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恋の女神は微笑まない (163)
2014.10.25 Sat
*****
遥希が先にコンサート会場へと向かい、千尋1人になった今となっては、『一緒にコンサート行こう!』とうるさく言って来る人間もいなくなったわけで。
このままコンサート行くのさぼっちゃおうかなぁ…という悪い考えが、千尋の頭の中をよぎらなかったわけではないが、さすがにここで約束を破れば、遥希との友情が完全に断絶してしまうのは想像に容易いので、千尋は心を入れ替えて、ちゃんと会場へと向かった。
千尋の想像どおり、会場は女の子だらけで、0.01%の望みに賭けていた男の姿を見つけることも出来やしない。
まさか今日のお客で男なのは千尋と遥希だけなんじゃ…とすら思ったが、遥希と待ち合わせて関係者席に行くと、いかにも『関係者』という体とはいえ、男性が何人か座っていてホッとした。
ある程度年輩でスーツ姿の人は、恐らく仕事の関係だろう。それ以外にも、テレビで見たことのあるような顔もいくつかある。
遥希ではないが、こんなところに本当に自分たちがいていいものかと思ったが、千尋たちと同年代くらいの一般人ぽい男女も何人かいたので、大丈夫なのだろう。
「ねぇハルちゃん、ちょっと荷物多すぎじゃない…?」
「そう?」
スタッフに案内されて席に着いたところで、千尋は隣に座った遥希に、こっそり声を掛けた。
一般席にいるお客さんたちは、グッズを買ったり、遠くから来た人はその荷物なんかもあったりして、そこそこ荷物は抱えているけれど、今千尋たちの周囲にいる人たちは、小さなカバン1つか、人によってはカバンすら持っていない。
それなのに遥希ときたら、元々持っていた自分のカバンの他に、FATEのロゴの入った大きめのバッグと、さらには別の紙袋まで持っていて、しかもその両方が、荷物でいっぱいだ。
家を出るときはカバンだけだったから、恐らく会場に来て、その袋2つ分のグッズを買ったに違いない。
「どんだけグッズ買ったの…?」
「全部」
「ぜんっ…」
訝しげに荷物を眺めながら千尋が尋ねたら、遥希は事もなげに、あっさりとそう打ち明けた。
グッズの全買いをするのは、もしかしたら遥希だけでなく、熱狂的なファンならあり得るのかもしれないが、関係者席に来る人で、こんなことをするのは、絶対に間違いいなく遥希だけだろう。
千尋は思わず絶句したが、遥希はその様子に気付いていないのか、にこにこと千尋に笑顔を向けて話を始める。
「でも聞いてよ、たっちゃん。タオルね、グッズのタオル、売り切れちゃったみたいだよ。さっき誰かがそう言ってんの聞こえて。俺が買うときはまだいっぱいあったみたいだったけど。よかった~、早く来て」
「へぇ…」
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遥希が先にコンサート会場へと向かい、千尋1人になった今となっては、『一緒にコンサート行こう!』とうるさく言って来る人間もいなくなったわけで。
このままコンサート行くのさぼっちゃおうかなぁ…という悪い考えが、千尋の頭の中をよぎらなかったわけではないが、さすがにここで約束を破れば、遥希との友情が完全に断絶してしまうのは想像に容易いので、千尋は心を入れ替えて、ちゃんと会場へと向かった。
千尋の想像どおり、会場は女の子だらけで、0.01%の望みに賭けていた男の姿を見つけることも出来やしない。
まさか今日のお客で男なのは千尋と遥希だけなんじゃ…とすら思ったが、遥希と待ち合わせて関係者席に行くと、いかにも『関係者』という体とはいえ、男性が何人か座っていてホッとした。
ある程度年輩でスーツ姿の人は、恐らく仕事の関係だろう。それ以外にも、テレビで見たことのあるような顔もいくつかある。
遥希ではないが、こんなところに本当に自分たちがいていいものかと思ったが、千尋たちと同年代くらいの一般人ぽい男女も何人かいたので、大丈夫なのだろう。
「ねぇハルちゃん、ちょっと荷物多すぎじゃない…?」
「そう?」
スタッフに案内されて席に着いたところで、千尋は隣に座った遥希に、こっそり声を掛けた。
一般席にいるお客さんたちは、グッズを買ったり、遠くから来た人はその荷物なんかもあったりして、そこそこ荷物は抱えているけれど、今千尋たちの周囲にいる人たちは、小さなカバン1つか、人によってはカバンすら持っていない。
それなのに遥希ときたら、元々持っていた自分のカバンの他に、FATEのロゴの入った大きめのバッグと、さらには別の紙袋まで持っていて、しかもその両方が、荷物でいっぱいだ。
家を出るときはカバンだけだったから、恐らく会場に来て、その袋2つ分のグッズを買ったに違いない。
「どんだけグッズ買ったの…?」
「全部」
「ぜんっ…」
訝しげに荷物を眺めながら千尋が尋ねたら、遥希は事もなげに、あっさりとそう打ち明けた。
グッズの全買いをするのは、もしかしたら遥希だけでなく、熱狂的なファンならあり得るのかもしれないが、関係者席に来る人で、こんなことをするのは、絶対に間違いいなく遥希だけだろう。
千尋は思わず絶句したが、遥希はその様子に気付いていないのか、にこにこと千尋に笑顔を向けて話を始める。
「でも聞いてよ、たっちゃん。タオルね、グッズのタオル、売り切れちゃったみたいだよ。さっき誰かがそう言ってんの聞こえて。俺が買うときはまだいっぱいあったみたいだったけど。よかった~、早く来て」
「へぇ…」
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