スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋の女神は微笑まない (131)
2014.09.12 Fri
「…じゃあ、お客さんで、あの記事見て、『キャー』て言った人、います?」
「うーん…。中高生くらいの子なら言うかもしれないけど、ウチのお客さんはもうちょっと年齢層高いから。こういうのが大抵嘘…ていうか、話盛ってるとか、写真合成してるとか分かってるのか、何も言わないですよ」
「『ギャ~』とも?」
「少なくとも、僕が担当したお客さんは、言わなかったかな」
そう言って、笑いながら美容師は、ヘアカタログの雑誌を数冊持って来てくれた。
「今日はカットですよね。どのくらい切りますか? 伸びたところ、揃えるくらい?」
「いや、ばっさり。もう暑すぎて。あと1ミリでも伸びたら、俺、死んじゃう」
「そんなに?」
ここ最近は、そんなに大きく髪型をチェンジしていなかったから、いつもどおりと思ったのだろう。千尋からのオーダーに、美容師は少し驚いたような顔をして、雑誌をパラパラと捲る。
千尋の希望に沿い、かつ千尋に似合いそうな髪型を探してくれているのだろう、しかし千尋の答えは1つだ。
「坊主で」
「えっ!?」
「この際、坊主でお願いします」
「いや……この際?」
「それなら、涼しいし、面倒くさくないかなぁ、て思って」
千尋の想像だけれど、もし丸坊主にしたら、体を洗う延長で、頭まで石鹸でゴシゴシできそうな気がする。
そうしたら、すごく楽だと思うんだけど。
「えっと…、村瀬さんがそうしたいって言うならしますけど…………冗談ですよね?」
「ぅん? 坊主にするなら、自分でバリカンでやれ、と」
「いや、そうは言いませんけど! ばっさり行くのは簡単ですけど、伸びるのは時間掛かりますからね? 本当にいいなら、やりますけど…」
「美容師的感覚からして、俺、坊主にしないほうがいい?」
千尋がいいならやる、とは言ってくれているものの、どうもその言い方からして、彼は千尋の坊主をあまり積極的には支持していないようだ。
それこそ、少し前までは、若い年齢で丸坊主にしていたら、ちょっといろいろ誤解されたかもしれないけれど、今はわりと普通の髪型になっていると思うのだが。
「坊主まで行かなくても、ベリーショートとか…」
「そのほうがよさそうですか?」
「村瀬さんに坊主が似合わないとは言わないけど…、服…、お店で売ってる服の感じに、坊主が合わないんじゃないかと思って」
「………………。なるほど」
千尋は自分が涼しく楽になることしか考えていなかったけれど、そうか、そういうことも気にしないといけないのか。
確かに、千尋の勤める店で売っている服に、坊主頭が似合いそうなラインはない。
「じゃあ、涼しくて楽で、ウチの服に合いそうな頭、お任せで」
「…自分で坊主を否定しておいて何だけど、すごい難しいオーダー受けちゃったな」
服に合う髪形もそうだけれど、それ以前に、千尋に似合う髪形でもなければならない。
美容師は笑って肩を竦めると、ハサミを手に取った。
back next
「うーん…。中高生くらいの子なら言うかもしれないけど、ウチのお客さんはもうちょっと年齢層高いから。こういうのが大抵嘘…ていうか、話盛ってるとか、写真合成してるとか分かってるのか、何も言わないですよ」
「『ギャ~』とも?」
「少なくとも、僕が担当したお客さんは、言わなかったかな」
そう言って、笑いながら美容師は、ヘアカタログの雑誌を数冊持って来てくれた。
「今日はカットですよね。どのくらい切りますか? 伸びたところ、揃えるくらい?」
「いや、ばっさり。もう暑すぎて。あと1ミリでも伸びたら、俺、死んじゃう」
「そんなに?」
ここ最近は、そんなに大きく髪型をチェンジしていなかったから、いつもどおりと思ったのだろう。千尋からのオーダーに、美容師は少し驚いたような顔をして、雑誌をパラパラと捲る。
千尋の希望に沿い、かつ千尋に似合いそうな髪型を探してくれているのだろう、しかし千尋の答えは1つだ。
「坊主で」
「えっ!?」
「この際、坊主でお願いします」
「いや……この際?」
「それなら、涼しいし、面倒くさくないかなぁ、て思って」
千尋の想像だけれど、もし丸坊主にしたら、体を洗う延長で、頭まで石鹸でゴシゴシできそうな気がする。
そうしたら、すごく楽だと思うんだけど。
「えっと…、村瀬さんがそうしたいって言うならしますけど…………冗談ですよね?」
「ぅん? 坊主にするなら、自分でバリカンでやれ、と」
「いや、そうは言いませんけど! ばっさり行くのは簡単ですけど、伸びるのは時間掛かりますからね? 本当にいいなら、やりますけど…」
「美容師的感覚からして、俺、坊主にしないほうがいい?」
千尋がいいならやる、とは言ってくれているものの、どうもその言い方からして、彼は千尋の坊主をあまり積極的には支持していないようだ。
それこそ、少し前までは、若い年齢で丸坊主にしていたら、ちょっといろいろ誤解されたかもしれないけれど、今はわりと普通の髪型になっていると思うのだが。
「坊主まで行かなくても、ベリーショートとか…」
「そのほうがよさそうですか?」
「村瀬さんに坊主が似合わないとは言わないけど…、服…、お店で売ってる服の感じに、坊主が合わないんじゃないかと思って」
「………………。なるほど」
千尋は自分が涼しく楽になることしか考えていなかったけれど、そうか、そういうことも気にしないといけないのか。
確かに、千尋の勤める店で売っている服に、坊主頭が似合いそうなラインはない。
「じゃあ、涼しくて楽で、ウチの服に合いそうな頭、お任せで」
「…自分で坊主を否定しておいて何だけど、すごい難しいオーダー受けちゃったな」
服に合う髪形もそうだけれど、それ以前に、千尋に似合う髪形でもなければならない。
美容師は笑って肩を竦めると、ハサミを手に取った。
back next
- 関連記事
-
- 恋の女神は微笑まない (132) (2014/09/22)
- 恋の女神は微笑まない (131) (2014/09/12)
- 恋の女神は微笑まない (130) (2014/09/11)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
ちよ ⇒
ちーちゃんの坊主…
想像できないけれど、
如月さまのお話の中だと、
ボウズって譲さんくらいでしょうか!?
しかし、こちらの美容師さん。
職業柄、お話は上手だし、
徳のお高い人ですね。
ちーちゃんを納得させているところが
スゴイです~
想像できないけれど、
如月さまのお話の中だと、
ボウズって譲さんくらいでしょうか!?
しかし、こちらの美容師さん。
職業柄、お話は上手だし、
徳のお高い人ですね。
ちーちゃんを納得させているところが
スゴイです~
- |2014.09.12
- |Fri
- |18:34
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
譲さんはいかつい系なので坊主も似合いそうですが、かわいい系のちーちゃんに坊主て…て感じですよね。
でも、ちーちゃんは本気です(笑)
> しかし、こちらの美容師さん。
> 職業柄、お話は上手だし、
> 徳のお高い人ですね。
> ちーちゃんを納得させているところが
> スゴイです~
確かに。
しかも、ちーちゃんが敬語を使ってるんですよ。書いてる途中、何度かタメ口にしてしまって、慌てて書き直したことが何度も(笑)
そのくらい敬語の似合わないちーちゃんが、素直に言うことを聞く美容師さん。
素敵なお人と勝手に想像して楽しんでます(笑)
コメントありがとうございました!
でも、ちーちゃんは本気です(笑)
> しかし、こちらの美容師さん。
> 職業柄、お話は上手だし、
> 徳のお高い人ですね。
> ちーちゃんを納得させているところが
> スゴイです~
確かに。
しかも、ちーちゃんが敬語を使ってるんですよ。書いてる途中、何度かタメ口にしてしまって、慌てて書き直したことが何度も(笑)
そのくらい敬語の似合わないちーちゃんが、素直に言うことを聞く美容師さん。
素敵なお人と勝手に想像して楽しんでます(笑)
コメントありがとうございました!
- |2014.09.12
- |Fri
- |22:31
- |URL
- |EDIT|