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恋の女神は微笑まない (126)
2014.09.07 Sun
yamato
大和が遥希の家から千尋を連れて帰ってしばらくして、大和は再び、週刊誌に名前を載せた。
表紙には、『FATE 一ノ瀬 新たな恋人!? 激撮・深夜のコンビニデート!』というタイトルが踊り、開いたページには、大和と、週刊誌が伝えるところの新恋人とのツーショット写真が掲載されている。
コンビニから出る2人と、大和のマンションらしき前で、2人で手を繋いでいる写真が何枚か。
さすがに背景は、マンションの所在が特定されないようにモザイクがされているが、それがいかにも本当に大和のマンションの前らしいことをを強調している。
記事によると、大和の新しい恋人は、前にスクープされた女優ではなく、一般人女性。
そのため、写真では目線がかかっていて、誰か分からないようになっているが、記事を見た大和は、それが誰なのか一発で分かったし、前と違って、一緒にいた友人たちを消されたわけではないことも、分かった。
間違いなく、大和はこのとき2人きりだったし、一緒にコンビニにも行ったし、マンションの前で手も繋いだ。一般人であることも、確かだ。
こんな、本当だらけの記事の中で、唯一違っていることといえば、一般人『女性』でなく、『男性』であるということ――――一緒に写っているのは、千尋だ。
帰って寝るだけだった千尋は、遥希がくれたという、結構かわいめの部屋着を着ていたし、前髪が邪魔だったせいで、ちょんまげみたいに結ってはいたけれど、女ではない。
着いてから、コーラが飲みたいと千尋が言うので、2人でコンビニまで行ったけれど、デートではない。
手を繋いでいたのは、転んだ千尋を起こしてやるためだけのことだ。
真相を知っていれば、この記事がでたらめであることは一目瞭然なのだが、知らない人間が見れば、本当のことのように思える。偽造された写真ですら信じられてしまうのだから、それも当然だ。
…いや、必ずしもでたらめとは言い切れない。
相手は千尋であって、女性ではないけれど、だからこそ『彼女』ではないんだけれど、2人は今、恋人なのだ。仮だけれど。仮とはいえ恋人であることに、間違いはないから。
「…大和、これ…」
声を掛けてきたのは琉で、大和は嫌々ながら、しかしその声色が心配そうなニュアンスを含んでいるのが分かったので、何でもない振りで顔を上げた。
「いや、これって、こないだの…」
「…あぁ」
千尋のことを知っている人であっても、まさか自分の知り合いがこんなふうにゴシップ誌に取り上げられるなど思ってもみないだろうから、きっと他人の空似だということで、話は終わるだろう。
しかし、当事者である大和は、もちろんこれが千尋だと分かるし、あの日千尋に会った琉や遥希も、服装などからして、千尋に似た別人だとは思わないだろう。
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大和が遥希の家から千尋を連れて帰ってしばらくして、大和は再び、週刊誌に名前を載せた。
表紙には、『FATE 一ノ瀬 新たな恋人!? 激撮・深夜のコンビニデート!』というタイトルが踊り、開いたページには、大和と、週刊誌が伝えるところの新恋人とのツーショット写真が掲載されている。
コンビニから出る2人と、大和のマンションらしき前で、2人で手を繋いでいる写真が何枚か。
さすがに背景は、マンションの所在が特定されないようにモザイクがされているが、それがいかにも本当に大和のマンションの前らしいことをを強調している。
記事によると、大和の新しい恋人は、前にスクープされた女優ではなく、一般人女性。
そのため、写真では目線がかかっていて、誰か分からないようになっているが、記事を見た大和は、それが誰なのか一発で分かったし、前と違って、一緒にいた友人たちを消されたわけではないことも、分かった。
間違いなく、大和はこのとき2人きりだったし、一緒にコンビニにも行ったし、マンションの前で手も繋いだ。一般人であることも、確かだ。
こんな、本当だらけの記事の中で、唯一違っていることといえば、一般人『女性』でなく、『男性』であるということ――――一緒に写っているのは、千尋だ。
帰って寝るだけだった千尋は、遥希がくれたという、結構かわいめの部屋着を着ていたし、前髪が邪魔だったせいで、ちょんまげみたいに結ってはいたけれど、女ではない。
着いてから、コーラが飲みたいと千尋が言うので、2人でコンビニまで行ったけれど、デートではない。
手を繋いでいたのは、転んだ千尋を起こしてやるためだけのことだ。
真相を知っていれば、この記事がでたらめであることは一目瞭然なのだが、知らない人間が見れば、本当のことのように思える。偽造された写真ですら信じられてしまうのだから、それも当然だ。
…いや、必ずしもでたらめとは言い切れない。
相手は千尋であって、女性ではないけれど、だからこそ『彼女』ではないんだけれど、2人は今、恋人なのだ。仮だけれど。仮とはいえ恋人であることに、間違いはないから。
「…大和、これ…」
声を掛けてきたのは琉で、大和は嫌々ながら、しかしその声色が心配そうなニュアンスを含んでいるのが分かったので、何でもない振りで顔を上げた。
「いや、これって、こないだの…」
「…あぁ」
千尋のことを知っている人であっても、まさか自分の知り合いがこんなふうにゴシップ誌に取り上げられるなど思ってもみないだろうから、きっと他人の空似だということで、話は終わるだろう。
しかし、当事者である大和は、もちろんこれが千尋だと分かるし、あの日千尋に会った琉や遥希も、服装などからして、千尋に似た別人だとは思わないだろう。
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