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恋の女神は微笑まない (124)
2014.09.05 Fri
「でも、もう切るけどねっ」
「そうなの? かわいいのに」
「邪魔だし、あっちぃもん。ハサミがあったら、今すぐにでも切りたい。今すぐ切る」
「え、それって、自分で、てこと?」
右手をチョキにして、結っているちょんまげを切り落とす真似をする千尋に、大和は少し慌てる。
今この場にハサミがないからいいようなものの、あったら迷わずバッサリ行っていそうだ。というか、今まで酔った勢いでそうしなかったのが、不思議なくらいだ。
「今からハルちゃんち戻って、ハサミ借りてくる」
「待って。絶対やめて」
今から遥希の部屋に戻って琉に恨まれるのも嫌だし、ハサミを手にした千尋が、思い切ったことをするのも困る。
大和に今出来ることは、とにかく千尋を止めることしかない。
「ちゃんと美容院行って。お願いだから」
「そぉ? 別に大和くんの髪切るわけじゃないんだし、自分の頭なんだから…」
「でもダメ。絶対ダメ」
「ダメ。ゼッタイ」
「いや……うん」
どこかで聞いたことのある標語のようなことを言って、千尋は「うひゃ」と笑った。
とりあえず、自分で自分の髪にハサミを入れるようなことさえなければ、大和としては、千尋の髪型にまで口を出すつもりはないんだけれど、今の様子からすると、だいぶバッサリと行きそうな感じだ。
「さ、どうぞ」
「うむ」
駐車場、車のところに辿り着くと、先ほど脱げたビーチサンダルを履かせてやったのの延長のように、大和は恭しく助手席のドアを開けてやる。
千尋女王様もそれが分かったのか、ニヤッと笑って傲然と頷くと、車に乗り込んだ。
「…………」
「ねぇちーちゃん、行き先、俺んちでいいよね?」
「えー何でー?」
「いや、だってちーちゃん、酔っ払ってるから危な…」
「あー、俺が酔ってるからって、エッチなことするつもりだ~」
確かに千尋は酔っ払っている。確実に。一見するよりも、ずっと酔っ払っている。
しかし大和は、相手が酔っ払っているのに付け込まないし、酔っていなかったとしても、合意なしに事に及ぶような真似はしない。
思った以上に酔っ払っている千尋が心配なのは本当だし、もともと遥希の家に泊まるつもりだったということは、明日仕事があるとしても、ちゃんと段取りは組んであるだろうから、この間のように慌てることもないはずなので。
「…もう行くよ?」
「しゅっぱーつ」
何を言っても無駄な気がして、大和は自宅へと車を向かわせた。
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「そうなの? かわいいのに」
「邪魔だし、あっちぃもん。ハサミがあったら、今すぐにでも切りたい。今すぐ切る」
「え、それって、自分で、てこと?」
右手をチョキにして、結っているちょんまげを切り落とす真似をする千尋に、大和は少し慌てる。
今この場にハサミがないからいいようなものの、あったら迷わずバッサリ行っていそうだ。というか、今まで酔った勢いでそうしなかったのが、不思議なくらいだ。
「今からハルちゃんち戻って、ハサミ借りてくる」
「待って。絶対やめて」
今から遥希の部屋に戻って琉に恨まれるのも嫌だし、ハサミを手にした千尋が、思い切ったことをするのも困る。
大和に今出来ることは、とにかく千尋を止めることしかない。
「ちゃんと美容院行って。お願いだから」
「そぉ? 別に大和くんの髪切るわけじゃないんだし、自分の頭なんだから…」
「でもダメ。絶対ダメ」
「ダメ。ゼッタイ」
「いや……うん」
どこかで聞いたことのある標語のようなことを言って、千尋は「うひゃ」と笑った。
とりあえず、自分で自分の髪にハサミを入れるようなことさえなければ、大和としては、千尋の髪型にまで口を出すつもりはないんだけれど、今の様子からすると、だいぶバッサリと行きそうな感じだ。
「さ、どうぞ」
「うむ」
駐車場、車のところに辿り着くと、先ほど脱げたビーチサンダルを履かせてやったのの延長のように、大和は恭しく助手席のドアを開けてやる。
千尋女王様もそれが分かったのか、ニヤッと笑って傲然と頷くと、車に乗り込んだ。
「…………」
「ねぇちーちゃん、行き先、俺んちでいいよね?」
「えー何でー?」
「いや、だってちーちゃん、酔っ払ってるから危な…」
「あー、俺が酔ってるからって、エッチなことするつもりだ~」
確かに千尋は酔っ払っている。確実に。一見するよりも、ずっと酔っ払っている。
しかし大和は、相手が酔っ払っているのに付け込まないし、酔っていなかったとしても、合意なしに事に及ぶような真似はしない。
思った以上に酔っ払っている千尋が心配なのは本当だし、もともと遥希の家に泊まるつもりだったということは、明日仕事があるとしても、ちゃんと段取りは組んであるだろうから、この間のように慌てることもないはずなので。
「…もう行くよ?」
「しゅっぱーつ」
何を言っても無駄な気がして、大和は自宅へと車を向かわせた。
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