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恋の女神は微笑まない (51)
2014.06.25 Wed
「まぁあの…………大丈夫。大和くんが帰ったらお風呂入るから。そこで…」
「…言わなくていいから」
千尋がどんなセリフを続けたいのかが分かって、大和はそれを止めた。
別にそんなことを恥ずかしがるほどかまととぶるつもりはないが、わざわざ言ってもらうようなことでもない。千尋のそういう行動を知って、喜ぶような性癖はないのだ。
大和はもっと千尋のことを抱き締めていたかったけれど、本当に時間もなくなるし、名残惜しいと思いながらも腕を解いた。
「ふぅ…」
すると千尋は、ホッとしたように息を吐き、わざわざスウェットの中を確認している。
わざとやっているのか、天然の行動なのか分かりかねるが…。
「ちなみにちーちゃん。…キスは?」
「ぅん?」
「お試しの恋人は、バイバイのキスをしたらダメでしょうか?」
「えっ……」
自身の下の状況を確認し終えた千尋は、どういうわけかTシャツとパーカーの裾をスウェットの中にしまい込んだが、その後の大和の質問が意外だったのか、一瞬ポカンとなった後、何度か瞬きをした。
「ダメ?」
「は? べ別にキスくらいあれだけど? だってホラ、恋人同士だし?」
「…何でそんなキョドってんの?」
「キョドってねぇし。つか、いや、だから、キスくらい別にいいけど、でも俺たちお試しじゃん? 何かそんな、俺、誰とでも簡単にキスとかそういうのするキャラと思われるのも癪ていうか、」
要は、純情キャラを気取りたいわけではないが、軽い子だとも思われたくないらしい。
お試しの恋人という位置付けは、何かと難しい。
「だから別に、大和くんがキスしたいて言うなら…………ちょっ」
確実に狼狽えているにもかかわらず、何でもないふりをしている千尋をかわいいと思いつつ、大和は千尋の手を引いて、そしてキスをした――――その頬に。
「にゃ、に…」
「唇にするのは、ホントの恋人になってからのほうがいいかな、て思って」
「ッ…」
千尋から離れた大和が笑顔を向けると、千尋は言葉を詰まらせたが、1, 2秒の後、ゆっくりとその左手を上に上げた。入れていた袖から出された手は、こぶし。
まさかとは思うが、殴られる?
「ま…まぁ、いい心掛けなんじゃない?」
しかし、そのこぶしは大和のほうに飛んで来ることはなく、キスされた自分の頬にグリグリとこぶしを押し付けられた。
それこそまさかとは思うが、頬にキスされて、照れているんだろうか。まぁ確かに、少女漫画ならまだしも、現実社会で頬にキスて、なかなか経験し得ないことだから。
「じゃ、またね。ちーちゃん」
「…………」
唇を突き出したような、何とも言えない表情をする千尋は、『バイバイ』とも『またね』とも言ってくれなかったが、萌え袖の手をプラプラと振って、一応それっぽい挨拶を返してくれたので、そこまで機嫌を損ねたわけではないということにして、大和は千尋の部屋を出た。
とりあえず、酔い潰れた千尋をベッドまで運んだ後、実はこっそりキスをしてしまったことは、絶対に隠し通さなければならないだろう。
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「…言わなくていいから」
千尋がどんなセリフを続けたいのかが分かって、大和はそれを止めた。
別にそんなことを恥ずかしがるほどかまととぶるつもりはないが、わざわざ言ってもらうようなことでもない。千尋のそういう行動を知って、喜ぶような性癖はないのだ。
大和はもっと千尋のことを抱き締めていたかったけれど、本当に時間もなくなるし、名残惜しいと思いながらも腕を解いた。
「ふぅ…」
すると千尋は、ホッとしたように息を吐き、わざわざスウェットの中を確認している。
わざとやっているのか、天然の行動なのか分かりかねるが…。
「ちなみにちーちゃん。…キスは?」
「ぅん?」
「お試しの恋人は、バイバイのキスをしたらダメでしょうか?」
「えっ……」
自身の下の状況を確認し終えた千尋は、どういうわけかTシャツとパーカーの裾をスウェットの中にしまい込んだが、その後の大和の質問が意外だったのか、一瞬ポカンとなった後、何度か瞬きをした。
「ダメ?」
「は? べ別にキスくらいあれだけど? だってホラ、恋人同士だし?」
「…何でそんなキョドってんの?」
「キョドってねぇし。つか、いや、だから、キスくらい別にいいけど、でも俺たちお試しじゃん? 何かそんな、俺、誰とでも簡単にキスとかそういうのするキャラと思われるのも癪ていうか、」
要は、純情キャラを気取りたいわけではないが、軽い子だとも思われたくないらしい。
お試しの恋人という位置付けは、何かと難しい。
「だから別に、大和くんがキスしたいて言うなら…………ちょっ」
確実に狼狽えているにもかかわらず、何でもないふりをしている千尋をかわいいと思いつつ、大和は千尋の手を引いて、そしてキスをした――――その頬に。
「にゃ、に…」
「唇にするのは、ホントの恋人になってからのほうがいいかな、て思って」
「ッ…」
千尋から離れた大和が笑顔を向けると、千尋は言葉を詰まらせたが、1, 2秒の後、ゆっくりとその左手を上に上げた。入れていた袖から出された手は、こぶし。
まさかとは思うが、殴られる?
「ま…まぁ、いい心掛けなんじゃない?」
しかし、そのこぶしは大和のほうに飛んで来ることはなく、キスされた自分の頬にグリグリとこぶしを押し付けられた。
それこそまさかとは思うが、頬にキスされて、照れているんだろうか。まぁ確かに、少女漫画ならまだしも、現実社会で頬にキスて、なかなか経験し得ないことだから。
「じゃ、またね。ちーちゃん」
「…………」
唇を突き出したような、何とも言えない表情をする千尋は、『バイバイ』とも『またね』とも言ってくれなかったが、萌え袖の手をプラプラと振って、一応それっぽい挨拶を返してくれたので、そこまで機嫌を損ねたわけではないということにして、大和は千尋の部屋を出た。
とりあえず、酔い潰れた千尋をベッドまで運んだ後、実はこっそりキスをしてしまったことは、絶対に隠し通さなければならないだろう。
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