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恋の女神は微笑まない (52)
2014.06.26 Thu
chihiro
大和と別れた後、仕事に向かった千尋は、大和のことばかり考えて、まったく仕事が手に付かなかった…………などということもなく、いつもどおり、そつなく仕事をこなして1日を終えた。
大和には、メールとかあんまりしない…というか、面倒くさいほうだとは言ったが、返信はしなくとも見ることは見るとも言った手前、メールが来ていないかは確認しておかないと。
「…………。何だ、来てないじゃん」
なのに、大和からは、何のメールもメッセージも来ていなかった。
大和が、毎日でもメールする、みたいなことを言っていたから、てっきり何か来ているのかと思い、せっかくだから、返信をしてみようと考えなかったばかりでもなかったのに。
「ま、いっか」
何も来ていなければ、返事をしようかしまいか、考えなくて済む。
千尋は、受信してた遥希からのメールを適当に無視してスマホをしまうと、店を出た。
「――――千尋、くん?」
「え?」
店を出たところで背後から呼び止められ、千尋は訝しみながら振り返った。
今のところ、千尋の周囲で、千尋のことを『千尋くん』なんて呼び方をする人間はいない。
会ったばかりのころ、琉がそう呼んでいたけれど、琉にとってもその呼び方は微妙なのか、今は名前を呼ばないよう彼が気を付けていることに、千尋は気付いている。
だから、振り返った先にいたのは、やはり琉ではなかった。
「えっと…」
そこにいたのは琉ではなかったが、千尋の知っている男でもなかった。
いや、相手は千尋の名前を呼んだのだから、知らない人間ということはないのだろう。しかも、苗字ではなく、下の名前で呼んだのだ。そこそこ親しい間柄に違いない。
「あー…えっと、覚えてない、かな? 俺のこと」
えっと…と言ったきり、千尋がそのままの表情で固まったことで、今の状況を察したらしい彼は、困ったように頭を掻きながら笑った。
「あー……ははは、えへへ」
相手が笑うので、千尋も笑ってみたが、笑っている場合ではないことは、千尋にも十分分かっている。
「いや、あの、一昨日…」
「一昨日?」
男に言われて、千尋は記憶を巡らせる。
昨日は遥希に家に押し掛けられ、酔い潰れるまで飲んで、一昨日は大和くんともんじゃ………………あ、合コン。
「あぁ、一昨日の!」
「う、うん…」
「合コンの!」
「そう…」
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大和と別れた後、仕事に向かった千尋は、大和のことばかり考えて、まったく仕事が手に付かなかった…………などということもなく、いつもどおり、そつなく仕事をこなして1日を終えた。
大和には、メールとかあんまりしない…というか、面倒くさいほうだとは言ったが、返信はしなくとも見ることは見るとも言った手前、メールが来ていないかは確認しておかないと。
「…………。何だ、来てないじゃん」
なのに、大和からは、何のメールもメッセージも来ていなかった。
大和が、毎日でもメールする、みたいなことを言っていたから、てっきり何か来ているのかと思い、せっかくだから、返信をしてみようと考えなかったばかりでもなかったのに。
「ま、いっか」
何も来ていなければ、返事をしようかしまいか、考えなくて済む。
千尋は、受信してた遥希からのメールを適当に無視してスマホをしまうと、店を出た。
「――――千尋、くん?」
「え?」
店を出たところで背後から呼び止められ、千尋は訝しみながら振り返った。
今のところ、千尋の周囲で、千尋のことを『千尋くん』なんて呼び方をする人間はいない。
会ったばかりのころ、琉がそう呼んでいたけれど、琉にとってもその呼び方は微妙なのか、今は名前を呼ばないよう彼が気を付けていることに、千尋は気付いている。
だから、振り返った先にいたのは、やはり琉ではなかった。
「えっと…」
そこにいたのは琉ではなかったが、千尋の知っている男でもなかった。
いや、相手は千尋の名前を呼んだのだから、知らない人間ということはないのだろう。しかも、苗字ではなく、下の名前で呼んだのだ。そこそこ親しい間柄に違いない。
「あー…えっと、覚えてない、かな? 俺のこと」
えっと…と言ったきり、千尋がそのままの表情で固まったことで、今の状況を察したらしい彼は、困ったように頭を掻きながら笑った。
「あー……ははは、えへへ」
相手が笑うので、千尋も笑ってみたが、笑っている場合ではないことは、千尋にも十分分かっている。
「いや、あの、一昨日…」
「一昨日?」
男に言われて、千尋は記憶を巡らせる。
昨日は遥希に家に押し掛けられ、酔い潰れるまで飲んで、一昨日は大和くんともんじゃ………………あ、合コン。
「あぁ、一昨日の!」
「う、うん…」
「合コンの!」
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