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恋の女神は微笑まない (171)
2014.11.02 Sun
今日の千尋にそうした事情はないのだが、規制退場となる一般席に対して、この関係者席がいつ帰れるのかも知らないし、何が何でも最後まで見たがる遥希は、今日は終わったら琉のところに行くから、帰りは別だ。
それなら、千尋が一足先に帰ったところで、何に差し支えることもないだろう。遥希は文句を言うかもしれないが、ここまで付き合ったのだから、もう十分だ。
「…ハルちゃん、」
琉が喋っている間に声を掛けるのはさすがに悪いと思って(今日の千尋は、柄にもなく気を遣いっぱなしだ)、挨拶が終わって、観客の拍手が止んだところで、遥希の袖を引っ張った。
「あのさ、俺今日…」
『みなさん、今日は――――……』
千尋が話し始めたところで、大和の挨拶が始まった。
遥希は誰よりも琉ファンではあるが、千尋との一件の有無にかかわらず、大和のことが嫌いなわけではないから、大和の挨拶だってちゃんと聞く。だから、千尋に話し掛けられても、意識がステージのほうに向いてしまって。
仕方なく千尋も諦めて前を向いた。帰るのはラストの曲が終わってからのつもりだから、今言えなくてもまだ間に合うだろう。
今日見に来てくれたこと、無事に千秋楽を迎えられたことに対するお礼が、内容は同じとはいえ、琉とはまた違った言葉で述べられる。
どのくらいの期間のツアーだったのか知らないが(遥希から聞いた気もする…)、それなりの公演回数はあっただろう、それをやり切ろうとしているのだからすごいことだし、ファンやスタッフの力あってこそだという2人の言葉も、間違いない。
(大和くん…)
千尋はこの挨拶を聞いて、ラストの曲を聞いたら帰るつもりで、…だから、生で大和を見るのはこれが最後になる。
何となく切ない気持ちになって、だったらアンコールも含めて最後まで見たらいいんだろうけど、でも本当はこんな『最後』だってないはずだったんだから、これ以上を望むのはやめよう。
『あと、ゴメン、最後に一言っ…』
挨拶が一区切りして、観客も拍手を送ったのだが、頭を上げた大和が慌てて付け加えてきたので、観客はキョトンとしつつもどよめいた。
予定にないことなのだろう、ステージ上の琉も、どうした? という顔で大和を見ている。
『あの…、ゴメン、こんなとこで言うことじゃないかもだけど、ラストだし、自分の言葉でちゃんと伝えたいから…』
真剣な表情の大和に、ざわついていた会場が静まり返った。
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それなら、千尋が一足先に帰ったところで、何に差し支えることもないだろう。遥希は文句を言うかもしれないが、ここまで付き合ったのだから、もう十分だ。
「…ハルちゃん、」
琉が喋っている間に声を掛けるのはさすがに悪いと思って(今日の千尋は、柄にもなく気を遣いっぱなしだ)、挨拶が終わって、観客の拍手が止んだところで、遥希の袖を引っ張った。
「あのさ、俺今日…」
『みなさん、今日は――――……』
千尋が話し始めたところで、大和の挨拶が始まった。
遥希は誰よりも琉ファンではあるが、千尋との一件の有無にかかわらず、大和のことが嫌いなわけではないから、大和の挨拶だってちゃんと聞く。だから、千尋に話し掛けられても、意識がステージのほうに向いてしまって。
仕方なく千尋も諦めて前を向いた。帰るのはラストの曲が終わってからのつもりだから、今言えなくてもまだ間に合うだろう。
今日見に来てくれたこと、無事に千秋楽を迎えられたことに対するお礼が、内容は同じとはいえ、琉とはまた違った言葉で述べられる。
どのくらいの期間のツアーだったのか知らないが(遥希から聞いた気もする…)、それなりの公演回数はあっただろう、それをやり切ろうとしているのだからすごいことだし、ファンやスタッフの力あってこそだという2人の言葉も、間違いない。
(大和くん…)
千尋はこの挨拶を聞いて、ラストの曲を聞いたら帰るつもりで、…だから、生で大和を見るのはこれが最後になる。
何となく切ない気持ちになって、だったらアンコールも含めて最後まで見たらいいんだろうけど、でも本当はこんな『最後』だってないはずだったんだから、これ以上を望むのはやめよう。
『あと、ゴメン、最後に一言っ…』
挨拶が一区切りして、観客も拍手を送ったのだが、頭を上げた大和が慌てて付け加えてきたので、観客はキョトンとしつつもどよめいた。
予定にないことなのだろう、ステージ上の琉も、どうした? という顔で大和を見ている。
『あの…、ゴメン、こんなとこで言うことじゃないかもだけど、ラストだし、自分の言葉でちゃんと伝えたいから…』
真剣な表情の大和に、ざわついていた会場が静まり返った。
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