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恋の女神は微笑まない (150)
2014.10.10 Fri
「だからさぁ、大和くんはこんな最悪なヤツと別れちゃって正解なんだよ」
転がった空き缶をゴミ箱に捨てに行く気はないらしく、千尋はサラッとそんなことを言って、新しい缶を開けた。
「最悪じゃない…。ちーちゃんは最悪じゃないよ」
「え…何急に。あの…、そんなふうに慰められるみたいなこと言われると、かえって居た堪れないんだけど」
「だって!」
「いや、実際そうじゃん? 俺、こんななって、大和くんに迷惑掛けちゃったなぁ、とか全然思わなかったもん。つか、今も思ってないけど。ハルちゃんに言われるまで、迷惑掛けるとか、そもそも発想になかったし。ハルちゃんみたいに、全然相手のこと考えらんない、嫌なヤツなんだよ、俺」
「だから…、自分がそんなヤツだって思ったから、大和くんと別れることにしたの?」
「…………」
自虐的とも言える発言を繰り返す千尋に、けれど遥希が食い下がって尋ねたら、千尋は言葉につかえたのか、少し目を見開いた。
千尋が、返答に困っているのが分かる。いや、返事そのものに困っているというよりは、それを言うべきかどうか、言とすれば、どう言葉を選ぶべきか、悩んでいる。
「いや…、言いたくないなら言わなくていいんだけど、何か…、何か俺、ちーちゃんが大和くんと別れるなんて思ってもみなかったから、だから、何で? て思っちゃって…。ゴメン、余計なこと聞いちゃってたら…」
「………………女、て…」
「え?」
別に遥希は千尋を困らせたいわけではない。
今言ったとおり、まさか千尋と大和が別れるなんて思わなかったから、どうしてなのか知りたかったけれど、千尋が言いたくないのを、無理に聞き出したいわけではない。
だから、もうこの話は終わりにしようとしたのに、千尋が徐に口を開いた。
「女、て書いてあったから。あの週刊誌。俺、男なのに」
「…」
「ムカついたのは、そのこと。あーゆー記事が出たからムカついたんじゃなくて、女に間違われたから。だから…、女に間違われるくらいなら、大和くんと付き合いたくないな、て思ったの」
思い出したら、また嫌な気分になったのか、千尋は唇を噛んだ。
「…大和くんは俺と別れて正解だ、て思ったのは後付けだよ。付き合いたくないって言ったときは、ただ自分の感情に任せて言っただけだもん。ムカついたから、言っただけ。別れることになって、結果、大和くんにとってはよかった、てことになったけど。大和くんのために言ったんじゃない、自分のために言ったんだよ、俺は。ハルちゃんとは違うからね」
「俺とは、て…」
「だってハルちゃんだったら、こんなことなったら、もしかしたら水落に、別れよう、て言うかもしんないけど、それって絶対、こんな週刊誌沙汰になって、水落に迷惑掛けちゃったから…て、水落のためを思って、そう言うでしょ? 俺は、そうじゃないもん」
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転がった空き缶をゴミ箱に捨てに行く気はないらしく、千尋はサラッとそんなことを言って、新しい缶を開けた。
「最悪じゃない…。ちーちゃんは最悪じゃないよ」
「え…何急に。あの…、そんなふうに慰められるみたいなこと言われると、かえって居た堪れないんだけど」
「だって!」
「いや、実際そうじゃん? 俺、こんななって、大和くんに迷惑掛けちゃったなぁ、とか全然思わなかったもん。つか、今も思ってないけど。ハルちゃんに言われるまで、迷惑掛けるとか、そもそも発想になかったし。ハルちゃんみたいに、全然相手のこと考えらんない、嫌なヤツなんだよ、俺」
「だから…、自分がそんなヤツだって思ったから、大和くんと別れることにしたの?」
「…………」
自虐的とも言える発言を繰り返す千尋に、けれど遥希が食い下がって尋ねたら、千尋は言葉につかえたのか、少し目を見開いた。
千尋が、返答に困っているのが分かる。いや、返事そのものに困っているというよりは、それを言うべきかどうか、言とすれば、どう言葉を選ぶべきか、悩んでいる。
「いや…、言いたくないなら言わなくていいんだけど、何か…、何か俺、ちーちゃんが大和くんと別れるなんて思ってもみなかったから、だから、何で? て思っちゃって…。ゴメン、余計なこと聞いちゃってたら…」
「………………女、て…」
「え?」
別に遥希は千尋を困らせたいわけではない。
今言ったとおり、まさか千尋と大和が別れるなんて思わなかったから、どうしてなのか知りたかったけれど、千尋が言いたくないのを、無理に聞き出したいわけではない。
だから、もうこの話は終わりにしようとしたのに、千尋が徐に口を開いた。
「女、て書いてあったから。あの週刊誌。俺、男なのに」
「…」
「ムカついたのは、そのこと。あーゆー記事が出たからムカついたんじゃなくて、女に間違われたから。だから…、女に間違われるくらいなら、大和くんと付き合いたくないな、て思ったの」
思い出したら、また嫌な気分になったのか、千尋は唇を噛んだ。
「…大和くんは俺と別れて正解だ、て思ったのは後付けだよ。付き合いたくないって言ったときは、ただ自分の感情に任せて言っただけだもん。ムカついたから、言っただけ。別れることになって、結果、大和くんにとってはよかった、てことになったけど。大和くんのために言ったんじゃない、自分のために言ったんだよ、俺は。ハルちゃんとは違うからね」
「俺とは、て…」
「だってハルちゃんだったら、こんなことなったら、もしかしたら水落に、別れよう、て言うかもしんないけど、それって絶対、こんな週刊誌沙汰になって、水落に迷惑掛けちゃったから…て、水落のためを思って、そう言うでしょ? 俺は、そうじゃないもん」
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