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恋の女神は微笑まない (137)
2014.09.27 Sat
ryu & nanjo
千尋とともに写った写真が週刊誌に載せられたことで、大和が落ち込んでいるのは分かる。
スクープされたのが誰か別の相手ではなかったから、浮気を疑われる心配はないだろうけど、売名スキャンダルを欲している女の子と違って、千尋はこういうこと、絶対に嫌いだろうし。
けれど、スクープされた相手が実は男で、事務所も動いて、この件はこれ以上悪い方向に向かわないはずなのに、どうして南條まで憂いに沈んでいるのか、琉には解せない。
「…おい」
「…………」
「おい、南條」
「………え?」
「青だよ」
ハンドルを握って、前を見ているはずなのに、信号が青に変わっても発進しない南條に、琉が苛立ったように何度か呼び掛ければ、南條はようやくハッとして、アクセルを踏んだ。
恐らくマスコミ関係は、もうそれほどしつこく大和を追い掛けないだろうが、タチの悪いファンも中に入るので、心配性の南條が気を抜けないでいるのは分かる。
しかし、そのために今大和は、琉と別れ、そういう子たちの間で顔の割れている南條ではない、別のスタッフに送ってもらって、自宅ではなく仮住まいとしたホテルに向かっているのだ。
そこまで過度に心配することもないだろうに。
「心配しすぎだよ、お前。性別偽ってまで記事書くなんて、て社長も怒ってたんだろ? 手打ってくれる、つってんだから、任せときゃ大丈夫だって」
単に事務所の偉いさんだけでなく、社長まで動くとなったら、もう『絶対に大丈夫』と言っても過言ではない。
所属している琉たちにしたら、おもしろくて優しいおじさんだけど、革新的で、独創的で、今まで色々なものや人をヒットさせてきた、業界での影響力の大きい人だ。
多少の真実を混ぜた誇大な記事なら、社長の登場はなかっただろうが、さすがにここまでねつ造された記事となると、黙ってはいられなかったようだ。
だから、もう大丈夫。
ただ問題は、故意か過失か、千尋の性別が偽られていたのは間違いないけれど、その千尋が大和と付き合っている、という点が必ずしも嘘ではないということだ。
お試しとはいえ、2人は付き合っている。
そのことは、当事者と琉と遥希の4人しか知らないことだから、絶対にばれないけれど、あの記事すべてが嘘だと思っている社長に対しては、少し申し訳ない気持ちになる。
いや、でもそれだったら、琉がそれを気に掛けて暗くなることはあっても、だからどうして南條がそんなに凹んでいるんだ。
「…なぁ、水落」
「何だよ」
「本当に一ノ瀬と千尋、何にもないんだよな?」
「、」
まさに今思っていたことを突かれ、まるで心を悟られたような気持ちになり、琉は思わず視線を泳がせた。サングラスをしているから、南條には気付かれなかっただろうけど。
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千尋とともに写った写真が週刊誌に載せられたことで、大和が落ち込んでいるのは分かる。
スクープされたのが誰か別の相手ではなかったから、浮気を疑われる心配はないだろうけど、売名スキャンダルを欲している女の子と違って、千尋はこういうこと、絶対に嫌いだろうし。
けれど、スクープされた相手が実は男で、事務所も動いて、この件はこれ以上悪い方向に向かわないはずなのに、どうして南條まで憂いに沈んでいるのか、琉には解せない。
「…おい」
「…………」
「おい、南條」
「………え?」
「青だよ」
ハンドルを握って、前を見ているはずなのに、信号が青に変わっても発進しない南條に、琉が苛立ったように何度か呼び掛ければ、南條はようやくハッとして、アクセルを踏んだ。
恐らくマスコミ関係は、もうそれほどしつこく大和を追い掛けないだろうが、タチの悪いファンも中に入るので、心配性の南條が気を抜けないでいるのは分かる。
しかし、そのために今大和は、琉と別れ、そういう子たちの間で顔の割れている南條ではない、別のスタッフに送ってもらって、自宅ではなく仮住まいとしたホテルに向かっているのだ。
そこまで過度に心配することもないだろうに。
「心配しすぎだよ、お前。性別偽ってまで記事書くなんて、て社長も怒ってたんだろ? 手打ってくれる、つってんだから、任せときゃ大丈夫だって」
単に事務所の偉いさんだけでなく、社長まで動くとなったら、もう『絶対に大丈夫』と言っても過言ではない。
所属している琉たちにしたら、おもしろくて優しいおじさんだけど、革新的で、独創的で、今まで色々なものや人をヒットさせてきた、業界での影響力の大きい人だ。
多少の真実を混ぜた誇大な記事なら、社長の登場はなかっただろうが、さすがにここまでねつ造された記事となると、黙ってはいられなかったようだ。
だから、もう大丈夫。
ただ問題は、故意か過失か、千尋の性別が偽られていたのは間違いないけれど、その千尋が大和と付き合っている、という点が必ずしも嘘ではないということだ。
お試しとはいえ、2人は付き合っている。
そのことは、当事者と琉と遥希の4人しか知らないことだから、絶対にばれないけれど、あの記事すべてが嘘だと思っている社長に対しては、少し申し訳ない気持ちになる。
いや、でもそれだったら、琉がそれを気に掛けて暗くなることはあっても、だからどうして南條がそんなに凹んでいるんだ。
「…なぁ、水落」
「何だよ」
「本当に一ノ瀬と千尋、何にもないんだよな?」
「、」
まさに今思っていたことを突かれ、まるで心を悟られたような気持ちになり、琉は思わず視線を泳がせた。サングラスをしているから、南條には気付かれなかっただろうけど。
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