琉と話し込んでしまって、気付けば終電は行った後だったという…。
ああぁ…。
終電を逃した人が、その状況を画像とともにネットにアップしていることがあるけれど、実際に自分がその状況になると、悪いがそういうテンションにはさっぱりならない。
ただただ虚しいだけだ。
こうなったらタクシーに乗って、うんと遠回りして帰って、琉に高く請求してやろう。
そうでなければ、とても腹の虫が治まらない。
「でも…」
その前に、大和に返事をしないと…と、スリープ状態のスマホの画面を見て、溜め息を零した。
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「…………寒ぃ…………」
深夜の駅前で、千尋はポツリと呟き、鼻を啜った。
ちなみに千尋が鼻を啜ったのは、泣いたせいで鼻水が垂れたからではなく、完全に寒さゆえのことだった。
千尋は暑がりだから、この時期、夜でもそんなに着込まなくても平気な人なんだけれど、さすがに終電も終わったような時間に、ただ突っ立っているだけというのは、結構寒い。
しかし、千尋だって、何も好きでこんな寒い思いをしているわけではない。出来ることなら、さっさと家に帰って、ふとんに潜り込みたい。あ、風呂にも入りたい。
それなのに、そう出来ないのにはもちろん訳があって、千尋はまんまと終電に乗り遅れたのである。
駅には、終電に間に合う時間に到着したのだ。それは間違いない。
しかし、改札を通ろうとICカードを取り出そうとしたところで、気付かなければよかったものを、千尋は、着信を告げるスマホのランプを見つけてしまったのだ。
無視することだって、少なくとも電車に乗ってから確認することだって出来たはずなのに、千尋は何の気なしにスマホを手に取り、電源を入れていた。
そして、ディスプレイに表示されたポップアップの宛名を見た瞬間、驚いて『閉じる』ではなく『表示』をタップしてしまった千尋はますます慌てたが、内容を読んでさらにパニックに陥った。
大和が、千尋に会いたいとメッセージを送って来たのだ。しかも、いつ会えるのかまで聞いて来ている。
わけが分からなくなった千尋の思考回路が行き着いた先は、先ほど別れたばかりの琉の存在だった。
何もないのに大和が連絡して来るはずないから、琉が何か入れ知恵したに違いない。そう思った千尋は、すぐさま遥希に電話をして、琉に代わらせたのだ。
しかし、電話に出た琉は何もしていないと言うし、聞けば、どうやら大和が自分で千尋に連絡するようなことを言ったらしいし…………もうすっかり理解不能。つい、琉と話し込んでしまって、気付けば終電は行った後だったという…。
ああぁ…。
終電を逃した人が、その状況を画像とともにネットにアップしていることがあるけれど、実際に自分がその状況になると、悪いがそういうテンションにはさっぱりならない。
ただただ虚しいだけだ。
こうなったらタクシーに乗って、うんと遠回りして帰って、琉に高く請求してやろう。
そうでなければ、とても腹の虫が治まらない。
「でも…」
その前に、大和に返事をしないと…と、スリープ状態のスマホの画面を見て、溜め息を零した。
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