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恋の女神は微笑まない (165)
2014.10.27 Mon
場内のざわめきが引いていく。しまった、コンサートが始まってしまった――――と同時に、遥希がすくりと立ち上がった。手にはしっかりペンライトを握り締めている。
もし遥希が騒ぎ出したら全力で止めなければ…と思った千尋だったが、それはそうと、遥希だけでなく周りもみんな立ち上がったので、慌てて千尋も腰を上げた。
コンサートにそこまで興味がなくとも、関係者席に呼ばれている以上、つまらなそうな態度ではいられないし、ある程度、周りに合わせた行動をしておかなければマズいだろう。
千尋も一応大人なので、そのくらいの分別はつく。
オープニングの演出が終わったところで、前方のステージがパッと明るくなり、何かしらの曲が流れ始める。
千尋はすぐに確認できなかったが、女の子たちの歓声が一段と大きくなり、「琉ー!」「大和ー!」という声が聞こえてくるから、2人が登場したのだろう。
そんなことよりも、千尋としては、遥希がいつテンションを爆発させないか、そのほうが気掛かりで、ついつい前より横に視線を向けてしまう。
遥希は、千尋のそんな心配をよそに、ペンライトを胸の前でギュッと握りしめ、前方を凝視している。前のときは双眼鏡で見ていたけれど、今回それはいいんだろうか。
というか、とりあえず今は静かにしているからいいけれど、この席であっても、ペンライトはしっかり持つんだね…。
ひとまずのところ、遥希が何とか大人しくしていてくれそうなことが分かったので、千尋はようやくちゃんとステージのほうを向いた。
席から肉眼で見ることも出来るが、その背後にある大きなスクリーンに、2人の姿が大きく映し出されているので、ついそちらのほうを見てしまう。
久しぶりに目にする、大和の姿。
最後に会ったときと、どこか変わっただろうか。
「………………」
千尋はアイドルたる大和のことを殆ど知らないから。
千尋の知っている大和は、こんないかにも衣装然とした服を着て、それこそキメ顔で歌って踊っていたことなどないから。
こういう姿を見るのが初めてなわけではないけれど、あまりにも『そうでないとき』の顔を知りすぎてしまったから、何だか全然知らない人のように思える。
これが、FATEの一ノ瀬大和なのだ。
何万人もの女の子たちを魅了し、虜にする国民的スーパーアイドル。
千尋はFATEの曲なんて、遥希がスマホの着信音にしているヤツくらいしか、それもその部分くらいしか知らなくて、ここまで何曲か歌われてきたのも全然分からなくて。
だから、ただ大和のことを見つめているだけだ。
アイドルの、千尋の知らない顔をした、アイドルの大和のことを。
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もし遥希が騒ぎ出したら全力で止めなければ…と思った千尋だったが、それはそうと、遥希だけでなく周りもみんな立ち上がったので、慌てて千尋も腰を上げた。
コンサートにそこまで興味がなくとも、関係者席に呼ばれている以上、つまらなそうな態度ではいられないし、ある程度、周りに合わせた行動をしておかなければマズいだろう。
千尋も一応大人なので、そのくらいの分別はつく。
オープニングの演出が終わったところで、前方のステージがパッと明るくなり、何かしらの曲が流れ始める。
千尋はすぐに確認できなかったが、女の子たちの歓声が一段と大きくなり、「琉ー!」「大和ー!」という声が聞こえてくるから、2人が登場したのだろう。
そんなことよりも、千尋としては、遥希がいつテンションを爆発させないか、そのほうが気掛かりで、ついつい前より横に視線を向けてしまう。
遥希は、千尋のそんな心配をよそに、ペンライトを胸の前でギュッと握りしめ、前方を凝視している。前のときは双眼鏡で見ていたけれど、今回それはいいんだろうか。
というか、とりあえず今は静かにしているからいいけれど、この席であっても、ペンライトはしっかり持つんだね…。
ひとまずのところ、遥希が何とか大人しくしていてくれそうなことが分かったので、千尋はようやくちゃんとステージのほうを向いた。
席から肉眼で見ることも出来るが、その背後にある大きなスクリーンに、2人の姿が大きく映し出されているので、ついそちらのほうを見てしまう。
久しぶりに目にする、大和の姿。
最後に会ったときと、どこか変わっただろうか。
「………………」
千尋はアイドルたる大和のことを殆ど知らないから。
千尋の知っている大和は、こんないかにも衣装然とした服を着て、それこそキメ顔で歌って踊っていたことなどないから。
こういう姿を見るのが初めてなわけではないけれど、あまりにも『そうでないとき』の顔を知りすぎてしまったから、何だか全然知らない人のように思える。
これが、FATEの一ノ瀬大和なのだ。
何万人もの女の子たちを魅了し、虜にする国民的スーパーアイドル。
千尋はFATEの曲なんて、遥希がスマホの着信音にしているヤツくらいしか、それもその部分くらいしか知らなくて、ここまで何曲か歌われてきたのも全然分からなくて。
だから、ただ大和のことを見つめているだけだ。
アイドルの、千尋の知らない顔をした、アイドルの大和のことを。
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