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恋の女神は微笑まない (130)
2014.09.11 Thu
このときだって、千尋は女の格好をしていたつもりはないし、遥希も、そんなつもりでこのルームウェアをプレゼントしたわけではないだろう。
しかし千尋は、疑う余地なく『女』だと言われている。
この週刊誌を見て、どのくらいの人が大和の熱愛を信じるのかは分からないが、少なくとも誰1人として、大和と一緒に写っているのが女であることは疑わないだろう。
いや、大和自身と、あの日千尋に会った遥希や琉くらいは、これが女ではないと分かってくれるだろうか。
(何だよ、女て…。ふざけんなよ…)
千尋がゲイであることは、今までに付き合った彼氏と、友人知人の一部くらいしか知らない。
自分の性癖を隠しておかなければならないのは苦しいことだけれど、理解のない人間に話して、ツラい思いをしたことなら腐るほどあるから、余計なことは言わない。
最近でこそ、こうしたことをオープンに出来る場も増え、そこそこ楽に生きられるようになったけれど、一昔前は、軽はずみな言動を容易くぶつけられたものだ。
男が好きだというだけで、『女だ』と貶されたこともある。女になりたい男がいて、それは何らバカにされることではないのに、千尋を侮蔑するために、そんなふうに言って来たのだ。
だからこそ今回、女と間違われたのが、なおのことショックで、悔しかった。
「――――お待たせしました」
「に゛ゃっ!」
誰が女だよ、と週刊誌の写真を再び睨んだところで、ちょうど声を掛けられて、千尋はビクッと肩を揺らした。
「すみません、驚かせて」
現れたのは、千尋がいつも指名している男性美容師だ。
別に女性に髪を弄られたくないとか、この男が好みのタイプだとか、そういうわけではなく、カットの仕上がりが気に入っているだけでの指名だ。
「大和くん?」
「あ…」
何を気にする必要もないのに、大和の名前が出て、千尋は反射的に週刊誌を閉じた。
「読むなら席までお持ちしますよ?」
「え? あ、これ…。いや、いいです」
席に案内されるのに、千尋が週刊誌をしまおうとすると、美容師は丁寧にそう言ってくれるが、千尋はそれを断った。
もうこれ以上、これを読む気にはならないから。
「でも、村瀬さんがそういうの読むなんて、珍しいですね。芸能人のゴシップとか、あんまり興味ないと思ってました」
席に着くと、美容師はケープを掛けながら、どんな髪型にしたいか聞くより先に、千尋にそんなことを言って来た。
普段の会話から、千尋がゴシップやらスキャンダルに興味がないことを知っていて、今回のことがよほど珍しく見えたのだろう。
「全然興味ないです。…たまたまあったから。でも、あーゆーのが出ると、やっぱ女の子は、『ギャ~!』てなるんすかね」
「そんな悲鳴? 『キャー』じゃなくて?」
「そんなかわいい声を出す女子は、しずかちゃん以外に見たことがない」
千尋は冗談でなく、本気でそう言ったのだが、美容師はたいそうウケている。
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しかし千尋は、疑う余地なく『女』だと言われている。
この週刊誌を見て、どのくらいの人が大和の熱愛を信じるのかは分からないが、少なくとも誰1人として、大和と一緒に写っているのが女であることは疑わないだろう。
いや、大和自身と、あの日千尋に会った遥希や琉くらいは、これが女ではないと分かってくれるだろうか。
(何だよ、女て…。ふざけんなよ…)
千尋がゲイであることは、今までに付き合った彼氏と、友人知人の一部くらいしか知らない。
自分の性癖を隠しておかなければならないのは苦しいことだけれど、理解のない人間に話して、ツラい思いをしたことなら腐るほどあるから、余計なことは言わない。
最近でこそ、こうしたことをオープンに出来る場も増え、そこそこ楽に生きられるようになったけれど、一昔前は、軽はずみな言動を容易くぶつけられたものだ。
男が好きだというだけで、『女だ』と貶されたこともある。女になりたい男がいて、それは何らバカにされることではないのに、千尋を侮蔑するために、そんなふうに言って来たのだ。
だからこそ今回、女と間違われたのが、なおのことショックで、悔しかった。
「――――お待たせしました」
「に゛ゃっ!」
誰が女だよ、と週刊誌の写真を再び睨んだところで、ちょうど声を掛けられて、千尋はビクッと肩を揺らした。
「すみません、驚かせて」
現れたのは、千尋がいつも指名している男性美容師だ。
別に女性に髪を弄られたくないとか、この男が好みのタイプだとか、そういうわけではなく、カットの仕上がりが気に入っているだけでの指名だ。
「大和くん?」
「あ…」
何を気にする必要もないのに、大和の名前が出て、千尋は反射的に週刊誌を閉じた。
「読むなら席までお持ちしますよ?」
「え? あ、これ…。いや、いいです」
席に案内されるのに、千尋が週刊誌をしまおうとすると、美容師は丁寧にそう言ってくれるが、千尋はそれを断った。
もうこれ以上、これを読む気にはならないから。
「でも、村瀬さんがそういうの読むなんて、珍しいですね。芸能人のゴシップとか、あんまり興味ないと思ってました」
席に着くと、美容師はケープを掛けながら、どんな髪型にしたいか聞くより先に、千尋にそんなことを言って来た。
普段の会話から、千尋がゴシップやらスキャンダルに興味がないことを知っていて、今回のことがよほど珍しく見えたのだろう。
「全然興味ないです。…たまたまあったから。でも、あーゆーのが出ると、やっぱ女の子は、『ギャ~!』てなるんすかね」
「そんな悲鳴? 『キャー』じゃなくて?」
「そんなかわいい声を出す女子は、しずかちゃん以外に見たことがない」
千尋は冗談でなく、本気でそう言ったのだが、美容師はたいそうウケている。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒ No title
゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。 キャー、のび太さんったら♪
(*〇-〇*) ポッ,しずかちゃん♡
…、…、そうじゃなくってぇ~~~(笑)
週刊誌を読んだ ちーちゃんの反応が!
その反応が、微妙にズレていて 怖いんですけど。。。( ゚ω゚;)ブルッ
某出版会社に 「俺は、男だぁーー!(`・ω・´)ゞビシッ!!」と、言っちゃわないですよね!?
大和~~~、事が悪化する前に 今すぐ ちーちゃんに連絡とって~~!!
あっ、今 カット中だった(笑)
(-_-;)¶モシモシ?…モシ…モーーシ!!。。。ぁゎゎヾ(´д`;)ノ彡_☆デンワニデンワー!!...byebye☆
(*〇-〇*) ポッ,しずかちゃん♡
…、…、そうじゃなくってぇ~~~(笑)
週刊誌を読んだ ちーちゃんの反応が!
その反応が、微妙にズレていて 怖いんですけど。。。( ゚ω゚;)ブルッ
某出版会社に 「俺は、男だぁーー!(`・ω・´)ゞビシッ!!」と、言っちゃわないですよね!?
大和~~~、事が悪化する前に 今すぐ ちーちゃんに連絡とって~~!!
あっ、今 カット中だった(笑)
(-_-;)¶モシモシ?…モシ…モーーシ!!。。。ぁゎゎヾ(´д`;)ノ彡_☆デンワニデンワー!!...byebye☆
- |2014.09.11
- |Thu
- |13:18
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ちーちゃん、怒るポイント違う、て突っ込まれても、そんなことない! て激反論しそうですよね。
女の子に間違われるのは、ちーちゃんにとって、この世で一番嫌なことなのです(どこかにもいましたね、そんな子…(笑)
今ちーちゃんに連絡取りたい人は結構いるのでしょうが、ちーちゃんカット中で電話に出られないという。。。
本人よりも周囲がアワアワ…(@_@;)
ちーちゃんの怒りを静められるのは、一体誰でしょう!?
コメントありがとうございました!
女の子に間違われるのは、ちーちゃんにとって、この世で一番嫌なことなのです(どこかにもいましたね、そんな子…(笑)
今ちーちゃんに連絡取りたい人は結構いるのでしょうが、ちーちゃんカット中で電話に出られないという。。。
本人よりも周囲がアワアワ…(@_@;)
ちーちゃんの怒りを静められるのは、一体誰でしょう!?
コメントありがとうございました!
- |2014.09.11
- |Thu
- |23:02
- |URL
- |EDIT|