スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋の女神は微笑まない (136)
2014.09.26 Fri
『ちーちゃん、ゴメン。迷惑掛けて…』
「何が? 別に迷惑なんて掛けられてないけど」
『だって…。あ、まだ見てない…かな? 実は週刊誌…』
「見たよ。今日美容院行ったら、置いてあったから。お試しの恋人がいんのに、どこの誰とコンビニデートしてやがんだよ、て思って見てみたら、俺だったね」
『あ、うん…』
大和の注意力が足らなかったから写真を撮られたんだ、と言えばそれまでだが、今回の件、何も大和がすべて悪いわけではないのに、思い出したらまたイライラして来て、千尋は冷たい声を出す。
「言っとくけど、俺、女じゃないからね」
『分かってる…、それは分かってるよ』
「大和くんが分かってるから、何? 俺、女に間違われた。男なのに。写真写ってるのに、女、て…!」
週刊誌の写真には目線が掛かっていたから、あれを見て千尋と思う人はいないかもしれないけれど、だからと言って、女だと記事に書いていいわけではない。
書いた人は、本当に千尋のことを女だと思ったのかもしれないが、千尋にしたら、間違えたとか、そんな簡単に済まされることではないのだ。
千尋を知っている人の中には、あれが千尋だと気付いて、男のくせに女と書かれていると嘲笑するかもしれない。
気にしすぎと言われるかもしれないけれど、千尋の写真が載って、女性だと書かれた事実に変わりはないのだ。
「もぉヤダ、こんなのっ…」
大和と付き合ったりしたから、こんなふうに写真を撮られて、女に間違われて、週刊誌に載せられたのだ。
たとえお試しでも付き合わなかったら、大和と知り合いにもなっていなかったら、こんな目に遭わずに済んだのに。
『ちーちゃん、ゴメン。週刊誌の件は、事務所のほうでも…』
「お試しのお付き合い、もうやめる」
『え?』
「大和くんとなんか、絶対に付き合わないっ。ホントの恋人にもなんないし、お付き合いだって絶対にしないっ」
『ちょっ、ちーちゃ…』
電話越し、千尋を呼ぶ大和の声、何かを言い掛けていたのは分かったけれど、千尋はそれを最後まで聞かずに、電話を切った。
「ううぅっ…」
感情に任せて言いたいことを言い切ると、ボロボロと涙が零れて来て、千尋はその場に膝を抱えて蹲った。
別に今回のことで、大和のことが嫌いになったわけではない。単純に、大和に対しての気持ちだけで言えば、付き合いたくないくらい大嫌いなわけではない。
けれど、大和と付き合うことで女に間違われるのは、死ぬほどムカつくし、絶対に嫌だ。
身勝手だと分かっていても、嫌なものは嫌なのだ。
だから絶対に、大和となんか、付き合わない。
back next
「何が? 別に迷惑なんて掛けられてないけど」
『だって…。あ、まだ見てない…かな? 実は週刊誌…』
「見たよ。今日美容院行ったら、置いてあったから。お試しの恋人がいんのに、どこの誰とコンビニデートしてやがんだよ、て思って見てみたら、俺だったね」
『あ、うん…』
大和の注意力が足らなかったから写真を撮られたんだ、と言えばそれまでだが、今回の件、何も大和がすべて悪いわけではないのに、思い出したらまたイライラして来て、千尋は冷たい声を出す。
「言っとくけど、俺、女じゃないからね」
『分かってる…、それは分かってるよ』
「大和くんが分かってるから、何? 俺、女に間違われた。男なのに。写真写ってるのに、女、て…!」
週刊誌の写真には目線が掛かっていたから、あれを見て千尋と思う人はいないかもしれないけれど、だからと言って、女だと記事に書いていいわけではない。
書いた人は、本当に千尋のことを女だと思ったのかもしれないが、千尋にしたら、間違えたとか、そんな簡単に済まされることではないのだ。
千尋を知っている人の中には、あれが千尋だと気付いて、男のくせに女と書かれていると嘲笑するかもしれない。
気にしすぎと言われるかもしれないけれど、千尋の写真が載って、女性だと書かれた事実に変わりはないのだ。
「もぉヤダ、こんなのっ…」
大和と付き合ったりしたから、こんなふうに写真を撮られて、女に間違われて、週刊誌に載せられたのだ。
たとえお試しでも付き合わなかったら、大和と知り合いにもなっていなかったら、こんな目に遭わずに済んだのに。
『ちーちゃん、ゴメン。週刊誌の件は、事務所のほうでも…』
「お試しのお付き合い、もうやめる」
『え?』
「大和くんとなんか、絶対に付き合わないっ。ホントの恋人にもなんないし、お付き合いだって絶対にしないっ」
『ちょっ、ちーちゃ…』
電話越し、千尋を呼ぶ大和の声、何かを言い掛けていたのは分かったけれど、千尋はそれを最後まで聞かずに、電話を切った。
「ううぅっ…」
感情に任せて言いたいことを言い切ると、ボロボロと涙が零れて来て、千尋はその場に膝を抱えて蹲った。
別に今回のことで、大和のことが嫌いになったわけではない。単純に、大和に対しての気持ちだけで言えば、付き合いたくないくらい大嫌いなわけではない。
けれど、大和と付き合うことで女に間違われるのは、死ぬほどムカつくし、絶対に嫌だ。
身勝手だと分かっていても、嫌なものは嫌なのだ。
だから絶対に、大和となんか、付き合わない。
back next
- 関連記事
-
- 恋の女神は微笑まない (137) (2014/09/27)
- 恋の女神は微笑まない (136) (2014/09/26)
- 恋の女神は微笑まない (135) (2014/09/25)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。