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恋の女神は微笑まない (61)
2014.07.05 Sat
「よし、オッケー」
遥希はスマホをしまって、セット上の琉に集中した。
これから何十万もの人か聞くであろう曲、目にするであろうPV、それを今、関係者でも何でもない遥希が、誰よりも先に耳にする。ファンの子たちには本当に申し訳ないけれど、すごく嬉しい…!
「はぁ…、琉、かっこいい……ぁ、」
思わず心の声が漏れてしまい、遥希は慌てて口に手をやり、そっと隣に視線だけを向けた。
仕事柄、南條も撮影中の琉と大和に集中していたようで、遥希の声に気付かず前を向いていたので、遥希はホッとした。いくら南條が琉と遥希のことを知っているとはいえ、こんなこと聞かれたら恥ずかしい。
それから、2人のダンスシーンの撮影は、途中に打ち合わせや振りの確認を挟んで、数時間に及んだ。
曲の同じ部分をいろいろな角度から何度も撮ったり……遥希も特典映像でのメイキングシーンでそういうのを見ているけれど、実際に目の当たりにすると、もっとずっと大変なことなのだと知った。
「今日の撮影はこれで終わりになりまーす」
スタッフのその声に、周囲から「お疲れ様でーす」と声が上がり、琉と大和が頭を下げながら、セットから下りてくる。
遥希はその様子を眺め続けている。琉が近付いてくる。
「お待たせ、ハルちゃん。疲れてない? ずっと立ちっぱだったでしょ?」
「…………え……? あ、あれ? 琉?」
いつの間にか目の前に来ていた琉が声を掛けて来たので、遥希は正気に返った。
確かに遥希は、琉がこちらに向かってくるのを見ていたのだけれど、もうずっと夢心地だったから、その辺のところは曖昧で、気付いたらそこに琉がいて、ビックリした。
「ハルちゃん? 大丈夫?」
「…うん。琉、お疲れさま…」
遥希があんまりにもボーっとしているようだったから、琉は遥希の目の前で手を振ってみると、どうやら意識ははっきりしているようだ。
そんな2人の様子を眺めながら、大和は南條の肩に腕を乗せた。
「少女マンガだったら、これ今、目の中にハートあるよね、ハルちゃん」
「え…、そういう表現て、今もあんの? 昔のマンガじゃなくて?」
わざと呆れた口調で言って来た大和に、言い得て妙だと思いつつ、まだ周りにスタッフが大勢いる中、そんな甘い空気を出すんじゃない! と、どのタイミングで琉に言おうか、南條は悩んでしまう。
一応、今日の分の撮影は終わったから、メイキング用のカメラは撮影を止めているはずだが、万が一にもそれに映り込んでしまったら大変だ。
遥希の性格からして、普段だったら周囲の人に大変気を遣うはずなのに、まったく気付かず琉に見惚れているあたり、まだ夢から醒めていないのかもしれない。
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遥希はスマホをしまって、セット上の琉に集中した。
これから何十万もの人か聞くであろう曲、目にするであろうPV、それを今、関係者でも何でもない遥希が、誰よりも先に耳にする。ファンの子たちには本当に申し訳ないけれど、すごく嬉しい…!
「はぁ…、琉、かっこいい……ぁ、」
思わず心の声が漏れてしまい、遥希は慌てて口に手をやり、そっと隣に視線だけを向けた。
仕事柄、南條も撮影中の琉と大和に集中していたようで、遥希の声に気付かず前を向いていたので、遥希はホッとした。いくら南條が琉と遥希のことを知っているとはいえ、こんなこと聞かれたら恥ずかしい。
それから、2人のダンスシーンの撮影は、途中に打ち合わせや振りの確認を挟んで、数時間に及んだ。
曲の同じ部分をいろいろな角度から何度も撮ったり……遥希も特典映像でのメイキングシーンでそういうのを見ているけれど、実際に目の当たりにすると、もっとずっと大変なことなのだと知った。
「今日の撮影はこれで終わりになりまーす」
スタッフのその声に、周囲から「お疲れ様でーす」と声が上がり、琉と大和が頭を下げながら、セットから下りてくる。
遥希はその様子を眺め続けている。琉が近付いてくる。
「お待たせ、ハルちゃん。疲れてない? ずっと立ちっぱだったでしょ?」
「…………え……? あ、あれ? 琉?」
いつの間にか目の前に来ていた琉が声を掛けて来たので、遥希は正気に返った。
確かに遥希は、琉がこちらに向かってくるのを見ていたのだけれど、もうずっと夢心地だったから、その辺のところは曖昧で、気付いたらそこに琉がいて、ビックリした。
「ハルちゃん? 大丈夫?」
「…うん。琉、お疲れさま…」
遥希があんまりにもボーっとしているようだったから、琉は遥希の目の前で手を振ってみると、どうやら意識ははっきりしているようだ。
そんな2人の様子を眺めながら、大和は南條の肩に腕を乗せた。
「少女マンガだったら、これ今、目の中にハートあるよね、ハルちゃん」
「え…、そういう表現て、今もあんの? 昔のマンガじゃなくて?」
わざと呆れた口調で言って来た大和に、言い得て妙だと思いつつ、まだ周りにスタッフが大勢いる中、そんな甘い空気を出すんじゃない! と、どのタイミングで琉に言おうか、南條は悩んでしまう。
一応、今日の分の撮影は終わったから、メイキング用のカメラは撮影を止めているはずだが、万が一にもそれに映り込んでしまったら大変だ。
遥希の性格からして、普段だったら周囲の人に大変気を遣うはずなのに、まったく気付かず琉に見惚れているあたり、まだ夢から醒めていないのかもしれない。
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