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恋の女神は微笑まない (96)
2014.08.09 Sat
南條の運転する車に乗るとき、それほど深い意味があるわけではないが、大和は大体リアシートに座る。それは今日も同じ。
でも千尋が、何の迷いもなく助手席に座るものだから、ちょっと…! という気持ちになるが、南條の手前、隣に座ってくれとも言えないので、仕方なく大和は1人リアシートで大人しくしている。
「南條ー、パンー」
「…後ろに置いてあるから」
南條がエンジンを掛け、ナビをセットしていると、千尋が遠慮なく言ってくる。
千尋が目をキラキラさせて振り返るので、大和は苦笑しつつ、パンの袋を千尋に差し出してやる。
「大和くんは? 食わないの?」
「あー…うん、そんなにお腹空いてないし」
「マジで? あ、俺も今日からささみとプロテイン生活だったんだ。パン食ってる場合じゃなかった」
昨日のことなどさっぱり忘れているのかと思ったら、こんなどうでもいいことは、ちゃんと覚えていた。…いや、筋肉大好き、鍛えるの大好き! な千尋にしたら、どうでもいいことではないか。
隣の南條は、何なんだ? と訝しむように千尋を見ている。
「今はささみ買ってる時間ないし、明日から……か、昼からにしたら?」
「大和くんがそう言うなら、そうする」
意外にも素直に大和の言うことを聞き入れた千尋は、恐らく、時間がないのを心配したというよりは、筋肉師匠としてのアドバイスとして、しっかりと受け止めたのだろう。
「いただきー」
袋の中を漁って千尋が取り出したのは、ブルーベリージャムのたっぷり入ったデニッシュで、カロリーを気にしている割に、それを選ぶあたり…。
けれど、幸せそうにパンを頬張っている姿を見ると、余計なことは言えなくなる。
「このはんおいひいね」
「…何て?」
「んんー…このぱんおいしいね、てゆった」
「ボロボロ零すな」
口の中をパンでいっぱいにしたまま喋るものだから、何を言っているのか分からなくて、南條が聞き返すと、千尋は子どものような感想を漏らした。
大和は後ろからその様子を眺め、微笑ましいなぁ、なんて思っていたけれど、南條はそれよりも、千尋がパンくずを零しながら食べていることのほうが気になるようで、嫌そうに顔を顰めている。
「お、これは何だ?」
けれど千尋はお構いなしで、瞬く間にデニッシュを平らげると、再び袋の中を覗いている。
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でも千尋が、何の迷いもなく助手席に座るものだから、ちょっと…! という気持ちになるが、南條の手前、隣に座ってくれとも言えないので、仕方なく大和は1人リアシートで大人しくしている。
「南條ー、パンー」
「…後ろに置いてあるから」
南條がエンジンを掛け、ナビをセットしていると、千尋が遠慮なく言ってくる。
千尋が目をキラキラさせて振り返るので、大和は苦笑しつつ、パンの袋を千尋に差し出してやる。
「大和くんは? 食わないの?」
「あー…うん、そんなにお腹空いてないし」
「マジで? あ、俺も今日からささみとプロテイン生活だったんだ。パン食ってる場合じゃなかった」
昨日のことなどさっぱり忘れているのかと思ったら、こんなどうでもいいことは、ちゃんと覚えていた。…いや、筋肉大好き、鍛えるの大好き! な千尋にしたら、どうでもいいことではないか。
隣の南條は、何なんだ? と訝しむように千尋を見ている。
「今はささみ買ってる時間ないし、明日から……か、昼からにしたら?」
「大和くんがそう言うなら、そうする」
意外にも素直に大和の言うことを聞き入れた千尋は、恐らく、時間がないのを心配したというよりは、筋肉師匠としてのアドバイスとして、しっかりと受け止めたのだろう。
「いただきー」
袋の中を漁って千尋が取り出したのは、ブルーベリージャムのたっぷり入ったデニッシュで、カロリーを気にしている割に、それを選ぶあたり…。
けれど、幸せそうにパンを頬張っている姿を見ると、余計なことは言えなくなる。
「このはんおいひいね」
「…何て?」
「んんー…このぱんおいしいね、てゆった」
「ボロボロ零すな」
口の中をパンでいっぱいにしたまま喋るものだから、何を言っているのか分からなくて、南條が聞き返すと、千尋は子どものような感想を漏らした。
大和は後ろからその様子を眺め、微笑ましいなぁ、なんて思っていたけれど、南條はそれよりも、千尋がパンくずを零しながら食べていることのほうが気になるようで、嫌そうに顔を顰めている。
「お、これは何だ?」
けれど千尋はお構いなしで、瞬く間にデニッシュを平らげると、再び袋の中を覗いている。
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