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恋の女神は微笑まない (121)
2014.09.02 Tue
「大和~~~…」
千尋の相手をするのはもう無理と判断したのか、琉は大和に助けを求めるように視線を向けた。
見ている分にはおもしろいんだけれど、大和としても、千尋を連れて帰りたいし、琉に恩を着せておくのも悪くないので、もう寝ると言いながら缶チューハイを飲んでいる千尋の隣に行った。
「ちーちゃん、ちーちゃん、一緒に帰ろ?」
「…は? 大和くん、聞いてなかったの? 俺、今日ここに泊まるの」
「いや…さっき電話したとき、一緒に帰ろ、て言ったの、覚えてないの?」
「正直…」
「ちょっと!」
冗談かもしれないが、顔が本気なので、大和は焦る。
遥希と違って、千尋は完全に部屋着だし……本当に帰る気はあるんだろうか。
「ちーちゃん、あのね、」
「はいはい、帰ればいいんでしょ、帰れば。どーせ俺は、どこ行ったって邪魔者ですよ」
大和が根気よく声を掛けようとしたら、『今日はここに泊まる』設定に飽きたのか、あっさりと(しかし嫌味を込めて)千尋は缶を置いて立ち上がった。
琉は、『そうだよ、邪魔だよ』と言ってやりたかったけれど、言えばまた千尋と応酬が始まると思ったので、さっさと帰ってほしい琉としては、グッと我慢する。
そんな琉の心中を見透かしたように、千尋はチラリと琉を見て、口を開いた。
「じゃーね、ハルちゃん。今度は水落に内緒でお泊りしようね」
「え? えっ?」
遥希に向けてのセリフながら、完全に琉のことを見ながら言うあたり……千尋は最後の最後まで琉に突っ掛ることを忘れないのだ。
どう返事をしていいか分からず困惑する遥希を、琉はギュッと腕の中に閉じ込めたが、そんな琉を鼻で笑い、千尋は投げ出されたままのスマホとカバンを拾って、玄関へと向かう。
「え、ちーちゃん、その格好でいいの?」
遥希とは違った意味で動揺したのは、大和だ。
千尋の格好は、先ほど大和が、本当に帰る気あるのかな? と思った部屋着のままだ。半袖パーカーと半ズボンのセットアップだが、パイル地なので、やはり外出着には見えない。
しかし千尋は、何を気にすることもなく、靴を履いている。
まぁ…、外はもう暗いから、よく見ない限り生地の素材ば分らないかもしれないが、千尋はアパレル関係で働いている人なので、常にファッションには気を遣っていると思ったのだ。
「じゃあな。…ハルちゃんも、またね」
大和と一緒に帰るはずなのに、さっさと先に言っている千尋を、大和は慌てて追い掛ける。
背後で琉が笑っている気配がしたが、それは無視した。
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千尋の相手をするのはもう無理と判断したのか、琉は大和に助けを求めるように視線を向けた。
見ている分にはおもしろいんだけれど、大和としても、千尋を連れて帰りたいし、琉に恩を着せておくのも悪くないので、もう寝ると言いながら缶チューハイを飲んでいる千尋の隣に行った。
「ちーちゃん、ちーちゃん、一緒に帰ろ?」
「…は? 大和くん、聞いてなかったの? 俺、今日ここに泊まるの」
「いや…さっき電話したとき、一緒に帰ろ、て言ったの、覚えてないの?」
「正直…」
「ちょっと!」
冗談かもしれないが、顔が本気なので、大和は焦る。
遥希と違って、千尋は完全に部屋着だし……本当に帰る気はあるんだろうか。
「ちーちゃん、あのね、」
「はいはい、帰ればいいんでしょ、帰れば。どーせ俺は、どこ行ったって邪魔者ですよ」
大和が根気よく声を掛けようとしたら、『今日はここに泊まる』設定に飽きたのか、あっさりと(しかし嫌味を込めて)千尋は缶を置いて立ち上がった。
琉は、『そうだよ、邪魔だよ』と言ってやりたかったけれど、言えばまた千尋と応酬が始まると思ったので、さっさと帰ってほしい琉としては、グッと我慢する。
そんな琉の心中を見透かしたように、千尋はチラリと琉を見て、口を開いた。
「じゃーね、ハルちゃん。今度は水落に内緒でお泊りしようね」
「え? えっ?」
遥希に向けてのセリフながら、完全に琉のことを見ながら言うあたり……千尋は最後の最後まで琉に突っ掛ることを忘れないのだ。
どう返事をしていいか分からず困惑する遥希を、琉はギュッと腕の中に閉じ込めたが、そんな琉を鼻で笑い、千尋は投げ出されたままのスマホとカバンを拾って、玄関へと向かう。
「え、ちーちゃん、その格好でいいの?」
遥希とは違った意味で動揺したのは、大和だ。
千尋の格好は、先ほど大和が、本当に帰る気あるのかな? と思った部屋着のままだ。半袖パーカーと半ズボンのセットアップだが、パイル地なので、やはり外出着には見えない。
しかし千尋は、何を気にすることもなく、靴を履いている。
まぁ…、外はもう暗いから、よく見ない限り生地の素材ば分らないかもしれないが、千尋はアパレル関係で働いている人なので、常にファッションには気を遣っていると思ったのだ。
「じゃあな。…ハルちゃんも、またね」
大和と一緒に帰るはずなのに、さっさと先に言っている千尋を、大和は慌てて追い掛ける。
背後で琉が笑っている気配がしたが、それは無視した。
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