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恋の女神は微笑まない (117)
2014.08.29 Fri
「ちーちゃんっ!」
「はいはい。つかハルちゃん、今、朝じゃないんだからね。夜だからね。そんなおっきな声出すと、また隣の部屋の人から何か言われるよ?」
「ウグ…」
何となく理不尽な気はするが、千尋の言うことは尤もだ。
遥希の部屋の隣には、温厚そうな老年の男性が1人で暮らしていたが、前に1度、遥希の部屋のうるささについて、やんわりと言われたことがあるのだ。
そんなことを言われる前に気を付けなければならないのだが、ついうるさくしてしまうことがあるので、なおのこと注意しなければならないのに。
「とっ…とにかく、ちーちゃんも片付けるの手伝って! 缶! 缶集めて!」
「はぁ~…」
ワタワタしている遥希にせっつかれて、千尋は渋々、近くにあった空き缶を1つ拾ってテーブルの上に置いた。
もちろんこんなの手伝ったうちに入らないし、これくらいで部屋はまったく片付かないが、千尋は、自分の仕事はもう終えたとばかりに、ゴロンと寝転がった。
「もぉ~っ」
そんな千尋に文句の1つも……2つも3つも4つも言ってやりたいけれど、ここで千尋に動けと言って片付けを手伝わせるより、自分でやったほうが早いので、遥希は黙々と缶を拾い集める。
2人で飲んでいたのに、よくもまぁ、こんなにも空にしたものだ。
いくら度の強くないものばかりとはいえ、この空き缶の量を、琉には見られたくない。
「ハルちゃん、そんなに一気に抱えて大丈夫? 不器用なくせに…」
「にゃうっ!」
「…………あーあ……」
珍しく千尋が遥希を気に掛けてやった途端、遥希は足を縺れさせて、派手にすっ転んだ。
そしてその拍子に、両手に持っていた空き缶を、これまた派手に散らばらせた。
「イッター…」
全然静かに出来ていないし、部屋も片付かないし、膝は痛いし、本当にもう最悪だ。
見事なまでのフォームで転んだ遥希に、千尋は一応慰めの言葉でも掛けてやろうかと思ったが、ちょうどそのタイミングで電話が鳴ったので、そちらに出た。
「…もしもし?」
液晶の画面に表示されていたのは大和の名前で、琉と一緒にここに来ると言っていたのに、一体何の用があって今さら電話なんか。何か用事があって、来れなくなってしまったのだろうか。
大和が来れないだけならいいけれど、琉まで来れなくなってしまったとなっては、また遥希が面倒くさいことになるから、それは勘弁してもらいたいんだけど。
『あ、ちーちゃん、今着いたんだけど』
「………………。…ふぅん?」
『え?』
「ん?」
どうやら千尋の心配は取り越し苦労に終わったらしく、大和は到着を知らせるために電話をくれたらしい。
いや、着いたことを報告されても、…だから? という感じなんだけど。
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「はいはい。つかハルちゃん、今、朝じゃないんだからね。夜だからね。そんなおっきな声出すと、また隣の部屋の人から何か言われるよ?」
「ウグ…」
何となく理不尽な気はするが、千尋の言うことは尤もだ。
遥希の部屋の隣には、温厚そうな老年の男性が1人で暮らしていたが、前に1度、遥希の部屋のうるささについて、やんわりと言われたことがあるのだ。
そんなことを言われる前に気を付けなければならないのだが、ついうるさくしてしまうことがあるので、なおのこと注意しなければならないのに。
「とっ…とにかく、ちーちゃんも片付けるの手伝って! 缶! 缶集めて!」
「はぁ~…」
ワタワタしている遥希にせっつかれて、千尋は渋々、近くにあった空き缶を1つ拾ってテーブルの上に置いた。
もちろんこんなの手伝ったうちに入らないし、これくらいで部屋はまったく片付かないが、千尋は、自分の仕事はもう終えたとばかりに、ゴロンと寝転がった。
「もぉ~っ」
そんな千尋に文句の1つも……2つも3つも4つも言ってやりたいけれど、ここで千尋に動けと言って片付けを手伝わせるより、自分でやったほうが早いので、遥希は黙々と缶を拾い集める。
2人で飲んでいたのに、よくもまぁ、こんなにも空にしたものだ。
いくら度の強くないものばかりとはいえ、この空き缶の量を、琉には見られたくない。
「ハルちゃん、そんなに一気に抱えて大丈夫? 不器用なくせに…」
「にゃうっ!」
「…………あーあ……」
珍しく千尋が遥希を気に掛けてやった途端、遥希は足を縺れさせて、派手にすっ転んだ。
そしてその拍子に、両手に持っていた空き缶を、これまた派手に散らばらせた。
「イッター…」
全然静かに出来ていないし、部屋も片付かないし、膝は痛いし、本当にもう最悪だ。
見事なまでのフォームで転んだ遥希に、千尋は一応慰めの言葉でも掛けてやろうかと思ったが、ちょうどそのタイミングで電話が鳴ったので、そちらに出た。
「…もしもし?」
液晶の画面に表示されていたのは大和の名前で、琉と一緒にここに来ると言っていたのに、一体何の用があって今さら電話なんか。何か用事があって、来れなくなってしまったのだろうか。
大和が来れないだけならいいけれど、琉まで来れなくなってしまったとなっては、また遥希が面倒くさいことになるから、それは勘弁してもらいたいんだけど。
『あ、ちーちゃん、今着いたんだけど』
「………………。…ふぅん?」
『え?』
「ん?」
どうやら千尋の心配は取り越し苦労に終わったらしく、大和は到着を知らせるために電話をくれたらしい。
いや、着いたことを報告されても、…だから? という感じなんだけど。
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