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恋の女神は微笑まない (154)
2014.10.15 Wed
「あのさ、ハルちゃん、1個言っていい?」
「なぁに?」
むぎゅむぎゅと千尋にくっ付く遥希を引き剥がし、千尋はうんざりしながら缶チューハイに口を付ける。
千尋のそういう態度にはもうすっかり慣れているうえに、今はテンションが上がっているから余計に遥希はそんなことを気にせず、『なぁに? なぁに?』と、再び千尋のほうに寄って来る。
「ハルちゃん、前に、チケット全部外れたとか言って、泣いてなかったっけ?」
水落琉というFATEのメンバーを恋人に持ちながら、相変わらずコンサートのチケットを自力で入手している遥希が、今回のツアーのチケットがすべて落選した、と泣き喚いていたのは記憶に新しい。
あのときヤケ酒とばかりに飲みまくって、酔い潰れた遥希を、千尋は渋々介抱したのだ。
それなのに、どうして遥希は今、そのときとは正反対のことを言って、しかしまたそのときと同じようにベロベロになっているのだ。理解できない。
「そうそうそう、そうなんだけどぉ、琉にそれ言ったらね、何か関係者の席? みたいのがあるから見に来る? て言ってくれたのぉ! きゃはっ!」
「へぇー…」
千尋もそれほど芸能界のことに詳しいわけではないが、それでもコンサート会場には、一般の席とは別に関係者席があることくらいは知っている。
琉と付き合い始めてからも、なぜか自分でチケットを取る遥希に、何ゆえ関係者席に招かないんだ、どうした水落、と千尋は不思議に思っていたのだが、関係者席を知らない遥希が、あまりに一生懸命チケットを取ろうとしたり、取れたチケットのことを嬉しそうに琉に話すものだから、言うに言えないのだと気が付いたのだ。
そしてこのたび、ようやく関係者席の存在を明らかにし、遥希を誘うことが出来たというわけか。一応、おめでとう、と言っておこうかな。
「ねっ、だからちーちゃん、ちゃんと予定空けといてね!」
「いやだから、」
言っておくが、千尋はまだ何の返事もしていない。行くとも行かないとも言っていない。いや、行かない、と言うつもりではあるが、まだ何も言っていない。
なのに、どうして、もう行くことに決まっているのだ。
大体からして、遥希がFATE関連のことで千尋を誘って来るとき、千尋がその誘いを断るということが、遥希の中に想定されていない。いつだって、千尋がすでにオッケーしているという体で、話が進んでる。
「ちょっと待って、ハルちゃん」
「んー?」
「俺、まだ行くとか言ってないし。つか、行かねぇし」
「またまたぁ~」
「いや…」
またまたぁ~…て、別に千尋は冗談を言ったわけではないんだけれど。
本気の本気で行かないつもりで、正直その気持ちを打ち明けたんだけれど。
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「なぁに?」
むぎゅむぎゅと千尋にくっ付く遥希を引き剥がし、千尋はうんざりしながら缶チューハイに口を付ける。
千尋のそういう態度にはもうすっかり慣れているうえに、今はテンションが上がっているから余計に遥希はそんなことを気にせず、『なぁに? なぁに?』と、再び千尋のほうに寄って来る。
「ハルちゃん、前に、チケット全部外れたとか言って、泣いてなかったっけ?」
水落琉というFATEのメンバーを恋人に持ちながら、相変わらずコンサートのチケットを自力で入手している遥希が、今回のツアーのチケットがすべて落選した、と泣き喚いていたのは記憶に新しい。
あのときヤケ酒とばかりに飲みまくって、酔い潰れた遥希を、千尋は渋々介抱したのだ。
それなのに、どうして遥希は今、そのときとは正反対のことを言って、しかしまたそのときと同じようにベロベロになっているのだ。理解できない。
「そうそうそう、そうなんだけどぉ、琉にそれ言ったらね、何か関係者の席? みたいのがあるから見に来る? て言ってくれたのぉ! きゃはっ!」
「へぇー…」
千尋もそれほど芸能界のことに詳しいわけではないが、それでもコンサート会場には、一般の席とは別に関係者席があることくらいは知っている。
琉と付き合い始めてからも、なぜか自分でチケットを取る遥希に、何ゆえ関係者席に招かないんだ、どうした水落、と千尋は不思議に思っていたのだが、関係者席を知らない遥希が、あまりに一生懸命チケットを取ろうとしたり、取れたチケットのことを嬉しそうに琉に話すものだから、言うに言えないのだと気が付いたのだ。
そしてこのたび、ようやく関係者席の存在を明らかにし、遥希を誘うことが出来たというわけか。一応、おめでとう、と言っておこうかな。
「ねっ、だからちーちゃん、ちゃんと予定空けといてね!」
「いやだから、」
言っておくが、千尋はまだ何の返事もしていない。行くとも行かないとも言っていない。いや、行かない、と言うつもりではあるが、まだ何も言っていない。
なのに、どうして、もう行くことに決まっているのだ。
大体からして、遥希がFATE関連のことで千尋を誘って来るとき、千尋がその誘いを断るということが、遥希の中に想定されていない。いつだって、千尋がすでにオッケーしているという体で、話が進んでる。
「ちょっと待って、ハルちゃん」
「んー?」
「俺、まだ行くとか言ってないし。つか、行かねぇし」
「またまたぁ~」
「いや…」
またまたぁ~…て、別に千尋は冗談を言ったわけではないんだけれど。
本気の本気で行かないつもりで、正直その気持ちを打ち明けたんだけれど。
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