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恋の女神は微笑まない (56)
2014.06.30 Mon
「え、だって……あのとき、千尋くんのこと迎えに来た人、彼氏……じゃないの?」
「えっ…」
その人が、今を時めくアイドル、FATEの一ノ瀬大和であることは、どうやら気付かれていないようだけれど、代わりに千尋の彼氏であるとは思われているようだ。
じゃあ千尋は、彼氏がいるのに合コンに参加した人だと思われているということ?
「いや…、彼氏とケンカして、その腹いせで合コンに参加したんじゃないか…て、千尋くんが帰った後、話してた」
「………………」
千尋は、千尋と大和の関係を知っているから、あのときの状況もどういうことなのか分かるけれど、何も知らない人が見たら、確かに意味が分からない。
千尋が合コンから去った後にそんなことを話していたのか! と憤りたくもなるが、そう思われても仕方のない行動をしていたのだ。
ケンカの腹いせに合コン参加するキャラ、と思われたままでいるのは癪に障るが、この彼とももう会うことはないだろうし、わざわざ誤解を解くまでもないだろう。
説明をするのは面倒くさいし、言い訳がましい感じもする。
それに、最終的に話が、あのとき一緒に去った男は誰なのか、ということに及んだら、何となくまずい気もするし。
「じゃあ、またね……て、あ、またねじゃないか。あの、じゃあ…」
「あ、うん」
自分で言った別れの挨拶にも戸惑っている彼に、千尋は思わず吹き出す。
これから彼とご飯に出掛けて、会話を楽しむことは出来ないけれど、心底嫌いになることも出来ないな、て思う。そんなこと言うと、お試しでのお付き合いが大和である必要かどうか議論に戻ってしまうから、もう考えないことにするけれど。
「じゃあね」
千尋が別れの言葉を言ったところで、カバンの中のスマホが音を立てた。
目の前の男は少し笑って、千尋に背中を向けた。彼氏からのメールだと思ったのかもしれない。千尋は、大和からの着信だけ違うメロディにしているわけでもないから、今受信したメールが誰からかなんて、千尋にだって分からないのに。
「ホラ、ハルちゃんだし」
それでも念のためにスマホを確認すれば、メールを送って来たのは遥希だった。
しかもどうやら内容は、先に送ったメールの続きのようで、『さっきのなんだけど、』という書き出しで始まっている。
「いや、さっきのとか分かんねぇし」
仕事中に受信していた遥希からのメールは、先ほど適当に無視したばかりだ。
仕方がないので、遥希から来ているメールを全部見るとするか。
「………………」
相変わらず、千尋のスマホの受信メールは遥希で埋め尽くされている。
千尋の友人たちは、千尋がメールとかに関して不精なことを知っているから、それこそ本当に必要なことしか送って来ないのだが、親友と言っても過言ではない遥希だけは、それが分かっていないのか、連日、メールを送ってくれる。
これでいて、恋人である琉へのメールは遠慮がちだと言うのだから、まったく意味が分からない。聞くところによると琉もメールとか好きらしいから、そんな遠慮いらないだろうに。
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「えっ…」
その人が、今を時めくアイドル、FATEの一ノ瀬大和であることは、どうやら気付かれていないようだけれど、代わりに千尋の彼氏であるとは思われているようだ。
じゃあ千尋は、彼氏がいるのに合コンに参加した人だと思われているということ?
「いや…、彼氏とケンカして、その腹いせで合コンに参加したんじゃないか…て、千尋くんが帰った後、話してた」
「………………」
千尋は、千尋と大和の関係を知っているから、あのときの状況もどういうことなのか分かるけれど、何も知らない人が見たら、確かに意味が分からない。
千尋が合コンから去った後にそんなことを話していたのか! と憤りたくもなるが、そう思われても仕方のない行動をしていたのだ。
ケンカの腹いせに合コン参加するキャラ、と思われたままでいるのは癪に障るが、この彼とももう会うことはないだろうし、わざわざ誤解を解くまでもないだろう。
説明をするのは面倒くさいし、言い訳がましい感じもする。
それに、最終的に話が、あのとき一緒に去った男は誰なのか、ということに及んだら、何となくまずい気もするし。
「じゃあ、またね……て、あ、またねじゃないか。あの、じゃあ…」
「あ、うん」
自分で言った別れの挨拶にも戸惑っている彼に、千尋は思わず吹き出す。
これから彼とご飯に出掛けて、会話を楽しむことは出来ないけれど、心底嫌いになることも出来ないな、て思う。そんなこと言うと、お試しでのお付き合いが大和である必要かどうか議論に戻ってしまうから、もう考えないことにするけれど。
「じゃあね」
千尋が別れの言葉を言ったところで、カバンの中のスマホが音を立てた。
目の前の男は少し笑って、千尋に背中を向けた。彼氏からのメールだと思ったのかもしれない。千尋は、大和からの着信だけ違うメロディにしているわけでもないから、今受信したメールが誰からかなんて、千尋にだって分からないのに。
「ホラ、ハルちゃんだし」
それでも念のためにスマホを確認すれば、メールを送って来たのは遥希だった。
しかもどうやら内容は、先に送ったメールの続きのようで、『さっきのなんだけど、』という書き出しで始まっている。
「いや、さっきのとか分かんねぇし」
仕事中に受信していた遥希からのメールは、先ほど適当に無視したばかりだ。
仕方がないので、遥希から来ているメールを全部見るとするか。
「………………」
相変わらず、千尋のスマホの受信メールは遥希で埋め尽くされている。
千尋の友人たちは、千尋がメールとかに関して不精なことを知っているから、それこそ本当に必要なことしか送って来ないのだが、親友と言っても過言ではない遥希だけは、それが分かっていないのか、連日、メールを送ってくれる。
これでいて、恋人である琉へのメールは遠慮がちだと言うのだから、まったく意味が分からない。聞くところによると琉もメールとか好きらしいから、そんな遠慮いらないだろうに。
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