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恋の女神は微笑まない (142)
2014.10.02 Thu
「…いや、何もない」
「何があった?」
ちょっと口籠り気味の遥希に、千尋は追及の手を緩めない。
何があったって、千尋は遥希の友人をやめないし、いちいち琉にチクらないから、教えてほしい。他人の噂にはまったく興味ないけれど、遥希の失敗談は聞きたいのだ。おもしろいから。
「ホント、何もないんだって。その、何もないという状態を、これからもずっと継続したいから、なるべく出ないようにしてんの」
「ハルちゃんてさ、大勢で飲むとダメだよね。少人数だとそうでもないけど」
「だって楽しいし…。しかも、みんなどんどん飲むから、つられちゃうんだよね…」
弱いとはいえ、お酒が嫌いなわけではない遥希は、飲み会をノンアルコールで通し切れないうえに、人のペースにつられてどんどん飲んでしまって、気付くと許容量を超えているのだ。
そのおかげで、今までどれほど失敗して来たことか。
その中には、絶対に琉には言えない類の失敗も少なからずあって、そういうことをもう2度としたくないから、なるべく大勢での飲み会には出ないようにしているのだ。
もちろん、人数が少ないからといって、遥希が酔って失敗をしないという保証はないのだが、それでも自分のペースを守れる分、リスクは少ない。
しかも、一緒に飲んでいるのが千尋だったら、遥希が万が一にも酔った勢いの過ちを犯しそうになった場合、流されることなく殴り飛ばしてくれるだろうから、安心して飲める。
「まぁ…、確かに、ハルちゃんの過去の愚行を思えば、飲み会には出ないのが正解かもね」
「ちーちゃんだって、そこまで人のこと言えないでしょ」
「でも、少なくとも俺は、身に覚えのないセックスをしたことはない」
「ちょっ!」
「むぐっ」
遥希の言葉に何か言い返したい千尋の気持ちは分かるが、満員電車の中で、普通の声の大きさで話すことではない。遥希は慌てて千尋の口を塞いだ。
「ホントのことを言ったまでなのに」
不機嫌そうに遥希の手を引き剥がした千尋が、不満げに言い返す。
「そうだとしても、こんなトコで言うことじゃないじゃん」
「だってハルちゃんが振ってくるから」
「別にそういう振りじゃないよ!」
実際に今まで仕出かしたことは遥希のほうが大胆なのに、変なところで純情スイッチの入る遥希は、こんなたわいないことで、いちいち赤くなっている。
まぁ、千尋に恥じらいがなさすぎるというのもあるのだが…。
「じゃあ今日は、ハルちゃんが何か仕出かして、また後悔しちゃうくらい飲ませちゃおうかな」
「何で! そうなりそうだったら、ちーちゃん止めてよ、ちゃんと」
「ヤダよ。酔っ払ったハルちゃんはおもしろいからね。俺はそれ見て楽しんでる」
「うぅ~…」
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「何があった?」
ちょっと口籠り気味の遥希に、千尋は追及の手を緩めない。
何があったって、千尋は遥希の友人をやめないし、いちいち琉にチクらないから、教えてほしい。他人の噂にはまったく興味ないけれど、遥希の失敗談は聞きたいのだ。おもしろいから。
「ホント、何もないんだって。その、何もないという状態を、これからもずっと継続したいから、なるべく出ないようにしてんの」
「ハルちゃんてさ、大勢で飲むとダメだよね。少人数だとそうでもないけど」
「だって楽しいし…。しかも、みんなどんどん飲むから、つられちゃうんだよね…」
弱いとはいえ、お酒が嫌いなわけではない遥希は、飲み会をノンアルコールで通し切れないうえに、人のペースにつられてどんどん飲んでしまって、気付くと許容量を超えているのだ。
そのおかげで、今までどれほど失敗して来たことか。
その中には、絶対に琉には言えない類の失敗も少なからずあって、そういうことをもう2度としたくないから、なるべく大勢での飲み会には出ないようにしているのだ。
もちろん、人数が少ないからといって、遥希が酔って失敗をしないという保証はないのだが、それでも自分のペースを守れる分、リスクは少ない。
しかも、一緒に飲んでいるのが千尋だったら、遥希が万が一にも酔った勢いの過ちを犯しそうになった場合、流されることなく殴り飛ばしてくれるだろうから、安心して飲める。
「まぁ…、確かに、ハルちゃんの過去の愚行を思えば、飲み会には出ないのが正解かもね」
「ちーちゃんだって、そこまで人のこと言えないでしょ」
「でも、少なくとも俺は、身に覚えのないセックスをしたことはない」
「ちょっ!」
「むぐっ」
遥希の言葉に何か言い返したい千尋の気持ちは分かるが、満員電車の中で、普通の声の大きさで話すことではない。遥希は慌てて千尋の口を塞いだ。
「ホントのことを言ったまでなのに」
不機嫌そうに遥希の手を引き剥がした千尋が、不満げに言い返す。
「そうだとしても、こんなトコで言うことじゃないじゃん」
「だってハルちゃんが振ってくるから」
「別にそういう振りじゃないよ!」
実際に今まで仕出かしたことは遥希のほうが大胆なのに、変なところで純情スイッチの入る遥希は、こんなたわいないことで、いちいち赤くなっている。
まぁ、千尋に恥じらいがなさすぎるというのもあるのだが…。
「じゃあ今日は、ハルちゃんが何か仕出かして、また後悔しちゃうくらい飲ませちゃおうかな」
「何で! そうなりそうだったら、ちーちゃん止めてよ、ちゃんと」
「ヤダよ。酔っ払ったハルちゃんはおもしろいからね。俺はそれ見て楽しんでる」
「うぅ~…」
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