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恋の女神は微笑まない (31)
2014.06.05 Thu
「…ぅ?」
千尋が、やっぱメールはいいや、とスマホをカバンにしまおうとしたところで、再び着信があって、まさか大和か? と思ったら、遥希だった。
「何? どうしたの、ハルちゃん」
『ちーちゃんのお店の場所が分かんなぁ~いっ!』
「…………」
やっぱり千尋のところに行くのはやめにする、とでも言ってくれるのかと、若干の期待をしつつ出てみれば、そんなことは全然なくて、最初に思ったとおりのセリフを聞かされ、ガックリ来る。
「ハルちゃん、今どこ?」
『駅ー』
「…今行くから、そこから1ミリも動かないでねっ」
大きく溜め息を零して、そう言い捨てると、千尋は電話を切って店を出た。
*****
「あ、ちーちゃ~ん!」
千尋が駅まで行くと、キョロキョロと辺りを見回していたが、その存在に気付いたのか、手を振ってくる。
1ミリも動くなと言った千尋の言葉を忠実に守っているのか、遥希は確かにその場から少しも動かないが、こんな人が大勢いる駅前で、手を振りながら人の名前をそんな大声で呼ばないでほしい。
「ちーちゃん、ちーちゃんっ!」
このまま回れ右をして帰ろうかという思いが頭をよぎるが、遥希は、千尋がまだ遥希に気付いていないとでも思っているのか、さらに名前を連呼してくる。
ダメだ、一刻も早く、遥希を止めないと。
「ちーちゃ…イダッ」
ダッシュで遥希のもとに駆け寄った千尋は、そのまま遥希の頭をベシッと叩いた。
「何すんの、ちーちゃん! 痛いじゃん」
「うるさいっ。ホラ、行くよっ」
「どこ行くのー? 和食? ねぇ、ちーちゃんちの近くのお店にしようよ」
千尋に怒られようが呆れられようが、めげない遥希は素直に千尋の言うことを聞いて、その後を付いてくる。
「俺んちの近く? 何かおいしいトコあったっけ?」
千尋の住んでいる周辺にも、もちろんいくつかの飲食店があり、ときどき千尋も利用しているし、遥希と一緒に行ったこともあるけれど、遥希がそんなに気に入っている店があるとは知らなかった。
「えー? お店、どこにするかはちーちゃんが決めてよぉ。ちーちゃんがご飯て言い出したんだからさぁ」
「は? ハルちゃん、行きたいトコあるんじゃないの?」
「別にどこでもいいよ、俺」
遥希が、千尋の家の近く、と言い出したから、どこか行きたい店があると思ったのに。
あっさりと遥希は言ってくる。
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千尋が、やっぱメールはいいや、とスマホをカバンにしまおうとしたところで、再び着信があって、まさか大和か? と思ったら、遥希だった。
「何? どうしたの、ハルちゃん」
『ちーちゃんのお店の場所が分かんなぁ~いっ!』
「…………」
やっぱり千尋のところに行くのはやめにする、とでも言ってくれるのかと、若干の期待をしつつ出てみれば、そんなことは全然なくて、最初に思ったとおりのセリフを聞かされ、ガックリ来る。
「ハルちゃん、今どこ?」
『駅ー』
「…今行くから、そこから1ミリも動かないでねっ」
大きく溜め息を零して、そう言い捨てると、千尋は電話を切って店を出た。
*****
「あ、ちーちゃ~ん!」
千尋が駅まで行くと、キョロキョロと辺りを見回していたが、その存在に気付いたのか、手を振ってくる。
1ミリも動くなと言った千尋の言葉を忠実に守っているのか、遥希は確かにその場から少しも動かないが、こんな人が大勢いる駅前で、手を振りながら人の名前をそんな大声で呼ばないでほしい。
「ちーちゃん、ちーちゃんっ!」
このまま回れ右をして帰ろうかという思いが頭をよぎるが、遥希は、千尋がまだ遥希に気付いていないとでも思っているのか、さらに名前を連呼してくる。
ダメだ、一刻も早く、遥希を止めないと。
「ちーちゃ…イダッ」
ダッシュで遥希のもとに駆け寄った千尋は、そのまま遥希の頭をベシッと叩いた。
「何すんの、ちーちゃん! 痛いじゃん」
「うるさいっ。ホラ、行くよっ」
「どこ行くのー? 和食? ねぇ、ちーちゃんちの近くのお店にしようよ」
千尋に怒られようが呆れられようが、めげない遥希は素直に千尋の言うことを聞いて、その後を付いてくる。
「俺んちの近く? 何かおいしいトコあったっけ?」
千尋の住んでいる周辺にも、もちろんいくつかの飲食店があり、ときどき千尋も利用しているし、遥希と一緒に行ったこともあるけれど、遥希がそんなに気に入っている店があるとは知らなかった。
「えー? お店、どこにするかはちーちゃんが決めてよぉ。ちーちゃんがご飯て言い出したんだからさぁ」
「は? ハルちゃん、行きたいトコあるんじゃないの?」
「別にどこでもいいよ、俺」
遥希が、千尋の家の近く、と言い出したから、どこか行きたい店があると思ったのに。
あっさりと遥希は言ってくる。
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