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恋の女神は微笑まない (208)
2014.12.09 Tue
「ちょっと待って、ハルちゃんが代わりたいって」
『え、別にいい』
「おい、待て、ざけんな」
琉よりも絶対に千尋のことを心配している遥希が代わろうとしているのに、『別にいい』とは何だ。
冗談だと分かっているのに、つい琉が突っ込めば、先ほどまでのしおらしい態度はどこへ行ったのやら、千尋が鼻で笑うのが分かった(これでこそ千尋だが、やっぱりムカつく…)。
「もしもし、ちーちゃん?」
『そうだよ、ちーちゃんだよ。何?』
「あのね、ちーちゃん、あのね。…………あのね、ちーちゃんは、自分の思ったことを信じてね?」
『は?』
「でも、大和くんのこと…てか、大和くんの気持ち? その…何て言っていいか分かんないけど…、それも信じて。何で今日、大和くんが連絡してきたのか。で、ちーちゃんが後悔しない答えを選んで」
『………………』
遥希は、とても恋のアドバイスをしてあげられるほど恋愛経験豊富ではないし、説明とか話をするのもうまいほうではないし、人の心配より自分の心配をしていたほうがいいタイプだから、千尋に何かいい道しるべを示してやるなんて出来ないけれど、後悔だけはしてほしくないから、がんばって千尋に思っていることを伝えた。
この恋の結末をどうするかは千尋が決めることで、たとえそれがハッピーエンドでなかったとしても、後悔だけはしないで。
あのときの判断が間違っていたと、悔やむことだけはしないで。
「ちーちゃん、」
『…分かってるよ』
黙り込んでしまった千尋に、もう1度呼び掛ければ、千尋はとても素っ気なくそう答えて、別れの挨拶もなく電話を切った。
遥希にくっ付いて電話を聞いていた琉は(先ほどの遥希と違って、完全に聞き耳を立てていた)、あまりにぶっきらぼうな千尋の態度にムッとしたが、なぜか遥希は微笑んでいる。
遥希は知っているのだ。千尋がこんなふうな言い方をするときは、本当はありがとうを言いたいのに、照れくさくてうまく言えないときだということを。
「ちーちゃん、ちゃんと大和くんに連絡してくれるよね?」
「どーだろうな。最初からその気がなかったら、俺にも電話して来なかっただろうから、するとは思うけど…………ハルちゃん、」
「ぅ?」
「もうちーちゃんはおしまい。ベッド行こ?」
「あ…」
そういえば、そんなことを言っているときに、千尋から電話が来たんだった…。
何だか仕切り直すのって恥ずかしい……なんて思う間もなく、遥希は琉に抱き上げられ、ベッドへと連れて行かれるのだった。
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『え、別にいい』
「おい、待て、ざけんな」
琉よりも絶対に千尋のことを心配している遥希が代わろうとしているのに、『別にいい』とは何だ。
冗談だと分かっているのに、つい琉が突っ込めば、先ほどまでのしおらしい態度はどこへ行ったのやら、千尋が鼻で笑うのが分かった(これでこそ千尋だが、やっぱりムカつく…)。
「もしもし、ちーちゃん?」
『そうだよ、ちーちゃんだよ。何?』
「あのね、ちーちゃん、あのね。…………あのね、ちーちゃんは、自分の思ったことを信じてね?」
『は?』
「でも、大和くんのこと…てか、大和くんの気持ち? その…何て言っていいか分かんないけど…、それも信じて。何で今日、大和くんが連絡してきたのか。で、ちーちゃんが後悔しない答えを選んで」
『………………』
遥希は、とても恋のアドバイスをしてあげられるほど恋愛経験豊富ではないし、説明とか話をするのもうまいほうではないし、人の心配より自分の心配をしていたほうがいいタイプだから、千尋に何かいい道しるべを示してやるなんて出来ないけれど、後悔だけはしてほしくないから、がんばって千尋に思っていることを伝えた。
この恋の結末をどうするかは千尋が決めることで、たとえそれがハッピーエンドでなかったとしても、後悔だけはしないで。
あのときの判断が間違っていたと、悔やむことだけはしないで。
「ちーちゃん、」
『…分かってるよ』
黙り込んでしまった千尋に、もう1度呼び掛ければ、千尋はとても素っ気なくそう答えて、別れの挨拶もなく電話を切った。
遥希にくっ付いて電話を聞いていた琉は(先ほどの遥希と違って、完全に聞き耳を立てていた)、あまりにぶっきらぼうな千尋の態度にムッとしたが、なぜか遥希は微笑んでいる。
遥希は知っているのだ。千尋がこんなふうな言い方をするときは、本当はありがとうを言いたいのに、照れくさくてうまく言えないときだということを。
「ちーちゃん、ちゃんと大和くんに連絡してくれるよね?」
「どーだろうな。最初からその気がなかったら、俺にも電話して来なかっただろうから、するとは思うけど…………ハルちゃん、」
「ぅ?」
「もうちーちゃんはおしまい。ベッド行こ?」
「あ…」
そういえば、そんなことを言っているときに、千尋から電話が来たんだった…。
何だか仕切り直すのって恥ずかしい……なんて思う間もなく、遥希は琉に抱き上げられ、ベッドへと連れて行かれるのだった。
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