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恋の女神は微笑まない (151)
2014.10.11 Sat
付き合う前から、琉以上に琉の仕事や立場を気にしていた遥希と違って、千尋はその辺りのことを、あまり深く考えてはいなかった。
まさか自分がこんなふうに週刊誌に載るとも思わなかったし、載ってしまっても、女だと書かれていたことにムカついただけで、大和の立場だのは全然考えていなかった。
もし千尋が本当に大和と付き合うなら、そういうことを、もっと考えてあげられるようでなければならないのに。
「でも俺だって、もしこんなふうになったら…、週刊誌に載っちゃって、女の子に間違えられちゃったら、最初は自分のこと考えるかもしれない。女の子て何!? て」
「そりゃ一瞬はそう思うかもだけど、ハルちゃんだったら、そのこと、水落には言わないでしょ? それを理由に、水落に別れようとか言わないでしょ?」
「それは…」
遥希は必死に千尋の思いを覆そうとするけれど、全然論破できない。千尋の言い分は間違いではないかもしれないが、絶対にそうだと言い切れることでもないのに。
いくら遥希が琉のことを大好きで、琉の仕事や立場をすごく気に掛けているとしても、遥希だって人間だし、感情に任せて言葉を発することだってないとは言えないのに。
けれど、遥希は反論できない。千尋に、遥希ならそうだ、と言われたら、本当にそうだと思ってしまう。
素直な遥希に、千尋は少し笑った。
「…ありがとね、ハルちゃん。俺のことなんか心配してくれて」
「な…何言ってんの、ちーちゃん…。心配するに決まってんじゃんっ!」
「そっか」
感謝の気持ちを抱いていたとしても、それを素直に口にすることなどめったにない千尋が、照れるでもなく、さらりとそう言ったから、逆に遥希のほうが狼狽えた。
千尋の身にこんなことがあって、心配しないはずがないではないか。
けれど。
遥希は、千尋と大和は別れないでいてくれたらいいと思っていて、出来ることなら何とか千尋を説得したいとは思っているけれど、この感謝の言葉に、千尋の心がもう揺るがないことを悟った。
千尋はよく遥希のことをバカにするけれど、遥希だって、そこまでバカではない。遥希がどんなに思っても、結論を出すのは千尋だということを、ちゃんと分かっている。
「…ちーちゃんが決めたことだから、俺はもう口出ししないけど…………1個言わせて?」
「何?」
遥希は千尋をまっすぐに見つめて、そう前置きをした。
千尋はその視線に、目を逸らしたいと思ったけれど、そうすることも出来ず、遥希を見つめ返す。
前に遥希が、遥希なりに琉のことを思って琉から離れたとき、千尋が心の底からそう言ったように、遥希もまた、今の千尋を見て言うのだろうか――――バカだ、と。
それもまぁ仕方がないか、と千尋は少し笑う。
遥希にバカにされるのは癪に障るが、傍から見れば、千尋は十分バカなことをした大バカ野郎に違いないから。
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まさか自分がこんなふうに週刊誌に載るとも思わなかったし、載ってしまっても、女だと書かれていたことにムカついただけで、大和の立場だのは全然考えていなかった。
もし千尋が本当に大和と付き合うなら、そういうことを、もっと考えてあげられるようでなければならないのに。
「でも俺だって、もしこんなふうになったら…、週刊誌に載っちゃって、女の子に間違えられちゃったら、最初は自分のこと考えるかもしれない。女の子て何!? て」
「そりゃ一瞬はそう思うかもだけど、ハルちゃんだったら、そのこと、水落には言わないでしょ? それを理由に、水落に別れようとか言わないでしょ?」
「それは…」
遥希は必死に千尋の思いを覆そうとするけれど、全然論破できない。千尋の言い分は間違いではないかもしれないが、絶対にそうだと言い切れることでもないのに。
いくら遥希が琉のことを大好きで、琉の仕事や立場をすごく気に掛けているとしても、遥希だって人間だし、感情に任せて言葉を発することだってないとは言えないのに。
けれど、遥希は反論できない。千尋に、遥希ならそうだ、と言われたら、本当にそうだと思ってしまう。
素直な遥希に、千尋は少し笑った。
「…ありがとね、ハルちゃん。俺のことなんか心配してくれて」
「な…何言ってんの、ちーちゃん…。心配するに決まってんじゃんっ!」
「そっか」
感謝の気持ちを抱いていたとしても、それを素直に口にすることなどめったにない千尋が、照れるでもなく、さらりとそう言ったから、逆に遥希のほうが狼狽えた。
千尋の身にこんなことがあって、心配しないはずがないではないか。
けれど。
遥希は、千尋と大和は別れないでいてくれたらいいと思っていて、出来ることなら何とか千尋を説得したいとは思っているけれど、この感謝の言葉に、千尋の心がもう揺るがないことを悟った。
千尋はよく遥希のことをバカにするけれど、遥希だって、そこまでバカではない。遥希がどんなに思っても、結論を出すのは千尋だということを、ちゃんと分かっている。
「…ちーちゃんが決めたことだから、俺はもう口出ししないけど…………1個言わせて?」
「何?」
遥希は千尋をまっすぐに見つめて、そう前置きをした。
千尋はその視線に、目を逸らしたいと思ったけれど、そうすることも出来ず、遥希を見つめ返す。
前に遥希が、遥希なりに琉のことを思って琉から離れたとき、千尋が心の底からそう言ったように、遥希もまた、今の千尋を見て言うのだろうか――――バカだ、と。
それもまぁ仕方がないか、と千尋は少し笑う。
遥希にバカにされるのは癪に障るが、傍から見れば、千尋は十分バカなことをした大バカ野郎に違いないから。
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