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恋の女神は微笑まない (164)
2014.10.26 Sun
確かに遥希は、そのためにあんなに朝早くから家を出たわけで、これで買えないとなったら地の底まで凹みそうだから、それはよかったけれど、いや、でも…。
まぁ、今さら遥希に、『グッズくらい水落から貰いなよ』と野暮ったいことを言うのも何なので、その点についてはもう触れないが、しかし。
「その荷物、どうにかなんなかったの? グッズ買った後、時間あったんでしょ?」
それだけは言いたい。
遥希がグッズをどのくらい買おうと勝手だが、今、結構思いきり邪魔…。
「ん…、でもこの辺のコインロッカー、探したんだけど、みんな埋まってて。まぁ持てない量じゃないし、いいかな、て思って」
「よくないよ、邪魔だし…」
持てない量ではないかもしれないが、荷物は自分の椅子の下と足元に置いただけでは収まり切らずに、千尋の足元のほうにまではみ出して置かれている。
邪魔だなぁ…と思うものの、遥希の反対側の隣は知らない人だから、さすがにそちらへ置くわけにいかないのは千尋にも分かるので、仕方なくこの状況に甘んじている。
「家まで置きに来たって、まだ間に合ったんじゃないの? 時間、超あったんだから」
「うんうん」
もうそろそろ開演時間になるということで、気持ちがそちらに向いているのか、段々と千尋の言葉に対する返事がいい加減になって来ている。半分も聞いてはいないのだろう。
普段だったら怒るところだが、前に一緒にコンサートに来たときもこんなだったし、こうなるのも仕方ないと思うので、千尋は会話をやめた。
ところで、いくらFATEの2人の年齢がもう20代半ばとはいえ、アイドルはアイドル。コンサートが始まれば、女の子たちはキャーキャー言い出し、ペンライトを振ったりもする。
それは遥希も同じことで、恥ずかしげもなく琉の名前を呼んだり、手を振ったりしている姿を、千尋は前回一緒に来たコンサートで、嫌というほど目の当たりにしているわけだが。
(でもハルちゃん、今日はちゃんと抑えてくれるんだよね…?)
関係者席ではお静かに、とは言われていないから、いつもと同じように遥希がはしゃいだとしても、この会場からつまみ出されることはないだろうが、どうしてか千尋たちの席は、そんな熱狂的な盛り上がりを見せそうもない中年男性に囲まれていたため、遥希がいつもどおりにしていたら、すごく悪目立ちしそうだ。
さすがに、コンサートが始まって、周囲の雰囲気がいつもと違えば、まっすぐに琉だけを見つめている遥希だって、それに気付いてくれると信じているけれど…。
「ハルちゃ…」
やっぱり一言忠告しておこう、と千尋が遥希のほうを向いたところで、会場の照明がフッ…と落ちた。
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まぁ、今さら遥希に、『グッズくらい水落から貰いなよ』と野暮ったいことを言うのも何なので、その点についてはもう触れないが、しかし。
「その荷物、どうにかなんなかったの? グッズ買った後、時間あったんでしょ?」
それだけは言いたい。
遥希がグッズをどのくらい買おうと勝手だが、今、結構思いきり邪魔…。
「ん…、でもこの辺のコインロッカー、探したんだけど、みんな埋まってて。まぁ持てない量じゃないし、いいかな、て思って」
「よくないよ、邪魔だし…」
持てない量ではないかもしれないが、荷物は自分の椅子の下と足元に置いただけでは収まり切らずに、千尋の足元のほうにまではみ出して置かれている。
邪魔だなぁ…と思うものの、遥希の反対側の隣は知らない人だから、さすがにそちらへ置くわけにいかないのは千尋にも分かるので、仕方なくこの状況に甘んじている。
「家まで置きに来たって、まだ間に合ったんじゃないの? 時間、超あったんだから」
「うんうん」
もうそろそろ開演時間になるということで、気持ちがそちらに向いているのか、段々と千尋の言葉に対する返事がいい加減になって来ている。半分も聞いてはいないのだろう。
普段だったら怒るところだが、前に一緒にコンサートに来たときもこんなだったし、こうなるのも仕方ないと思うので、千尋は会話をやめた。
ところで、いくらFATEの2人の年齢がもう20代半ばとはいえ、アイドルはアイドル。コンサートが始まれば、女の子たちはキャーキャー言い出し、ペンライトを振ったりもする。
それは遥希も同じことで、恥ずかしげもなく琉の名前を呼んだり、手を振ったりしている姿を、千尋は前回一緒に来たコンサートで、嫌というほど目の当たりにしているわけだが。
(でもハルちゃん、今日はちゃんと抑えてくれるんだよね…?)
関係者席ではお静かに、とは言われていないから、いつもと同じように遥希がはしゃいだとしても、この会場からつまみ出されることはないだろうが、どうしてか千尋たちの席は、そんな熱狂的な盛り上がりを見せそうもない中年男性に囲まれていたため、遥希がいつもどおりにしていたら、すごく悪目立ちしそうだ。
さすがに、コンサートが始まって、周囲の雰囲気がいつもと違えば、まっすぐに琉だけを見つめている遥希だって、それに気付いてくれると信じているけれど…。
「ハルちゃ…」
やっぱり一言忠告しておこう、と千尋が遥希のほうを向いたところで、会場の照明がフッ…と落ちた。
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