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恋の女神は微笑まない (70)
2014.07.14 Mon
場所柄、流行りのファッションに身を包んだ子もいれば、とっても個性的な服装の人もたくさんいるから、アイドルオーラ満載の大和がいても、目立ちすぎるということはない。
目的の店の前まで来て、大和はウィンドウから店内を覗いてみる。
小ぢんまりとした店内に千尋の姿を確認することは出来なかったけれど、場所はここで間違いないし、千尋の教えてくれた終業時間はもう少し先だから、千尋はまだいるはずだと、大和は店のドアを開けた。
「―いらっしゃいませ」
店に入ると、落ち着いた店員の声。
千尋でないことは声で分かったが、無視するのもよくないので、軽く会釈をしてから店内を見回す。
特にアパレル系の店は、客に声を掛けてくる店員が殆どだけれど、ここはそうではないのか、それともタイミングを見計らっているのか、挨拶以上に大和に話し掛けてくることをしない。
それをいいことに、大和は、商品を選ぶふりをしながら千尋の姿を探した。
けれど、ぐるっと店内を一回りしてみても、千尋の姿に出会わない。最初の挨拶でも千尋の声はしなかったし、もしかしてフロアに出ていないのだろうか。
まだ仕事の終わる時間でないけれど、もしかしたら奥に下がって仕事をしているのかもしれない。そうなると、このままフロアに出ずに帰ってしまう可能性もあるわけで。
「ヤバ…」
このままだと、行き違いになる恐れが…。
店の人に千尋のことを聞いてみようかとも思ったが、そこまでするのも何だし(千尋も嫌がりそう…)、かと言って、今すぐ店を出るには、いかにも何も見ていない感じがする。
「お客様、いかがされました?」
「え? あ…」
もう店を出ようか、それとももう少し千尋を探そうかとソワソワしていた大和は、傍から見れば、さぞかし挙動不審なことだっただろう。
売り上げのための積極的な声掛けをしない方針の店員であっても、さすがにこれは怪しすぎて、声を掛けたくなる。
「あ、すいません、えと…」
「何かお探しですか?」
声を掛けてきたのは、まるで同業者かと思うような、スラリと背の高い、甘いマスクの男だった。
何か探しているのかと問われれば、捜しているのは千尋のことなんだけれど、さすがにそれも言えなくて、大和は言葉を詰まらせる。でも、FATEの山下大和が万引きを疑われるとか、絶対にマズイよなぁ…。
「えーっと…」
「店長ー、俺もう上が……あ、」
言い淀んでいた大和に重なるように声がして、ひょっこりと千尋が顔を覗かせた。
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目的の店の前まで来て、大和はウィンドウから店内を覗いてみる。
小ぢんまりとした店内に千尋の姿を確認することは出来なかったけれど、場所はここで間違いないし、千尋の教えてくれた終業時間はもう少し先だから、千尋はまだいるはずだと、大和は店のドアを開けた。
「―いらっしゃいませ」
店に入ると、落ち着いた店員の声。
千尋でないことは声で分かったが、無視するのもよくないので、軽く会釈をしてから店内を見回す。
特にアパレル系の店は、客に声を掛けてくる店員が殆どだけれど、ここはそうではないのか、それともタイミングを見計らっているのか、挨拶以上に大和に話し掛けてくることをしない。
それをいいことに、大和は、商品を選ぶふりをしながら千尋の姿を探した。
けれど、ぐるっと店内を一回りしてみても、千尋の姿に出会わない。最初の挨拶でも千尋の声はしなかったし、もしかしてフロアに出ていないのだろうか。
まだ仕事の終わる時間でないけれど、もしかしたら奥に下がって仕事をしているのかもしれない。そうなると、このままフロアに出ずに帰ってしまう可能性もあるわけで。
「ヤバ…」
このままだと、行き違いになる恐れが…。
店の人に千尋のことを聞いてみようかとも思ったが、そこまでするのも何だし(千尋も嫌がりそう…)、かと言って、今すぐ店を出るには、いかにも何も見ていない感じがする。
「お客様、いかがされました?」
「え? あ…」
もう店を出ようか、それとももう少し千尋を探そうかとソワソワしていた大和は、傍から見れば、さぞかし挙動不審なことだっただろう。
売り上げのための積極的な声掛けをしない方針の店員であっても、さすがにこれは怪しすぎて、声を掛けたくなる。
「あ、すいません、えと…」
「何かお探しですか?」
声を掛けてきたのは、まるで同業者かと思うような、スラリと背の高い、甘いマスクの男だった。
何か探しているのかと問われれば、捜しているのは千尋のことなんだけれど、さすがにそれも言えなくて、大和は言葉を詰まらせる。でも、FATEの山下大和が万引きを疑われるとか、絶対にマズイよなぁ…。
「えーっと…」
「店長ー、俺もう上が……あ、」
言い淀んでいた大和に重なるように声がして、ひょっこりと千尋が顔を覗かせた。
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