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恋の女神は微笑まない (24)
2014.05.29 Thu
後に続く言葉に気が付いて、先に大和が言ってやれば、図星を指されたことに驚いたのか、千尋は目を見開いた。
大人びていた表情が和らいで、それがすごくかわいいと思う。
「ハルちゃんが言ってた」
「…ハルちゃんのお喋り!」
大和のことは、付き合うほどじゃない、というのは、間違いなく千尋の本心ではあるだろうけど、それを大和自身に伝えるつもりはなかったのだろう。
照れたような、拗ねたような表情で、千尋は顔を背けた。
「でも、困ったな」
「…何が?」
「俺、ちーちゃんに告ったら、OK貰って付き合えるか、フラれて決別することしか考えてなかったからさ。嫌いじゃないけど、付き合うほどじゃない、て言われたら、どうしたらいいか分かんない」
大和の『好き』が、恋愛感情の『好き』なのに対して、千尋のは友だちとしての『好き』だということ。
こんな擦れ違いの想い、別に大和と千尋だけに特別なことじゃないけれど。
「そんなの、じゃあ大和くん、俺のこと嫌いになる努力して?」
「どうやって。むちゃくちゃだよ」
「むちゃくちゃじゃないよ。でも、大和くんだけ努力すんのはフェアじゃないから、俺も大和くんのこと、付き合いたいって思えるように努力するね?」
「えー…」
付き合いたいと思えるように努力する、て…………それはそれで、千尋に付き合いたいと思わせるように、大和がすべき努力のような気もするけれど…。
「てか、ちーちゃんが、俺と付き合いたいって思えるようにがんばるなら、俺が無理してちーちゃんのこと嫌いになる必要、なくない?」
「じゃあ大和くんは、俺だけががんばれと?」
「そうじゃなくて。だって、付き合うとか付き合わないとかいう以前に、嫌いになんなきゃいけない意味が分かんないよ。せめて、恋愛感情をなくす努力とかさぁ」
「じゃあ、そうして」
「いや、でも、それはそれで…」
言ってはみたものの、それもどうかと思えてくる。
だって、千尋が大和と付き合う気がないと言うなら、大和はがんばって千尋への想いを捨てなければいけないけれど、その間に千尋は、大和のことを付き合いたいと思えるように努力するわけで…。
じゃあ、千尋が大和と付き合いたいと思ったころに、大和は千尋への恋愛感情を失っていたら、どうするの?
フェアにしたいと言う千尋の気持ちは分かるけれど、その方向性は、何だか違う気がする…。
「ちょうどいいタイミングで、いい感じになるかもしんないじゃん。恋愛なんて、タイミングでしょ? 大和くん」
「いや、そんな名言ぽく言われても」
結局のところ千尋は、大和が望んだように、大和のことをこっ酷く振ってもくれない代わりに、お付き合いしたいと思うほどに好きになってもくれていないわけで。
冷静に考えたら、これだけでも、十分にひどい男だとは思う。
なら、これを切っ掛けに千尋を嫌いになるかといったら、むしろもっと千尋のことを知りたくなっているし、深みにはまっていきそうな予感。
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大人びていた表情が和らいで、それがすごくかわいいと思う。
「ハルちゃんが言ってた」
「…ハルちゃんのお喋り!」
大和のことは、付き合うほどじゃない、というのは、間違いなく千尋の本心ではあるだろうけど、それを大和自身に伝えるつもりはなかったのだろう。
照れたような、拗ねたような表情で、千尋は顔を背けた。
「でも、困ったな」
「…何が?」
「俺、ちーちゃんに告ったら、OK貰って付き合えるか、フラれて決別することしか考えてなかったからさ。嫌いじゃないけど、付き合うほどじゃない、て言われたら、どうしたらいいか分かんない」
大和の『好き』が、恋愛感情の『好き』なのに対して、千尋のは友だちとしての『好き』だということ。
こんな擦れ違いの想い、別に大和と千尋だけに特別なことじゃないけれど。
「そんなの、じゃあ大和くん、俺のこと嫌いになる努力して?」
「どうやって。むちゃくちゃだよ」
「むちゃくちゃじゃないよ。でも、大和くんだけ努力すんのはフェアじゃないから、俺も大和くんのこと、付き合いたいって思えるように努力するね?」
「えー…」
付き合いたいと思えるように努力する、て…………それはそれで、千尋に付き合いたいと思わせるように、大和がすべき努力のような気もするけれど…。
「てか、ちーちゃんが、俺と付き合いたいって思えるようにがんばるなら、俺が無理してちーちゃんのこと嫌いになる必要、なくない?」
「じゃあ大和くんは、俺だけががんばれと?」
「そうじゃなくて。だって、付き合うとか付き合わないとかいう以前に、嫌いになんなきゃいけない意味が分かんないよ。せめて、恋愛感情をなくす努力とかさぁ」
「じゃあ、そうして」
「いや、でも、それはそれで…」
言ってはみたものの、それもどうかと思えてくる。
だって、千尋が大和と付き合う気がないと言うなら、大和はがんばって千尋への想いを捨てなければいけないけれど、その間に千尋は、大和のことを付き合いたいと思えるように努力するわけで…。
じゃあ、千尋が大和と付き合いたいと思ったころに、大和は千尋への恋愛感情を失っていたら、どうするの?
フェアにしたいと言う千尋の気持ちは分かるけれど、その方向性は、何だか違う気がする…。
「ちょうどいいタイミングで、いい感じになるかもしんないじゃん。恋愛なんて、タイミングでしょ? 大和くん」
「いや、そんな名言ぽく言われても」
結局のところ千尋は、大和が望んだように、大和のことをこっ酷く振ってもくれない代わりに、お付き合いしたいと思うほどに好きになってもくれていないわけで。
冷静に考えたら、これだけでも、十分にひどい男だとは思う。
なら、これを切っ掛けに千尋を嫌いになるかといったら、むしろもっと千尋のことを知りたくなっているし、深みにはまっていきそうな予感。
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