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恋の女神は微笑まない (100)
2014.08.13 Wed
「ホラ、着いたぞ」
「んー」
店の前に車が停まる。8時55分。何とかセーフだ。
最後にもう1個くらい食べれるかなぁ? と袋の中を覗いていた千尋は、残念そうに顔を上げた。
「あーあ、着いちゃった。じゃあね、南條、また明日ね」
「迎えなんか行かねぇぞ」
「何だよ、南條のケーチ、ハーゲ!」
「やかましいわっ」
わざわざ店まで送ってくれた南條に対し、礼を言うではなく、最後まで悪態をついて、千尋は車を降りた――――と、
「あっ」
「…何だ? 何か忘れ物…」
ドアを閉め掛けたところで、千尋が再びドアを開けて車の中に身を乗り出して来たので、何か忘れ物でもしたのかと、南條は助手席の周辺を確認する。
しかし千尋の用事は、そうではなかった。
「大和くん、バイバイ」
「え、あ、うん」
忘れ物は大和への挨拶だったようで、南條には見せなかった……いや、パンを与えられたときには見せたかもしてないが、そのくらいしか見せなかった笑顔で、大和に手を振った。
千尋の行動は、大和にとってはいつも思い掛けなくて、だからこそ、うまく反応できなくて、でも、心が躍る。
千尋は特に車のほうを振り返るでもなく、車が去るのを見送ってくれるでもなく、さっさと店の中に入って行く。
その背中を見送っていた大和は、そんな千尋の様子を寂しく思ったけれど、いつものことなのか、千尋のことなんてどうでもいいのか、南條は特に何を気にするでもなく、車を発進させるべく、後方確認をしている。
「で、結局どういうことなんだ?」
「…何が?」
車が動き出すと、さっそく南條が尋ねて来た。
大和は手の中のサングラスを弄びながら、南條に聞き返す。もちろん、南條が何を聞きたいのか分かったうえで、あえて。
「何でパンイチの千尋がお前に殴り掛かろうとしてたんだ」
「さっき言ったじゃん、昨日泊まったんだって、ちーちゃん」
「それは分かった、さっき聞いた。そうじゃなくて、何でお前、アイツに殴られそうになってたんだよっ」
「いや、それは俺も想定外」
まさかあそこまで千尋がキレるとは、大和も思っていなかったのだ。
でも、着てほしかったなぁ…、あの服。
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「んー」
店の前に車が停まる。8時55分。何とかセーフだ。
最後にもう1個くらい食べれるかなぁ? と袋の中を覗いていた千尋は、残念そうに顔を上げた。
「あーあ、着いちゃった。じゃあね、南條、また明日ね」
「迎えなんか行かねぇぞ」
「何だよ、南條のケーチ、ハーゲ!」
「やかましいわっ」
わざわざ店まで送ってくれた南條に対し、礼を言うではなく、最後まで悪態をついて、千尋は車を降りた――――と、
「あっ」
「…何だ? 何か忘れ物…」
ドアを閉め掛けたところで、千尋が再びドアを開けて車の中に身を乗り出して来たので、何か忘れ物でもしたのかと、南條は助手席の周辺を確認する。
しかし千尋の用事は、そうではなかった。
「大和くん、バイバイ」
「え、あ、うん」
忘れ物は大和への挨拶だったようで、南條には見せなかった……いや、パンを与えられたときには見せたかもしてないが、そのくらいしか見せなかった笑顔で、大和に手を振った。
千尋の行動は、大和にとってはいつも思い掛けなくて、だからこそ、うまく反応できなくて、でも、心が躍る。
千尋は特に車のほうを振り返るでもなく、車が去るのを見送ってくれるでもなく、さっさと店の中に入って行く。
その背中を見送っていた大和は、そんな千尋の様子を寂しく思ったけれど、いつものことなのか、千尋のことなんてどうでもいいのか、南條は特に何を気にするでもなく、車を発進させるべく、後方確認をしている。
「で、結局どういうことなんだ?」
「…何が?」
車が動き出すと、さっそく南條が尋ねて来た。
大和は手の中のサングラスを弄びながら、南條に聞き返す。もちろん、南條が何を聞きたいのか分かったうえで、あえて。
「何でパンイチの千尋がお前に殴り掛かろうとしてたんだ」
「さっき言ったじゃん、昨日泊まったんだって、ちーちゃん」
「それは分かった、さっき聞いた。そうじゃなくて、何でお前、アイツに殴られそうになってたんだよっ」
「いや、それは俺も想定外」
まさかあそこまで千尋がキレるとは、大和も思っていなかったのだ。
でも、着てほしかったなぁ…、あの服。
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