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恋の女神は微笑まない (28)
2014.06.02 Mon
恋人としてお付き合いを始めるタイミングと、今腹が減っているのと、一体何の関係があるというのだろう。
しかし千尋は、大和と付き合うのが嫌で嫌でしょうがないから、少しでも先延ばししたいと思っている、という様子でもない。
「ちーちゃん、お腹空いてるなら、何か食べに行こうよ。それは別に、お付き合いしてたって、出来るでしょ?」
「だって俺、もんじゃ食いたいんだもん、今」
「え…………ゴメン、…だから?」
千尋が今お腹が空いていて、何か食べたいものがあるというなら、喜んでそれに付き合うつもりだけれど、どうして千尋はそれをそんなに悩んでいるのだろう。
そのくらいの些細なわがままを聞けないほど、大和は心狭くないのに。
「いや、だってさ、恋人と初めてメシ食いに行くの、もんじゃとか、なくない? 普通、何かおしゃれなお店とか行くもんじゃん?」
大和がよほど不思議そうにしていたのに気付いたのか、千尋は説明を続けた。
親友である遥希がわりと夢見がちで、ロマンチックな雰囲気とかが好きなのに対して、千尋はそういうの、あんまり興味なさそうだったのに、気にするんだ。
というか、お試しにもかかわらず、大和とのお付き合いで、そういうこと、気に掛けてくれるんだ…。
「おしゃれなお店は、また今度にとっとけばいいんじゃない? もんじゃ行こうよ、俺もお腹空いた」
「ホントに? 大和くんももんじゃでいいの? ヤッタ!」
大和も、千尋のところに行く前は、ご飯の食べれるお店にいたのだが、結局何も一口も食べないまま、その店を飛び出してしまったので、お腹は空いているのだ。
だから、しゃれた店で気取って食事をするよりは、もんじゃのほうが嬉しいかもしれない。
大体、このお試しでのお付き合いは、千尋に大和のいいところとか好きなところを知ってもらう名目なんだから、気取ったり飾ったりすることはないと思う。
もしそういうことで、千尋が大和に抱く感情がよくないほうに向かったとしても、大和にとっては悲しいことだけれど、それは仕方がないことだ。
「俺ね、明太子もちと、チーズのヤツと、海鮮ね!」
「えっ!? ちーちゃん、何今注文してんの? そんなの俺に言われても…。大体、お店にそのメニューあるかどうか分かんないじゃん。しかも3つとか!」
「ヤダ、それ食う。絶対だかんね!」
「ちょっ…!」
お試しとはいえ、千尋と付き合えることになって、浮かれていたのも束の間。
大和は、かわいい王子様(女王様!?)のご所望の品に、慌てふためく。
――――ねぇ、そのメニューのあるお店を探し出せなかったからって、やっぱ付き合わない、とかないよね!?
焦る大和と、不敵に笑う千尋を乗せた車が、夜の街を疾走する。
やはり千尋は、一筋縄では行かないようだ。
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しかし千尋は、大和と付き合うのが嫌で嫌でしょうがないから、少しでも先延ばししたいと思っている、という様子でもない。
「ちーちゃん、お腹空いてるなら、何か食べに行こうよ。それは別に、お付き合いしてたって、出来るでしょ?」
「だって俺、もんじゃ食いたいんだもん、今」
「え…………ゴメン、…だから?」
千尋が今お腹が空いていて、何か食べたいものがあるというなら、喜んでそれに付き合うつもりだけれど、どうして千尋はそれをそんなに悩んでいるのだろう。
そのくらいの些細なわがままを聞けないほど、大和は心狭くないのに。
「いや、だってさ、恋人と初めてメシ食いに行くの、もんじゃとか、なくない? 普通、何かおしゃれなお店とか行くもんじゃん?」
大和がよほど不思議そうにしていたのに気付いたのか、千尋は説明を続けた。
親友である遥希がわりと夢見がちで、ロマンチックな雰囲気とかが好きなのに対して、千尋はそういうの、あんまり興味なさそうだったのに、気にするんだ。
というか、お試しにもかかわらず、大和とのお付き合いで、そういうこと、気に掛けてくれるんだ…。
「おしゃれなお店は、また今度にとっとけばいいんじゃない? もんじゃ行こうよ、俺もお腹空いた」
「ホントに? 大和くんももんじゃでいいの? ヤッタ!」
大和も、千尋のところに行く前は、ご飯の食べれるお店にいたのだが、結局何も一口も食べないまま、その店を飛び出してしまったので、お腹は空いているのだ。
だから、しゃれた店で気取って食事をするよりは、もんじゃのほうが嬉しいかもしれない。
大体、このお試しでのお付き合いは、千尋に大和のいいところとか好きなところを知ってもらう名目なんだから、気取ったり飾ったりすることはないと思う。
もしそういうことで、千尋が大和に抱く感情がよくないほうに向かったとしても、大和にとっては悲しいことだけれど、それは仕方がないことだ。
「俺ね、明太子もちと、チーズのヤツと、海鮮ね!」
「えっ!? ちーちゃん、何今注文してんの? そんなの俺に言われても…。大体、お店にそのメニューあるかどうか分かんないじゃん。しかも3つとか!」
「ヤダ、それ食う。絶対だかんね!」
「ちょっ…!」
お試しとはいえ、千尋と付き合えることになって、浮かれていたのも束の間。
大和は、かわいい王子様(女王様!?)のご所望の品に、慌てふためく。
――――ねぇ、そのメニューのあるお店を探し出せなかったからって、やっぱ付き合わない、とかないよね!?
焦る大和と、不敵に笑う千尋を乗せた車が、夜の街を疾走する。
やはり千尋は、一筋縄では行かないようだ。
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