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恋の女神は微笑まない (170)
2014.11.01 Sat
*****
途中にMCを挟んで、コンサートはつつがなく終盤へと向かっていく。
大和は千尋の存在に気付いたけれど、それに動じることなく歌い、踊った。それでいい。別に千尋は、大和をどうこうしてやろうと思って、ここに来たわけではないのだから。
今日はこうして遥希のお供でコンサートに来たけれど、もうそんなこともしないから、先ほどのあの一瞬の接触は、記憶の片隅にも残さず、忘れ去ってほしい。
それで、すべてが終わりだ。
――――いや、本当はあの夏の日。
大和からの電話に対し、別れを告げたあのときが、最後になるはずだったのだけれど。
あれだけ言って、一方的に電話を切ったくせに、こうしてコンサートにやって来るなんて、何と愚かな男だと思ったことだろう。遥希に乗せられたとはいえ、自分でもそう思う。
…でももうこれで本当に最後にするから。
これから先、どんなに遥希がぐずって駄々を捏ねてねだっても、もう2度と、言うことなんて聞かないから。
「――――…………」
2人が歌い終わると、余韻を伴って演奏も止んだ。
通常は、曲が終わると間を置かずに次の曲が始まるのだが、MCのようにトークが続く場合は、こうしていったん演奏が止まるのだ。
このコンサートでのMCはもう終わっているから、時間的にも、これから最後の挨拶があるのだろう。ラストの曲の前に、それぞれが一言ずつ挨拶する流れだ。
まぁ、その後にアンコールで再登場するので、必ずしも最後とは言い切れないのだが。
静かになった会場内で、時折、琉や大和の名前を呼ぶ声がする。
ステージ上の2人に、スポットライトが当たる。
最初に口を開いたのは、琉だった。
楽しんでくれたかと煽る言葉の後に、見に来てくれたことへのお礼が続く。千尋は知らなかったが、今日は千秋楽だったようで、今日までやって来れたことへの感謝の言葉もあった。
基本的に千尋は、琉のことをバカにする目線でしか見ていないが、こういう姿を見ていると、顔の造作だけでなく、いい男だと思う。うん、ちょっとだけ見直した。
これから先、大和と会うことはなくとも、千尋が遥希の友人であり、琉が遥希の恋人である限り、琉と会う機会はあるだろうから、次に会ったときは、ちょっと態度を変えてやらないでもない。
(つか、アンコールになる前に帰ろ…)
最後の挨拶の後、ラストの曲を歌ったら、アンコールで再登場するまで2人はいったん下がるのだが、帰りの混雑を避けるために、そのタイミングで帰る観客も少なからずいる。
ファンなら最後まで見たいだろうけれど、電車の時間だとか、いろいろな都合があるようなので。
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途中にMCを挟んで、コンサートはつつがなく終盤へと向かっていく。
大和は千尋の存在に気付いたけれど、それに動じることなく歌い、踊った。それでいい。別に千尋は、大和をどうこうしてやろうと思って、ここに来たわけではないのだから。
今日はこうして遥希のお供でコンサートに来たけれど、もうそんなこともしないから、先ほどのあの一瞬の接触は、記憶の片隅にも残さず、忘れ去ってほしい。
それで、すべてが終わりだ。
――――いや、本当はあの夏の日。
大和からの電話に対し、別れを告げたあのときが、最後になるはずだったのだけれど。
あれだけ言って、一方的に電話を切ったくせに、こうしてコンサートにやって来るなんて、何と愚かな男だと思ったことだろう。遥希に乗せられたとはいえ、自分でもそう思う。
…でももうこれで本当に最後にするから。
これから先、どんなに遥希がぐずって駄々を捏ねてねだっても、もう2度と、言うことなんて聞かないから。
「――――…………」
2人が歌い終わると、余韻を伴って演奏も止んだ。
通常は、曲が終わると間を置かずに次の曲が始まるのだが、MCのようにトークが続く場合は、こうしていったん演奏が止まるのだ。
このコンサートでのMCはもう終わっているから、時間的にも、これから最後の挨拶があるのだろう。ラストの曲の前に、それぞれが一言ずつ挨拶する流れだ。
まぁ、その後にアンコールで再登場するので、必ずしも最後とは言い切れないのだが。
静かになった会場内で、時折、琉や大和の名前を呼ぶ声がする。
ステージ上の2人に、スポットライトが当たる。
最初に口を開いたのは、琉だった。
楽しんでくれたかと煽る言葉の後に、見に来てくれたことへのお礼が続く。千尋は知らなかったが、今日は千秋楽だったようで、今日までやって来れたことへの感謝の言葉もあった。
基本的に千尋は、琉のことをバカにする目線でしか見ていないが、こういう姿を見ていると、顔の造作だけでなく、いい男だと思う。うん、ちょっとだけ見直した。
これから先、大和と会うことはなくとも、千尋が遥希の友人であり、琉が遥希の恋人である限り、琉と会う機会はあるだろうから、次に会ったときは、ちょっと態度を変えてやらないでもない。
(つか、アンコールになる前に帰ろ…)
最後の挨拶の後、ラストの曲を歌ったら、アンコールで再登場するまで2人はいったん下がるのだが、帰りの混雑を避けるために、そのタイミングで帰る観客も少なからずいる。
ファンなら最後まで見たいだろうけれど、電車の時間だとか、いろいろな都合があるようなので。
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