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恋の女神は微笑まない (166)
2014.10.28 Tue
何曲か終わって、また新たな曲が始まると、観客の歓声がひときわ大きくなる。ステージ上の2人が二手に分かれ、それぞれトロッコに乗ったことが、歓声の理由のようだ。
2人の乗ったトロッコが、アリーナ席とスタンド席の間の通路を通って、後方へと向かっていくのだ。今まで遠くに見えていたFATEの2人が近くにやって来るのだから、喜びで声が大きくなるのも無理はない。
幸いにも、千尋たちの席のほう側へは琉が来て、大和はそれとは反対側のほうへと行ったので、千尋は少しホッとする。
だって、これだけ観客がいるとはいえ、大和は関係者席の位置を知っているだろうから、もしこちら側にやって来たら、そこにいる千尋を見つけてしまうかもしれない。
千尋が来ていることは知っていても、どこにいるか分からないでいるうちは、来ていないも同然に振る舞っていられるだろうけれど、万が一にも、実際に千尋を見掛けたら、やっぱり気まずいと思う。
それに、紛うことなき琉ファンである遥希にしたら、近くに来るのが大和でももちろん喜ぶだろうけど、琉が来てくれたほうが断然嬉しがるだろうから、後々の面倒くささのことを考えても、このほうがよい。
現に遥希は、ペンライトを握り締めて、キャーキャー言っている。
(…いや、ハルちゃん、しょっちゅう水落と会ってるでしょ)
大好きな琉が近くに来て、浮かれる気持ちは分かるが、いつももっと至近距離で琉に会って、そして愛し合っているだろうに…。完全にただのファンと化している遥希に、千尋は心の中で突っ込む。
そんな遥希に対して、琉はといえば。
アリーナ席とスタンド席の両方に、万遍なく手を振ったり歓声に応えたりしていたけれど、関係者席の辺りに差し掛かると、完全に関係者席のほう……いや、遥希を見て歌っているのが、千尋にも分かった。
トロッコの速度的に、前を通り過ぎるのにそれほど時間を要しないから、その間、反対側の観客が蔑ろにされていたわけではないが、とにかく琉は、ある程度の位置を知っていたとはいえ、これだけいる観客の中から遥希の姿を見つけ出し、彼に向かって笑い掛け、手を振ったのだ。
それが単なる偶然だとか、そう見えただけで、実は琉にそんなつもりはなかったとか、そんなことないのは、遥希の隣にいた千尋が保証する。琉は確実に遥希に向かって、あらん限りの愛情を表現していた。
(ケッ)
どうせ琉は遥希しか見ていないだろうから、千尋は憚らず、嫌そうな顔をした。公私混同ヤロウめ。
琉へのそんな若干のムカつきとともに、呆れつつ隣に目をやれば、そこには千尋の想像どおり、瞳をハートにさせて、ポワンとなっている遥希がいるわけで。
…何が悲しくて、何万人もの観客がいる会場の中で、千尋1人だけがこのバカップルの所業を目の当たりにし、こんな気持ちにならないといけないのだ。
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2人の乗ったトロッコが、アリーナ席とスタンド席の間の通路を通って、後方へと向かっていくのだ。今まで遠くに見えていたFATEの2人が近くにやって来るのだから、喜びで声が大きくなるのも無理はない。
幸いにも、千尋たちの席のほう側へは琉が来て、大和はそれとは反対側のほうへと行ったので、千尋は少しホッとする。
だって、これだけ観客がいるとはいえ、大和は関係者席の位置を知っているだろうから、もしこちら側にやって来たら、そこにいる千尋を見つけてしまうかもしれない。
千尋が来ていることは知っていても、どこにいるか分からないでいるうちは、来ていないも同然に振る舞っていられるだろうけれど、万が一にも、実際に千尋を見掛けたら、やっぱり気まずいと思う。
それに、紛うことなき琉ファンである遥希にしたら、近くに来るのが大和でももちろん喜ぶだろうけど、琉が来てくれたほうが断然嬉しがるだろうから、後々の面倒くささのことを考えても、このほうがよい。
現に遥希は、ペンライトを握り締めて、キャーキャー言っている。
(…いや、ハルちゃん、しょっちゅう水落と会ってるでしょ)
大好きな琉が近くに来て、浮かれる気持ちは分かるが、いつももっと至近距離で琉に会って、そして愛し合っているだろうに…。完全にただのファンと化している遥希に、千尋は心の中で突っ込む。
そんな遥希に対して、琉はといえば。
アリーナ席とスタンド席の両方に、万遍なく手を振ったり歓声に応えたりしていたけれど、関係者席の辺りに差し掛かると、完全に関係者席のほう……いや、遥希を見て歌っているのが、千尋にも分かった。
トロッコの速度的に、前を通り過ぎるのにそれほど時間を要しないから、その間、反対側の観客が蔑ろにされていたわけではないが、とにかく琉は、ある程度の位置を知っていたとはいえ、これだけいる観客の中から遥希の姿を見つけ出し、彼に向かって笑い掛け、手を振ったのだ。
それが単なる偶然だとか、そう見えただけで、実は琉にそんなつもりはなかったとか、そんなことないのは、遥希の隣にいた千尋が保証する。琉は確実に遥希に向かって、あらん限りの愛情を表現していた。
(ケッ)
どうせ琉は遥希しか見ていないだろうから、千尋は憚らず、嫌そうな顔をした。公私混同ヤロウめ。
琉へのそんな若干のムカつきとともに、呆れつつ隣に目をやれば、そこには千尋の想像どおり、瞳をハートにさせて、ポワンとなっている遥希がいるわけで。
…何が悲しくて、何万人もの観客がいる会場の中で、千尋1人だけがこのバカップルの所業を目の当たりにし、こんな気持ちにならないといけないのだ。
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