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恋の女神は微笑まない (53)
2014.06.27 Fri
あの合コン、すっごくつまらなかったから、すっかり忘れていたけれど、千尋は大和ともんじゃ焼きを食べに行く前、合コンに参加してたんだっけ。
でも、今目の前にいる彼が、その合コンの場にいたのかは、ゴメンなさい、全然記憶にない。
「で?」
「え?」
「あ、いや、何でここが分かったのかな、と」
何の用事があるのか知らないが、わざわざ来てくれた人に対して、『で?』はなかった。名前もろくに覚えていない上に、『で?』はない。
千尋はごまかしついでに、生じた疑問を投げ掛けた。
「あのとき、自己紹介で言ってたから…」
「あ、そっか。そうだっけ?」
なるほど、自分で言っていたのか。すっかり忘れていた。
そして、会話が止まる。千尋にしたら、また『で?』と言ってしまいたくなる状況だ。
「えっと…………何か用?」
ちょっと言い方が悪かったかもしれないけれど、きっと何か千尋に用事があって彼もここまで来ただろうに、なかなか話を切り出さないから、直球で聞いてみる。
千尋はしつこいのも嫌いだが、まどろっこしいのも嫌いなので。
「いや、その…」
「何?」
「千尋…くん、途中で帰っちゃったじゃんか?」
「あぁ、うん。ゴメンね。え? お金足んなかった?」
確かあのとき千尋は1万円札を置いていった気がしたけれど、それでも足らなかったんだろうか。
合コンだろうと、ただの飲み会だろうと、1人当たり1万円以上もの会費を払うはめになったことなんか、未だかつてなかったけれど。
「そうじゃない、そんなことないよ。そうじゃなくて…」
「じゃあ?」
何とも煮え切らない態度の男に、千尋は先を促す。
これで相手が遥希だったら、『もぉ~何っ!?』と大きな声を出しているところだが、千尋にとっては初対面も同然の男に対して、さすがにそれは出来ない。
「その…、あのときはあんまり喋れなかったし…」
「うん」
「だから、その、もうちょっと喋りたいな、ていうか…、また会いたかった、ていうか…」
「………………」
自分でその自覚はないが、周囲に言わせるところ、千尋は自分のことに関してわりと鈍感らしいのだが、その千尋を以ってしても、今彼の言わんとすることは分かった。
どうやら千尋は、あのつまらなかった合コンで、今目の前にいる彼に気に入られたらしい。
正味1時間もいなかったであろう合コンで、しかも彼と直接喋った記憶もない相手に好意を持たれるなんて、千尋も結構モテるんだ。
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でも、今目の前にいる彼が、その合コンの場にいたのかは、ゴメンなさい、全然記憶にない。
「で?」
「え?」
「あ、いや、何でここが分かったのかな、と」
何の用事があるのか知らないが、わざわざ来てくれた人に対して、『で?』はなかった。名前もろくに覚えていない上に、『で?』はない。
千尋はごまかしついでに、生じた疑問を投げ掛けた。
「あのとき、自己紹介で言ってたから…」
「あ、そっか。そうだっけ?」
なるほど、自分で言っていたのか。すっかり忘れていた。
そして、会話が止まる。千尋にしたら、また『で?』と言ってしまいたくなる状況だ。
「えっと…………何か用?」
ちょっと言い方が悪かったかもしれないけれど、きっと何か千尋に用事があって彼もここまで来ただろうに、なかなか話を切り出さないから、直球で聞いてみる。
千尋はしつこいのも嫌いだが、まどろっこしいのも嫌いなので。
「いや、その…」
「何?」
「千尋…くん、途中で帰っちゃったじゃんか?」
「あぁ、うん。ゴメンね。え? お金足んなかった?」
確かあのとき千尋は1万円札を置いていった気がしたけれど、それでも足らなかったんだろうか。
合コンだろうと、ただの飲み会だろうと、1人当たり1万円以上もの会費を払うはめになったことなんか、未だかつてなかったけれど。
「そうじゃない、そんなことないよ。そうじゃなくて…」
「じゃあ?」
何とも煮え切らない態度の男に、千尋は先を促す。
これで相手が遥希だったら、『もぉ~何っ!?』と大きな声を出しているところだが、千尋にとっては初対面も同然の男に対して、さすがにそれは出来ない。
「その…、あのときはあんまり喋れなかったし…」
「うん」
「だから、その、もうちょっと喋りたいな、ていうか…、また会いたかった、ていうか…」
「………………」
自分でその自覚はないが、周囲に言わせるところ、千尋は自分のことに関してわりと鈍感らしいのだが、その千尋を以ってしても、今彼の言わんとすることは分かった。
どうやら千尋は、あのつまらなかった合コンで、今目の前にいる彼に気に入られたらしい。
正味1時間もいなかったであろう合コンで、しかも彼と直接喋った記憶もない相手に好意を持たれるなんて、千尋も結構モテるんだ。
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