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恋の女神は微笑まない (204)
2014.12.05 Fri
「あの、いや、悪ぃ…、どうした?」
あまりの千尋のキレっぷりに、何も悪くないはずなのに、遥希と同じく、琉もつい謝ってしまう。
『ッ…、大和くんから連絡来たんだけどっ…!』
「………………。へぇ…」
あ、そう。で? …と続けそうになって、琉は何とかその言葉を飲み込んだ。その返事は絶対にダメだ。火に油どころか、ガソリンを注ぐようなものだ。
しかし、返事としては、それしか言いようがないのもまた事実だ。
大和から連絡が来るということは、千尋にとっては重大な事件かもしれないが、それを琉に言われたところでどうしようもないし、ましてや怒鳴られる筋合いもない。
『てめぇ、何か知ってんだろっ! どういうことなんだよっ!』
「どういう、て…………別に何も知らないけど…」
確かに琉は今日、遥希の家に来る前は大和と一緒で、社長室から出て来た大和が、千尋に謝るために連絡を取るようなこと言っていたのは聞いたが、それだけだ。
それは琉がそうするように指示したわけでもないし、いつ、どんな内容で、どんなふうに連絡するかだって知らなかったし。
『………………』
「いや、ホントだって!」
電話の向こうから、ものすごい怒気と、琉に対する疑いの気持ちを感じ取って、琉は慌てて付け加える。
そんな勘違いで恨まれたくはない。
「連絡するみたいなことは言ってたけど、いつするかなんて知らなかったし」
『何で大和くんが連絡して来んだよ、俺に! つか、お前も何普通に聞いてんだよ! 突っ込めよっ!』
「いや、だって…」
何でも何にも、大和が千尋に連絡をしたのは、コンサートでも言っていたとおり、傷付けたことを謝りたいと思っているからで、それは別に突っ込みどころではない。
むしろ琉が突っ込みたいのは、今の千尋にだ。
先ほども遥希から聞いて相当驚いたのだが、コンサートで大和が言った『大切な人』を、どうして千尋は、自分ではない誰かだと思っているのだ。
そう思っていたのなら、大和から連絡が来れば驚くのも無理からぬことだが、そんなふうに考える千尋の思考回路が、琉にはまったく理解できない。
「大和は…」
大和はまだ千尋のことが好きで、コンサートで言っていた『大切な人』とは千尋のことで、だから千尋に謝りたいと思っているから連絡したんだよ、と全部言ってやろうかと思ったが、言葉にする前に琉は口を噤んだ。
それは琉が言うことではない。
琉が言ったのでは千尋が信じないとかそういうことでなくて、大和が自分の言葉で伝えることだから。
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あまりの千尋のキレっぷりに、何も悪くないはずなのに、遥希と同じく、琉もつい謝ってしまう。
『ッ…、大和くんから連絡来たんだけどっ…!』
「………………。へぇ…」
あ、そう。で? …と続けそうになって、琉は何とかその言葉を飲み込んだ。その返事は絶対にダメだ。火に油どころか、ガソリンを注ぐようなものだ。
しかし、返事としては、それしか言いようがないのもまた事実だ。
大和から連絡が来るということは、千尋にとっては重大な事件かもしれないが、それを琉に言われたところでどうしようもないし、ましてや怒鳴られる筋合いもない。
『てめぇ、何か知ってんだろっ! どういうことなんだよっ!』
「どういう、て…………別に何も知らないけど…」
確かに琉は今日、遥希の家に来る前は大和と一緒で、社長室から出て来た大和が、千尋に謝るために連絡を取るようなこと言っていたのは聞いたが、それだけだ。
それは琉がそうするように指示したわけでもないし、いつ、どんな内容で、どんなふうに連絡するかだって知らなかったし。
『………………』
「いや、ホントだって!」
電話の向こうから、ものすごい怒気と、琉に対する疑いの気持ちを感じ取って、琉は慌てて付け加える。
そんな勘違いで恨まれたくはない。
「連絡するみたいなことは言ってたけど、いつするかなんて知らなかったし」
『何で大和くんが連絡して来んだよ、俺に! つか、お前も何普通に聞いてんだよ! 突っ込めよっ!』
「いや、だって…」
何でも何にも、大和が千尋に連絡をしたのは、コンサートでも言っていたとおり、傷付けたことを謝りたいと思っているからで、それは別に突っ込みどころではない。
むしろ琉が突っ込みたいのは、今の千尋にだ。
先ほども遥希から聞いて相当驚いたのだが、コンサートで大和が言った『大切な人』を、どうして千尋は、自分ではない誰かだと思っているのだ。
そう思っていたのなら、大和から連絡が来れば驚くのも無理からぬことだが、そんなふうに考える千尋の思考回路が、琉にはまったく理解できない。
「大和は…」
大和はまだ千尋のことが好きで、コンサートで言っていた『大切な人』とは千尋のことで、だから千尋に謝りたいと思っているから連絡したんだよ、と全部言ってやろうかと思ったが、言葉にする前に琉は口を噤んだ。
それは琉が言うことではない。
琉が言ったのでは千尋が信じないとかそういうことでなくて、大和が自分の言葉で伝えることだから。
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