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1. 気持ちイイコト、しようよ
2008.08.16 Sat
「いーしだくーん、かーえーろ!」
教室の入り口、教科書なんか殆ど入っていないカバンを抱えて、小学生のような口調で声を上げたのは、隣のクラスの幼馴染み、水瀬。
その声にギョッとして、石田は慌てて席を立った。
「水瀬、声デカイから!」
「だって石田遅いんだもん」
遅いとは言っても、ホームルームが終わる時間はどのクラスも大体一緒で、その後、石田が特別ダラダラしていたわけでもなく。
はっきり言って、石田が遅いなんてことは、少しもないのだけれど。
「帰り、マック寄ってこーね、石田の奢りで」
「…はい」
ニッコリと、けれど有無を言わせない笑顔でそう言う水瀬に、石田は素直に頷くしかない。
その相変わらずの光景に、クラスメイトたちは苦笑いをしているが、昔からのこのパワーバランスを、石田は高校に入ってからも覆すことが出来ないでいた。
*****
「あ、水瀬、英語の小テスト、どうだった?」
「むぐ?」
約束どおり(というか、一方的な水瀬の決定により)、石田の奢りのハンバーガーを頬張っていた水瀬は、向かいの席でシェイクを飲んでいた石田の言葉に、キョトンとした顔で視線を向けた。
「え、水瀬のクラス、なかったの? 英語の小テスト」
「……あった」
クラスは違うが、どちらのクラスの英語も、栗原が受け持っている。今日の授業で小テストを受けた石田は、英語が死ぬほど苦手な幼馴染みをつい気に掛け、何となく聞いてみたのだ。
だが、『どうだった?』という問いは明らかに愚問で、水瀬の表情を見れば、その結果は聞くまでもないことだった。
「あぅー…英語嫌い、栗原嫌い…」
「お前の英語嫌いは栗原のせいじゃねぇだろ。大体、補習まで受けたのに、何でそんななんだよ」
「…………。ほ、しゅー…」
石田の発した『補習』という言葉に、ピタリと水瀬の手が止まった。
英語のテストだけ、あえなく赤点を取ってしまった水瀬は、休み返上で補習に参加したわけで。
けれどその補習は、教室の中だけでは、終わらなかったわけで。
(栗原のヤツ…。でも、気持ち良かったし…。あぅ…)
そんなつもりはないのに、水瀬は、あのとき自分を翻弄した栗原の手を思い出してしまった。
指の感触。
快感。
……顔が熱い。
「水瀬、どうした?」
顔を赤らめ、急に黙り込んでしまった水瀬に、石田は眉を寄せる。
目の前で手を振られ、ようやく水瀬はハッと我に返った。
「は、わ…何でもない…」
自分の意志とは関係なく、熱くなってしまった体を冷ますように、水瀬は石田のシェイクを奪い取って、ゴクゴク飲み干した。
「ちょっ…」
勝手にシェイクまで飲まれてしまった石田は、一瞬慌てたけれど、いつもの気ままな水瀬の行動と受け止め、深くは追求しなかった(こういうところが、いつまで経っても優位に立てない原因だということには、もちろん気が付きもせず)。
(ヤダな―…、俺、こんなとこで発情してるよ…。もぉヤダ…)
快感に弱い、自分の体が憎い。
別に誰かれ構わず抱かれたいわけではないが(もちろん女の子も大好きだし)、けれど、ちょっとタイプだなーなんて思った相手から誘われると、断り切れない自分がいて。
「…石田」
「ん?」
「今日ウチ来て。これから」
「何、英語の勉強する?」
「違ぇよ、バカ! ハゲ!」
会話の流れ的に、石田の言い分は何も間違っていないはずなのに、なぜかひどい言葉で否定されてしまう。
「じゃあ何?」
「今日もウチ、誰もいないの。帰っても」
「うん」
だから何? と、水瀬の言葉の意味を悟らない石田は、首を傾げている。
水瀬は溜め息をついて、シェイクの入っていたカップを握り潰すと、石田に耳を貸すよう手招きする。
「え、何なの、水瀬」
それでも素直に顔を近づけてくる石田。
水瀬はその耳元に口を寄せて。
「帰って、気持ちイイこと、しよ?」
たっぷりと甘みと艶を含んだ声で、そう囁いた。
教室の入り口、教科書なんか殆ど入っていないカバンを抱えて、小学生のような口調で声を上げたのは、隣のクラスの幼馴染み、水瀬。
その声にギョッとして、石田は慌てて席を立った。
「水瀬、声デカイから!」
「だって石田遅いんだもん」
遅いとは言っても、ホームルームが終わる時間はどのクラスも大体一緒で、その後、石田が特別ダラダラしていたわけでもなく。
はっきり言って、石田が遅いなんてことは、少しもないのだけれど。
「帰り、マック寄ってこーね、石田の奢りで」
「…はい」
ニッコリと、けれど有無を言わせない笑顔でそう言う水瀬に、石田は素直に頷くしかない。
その相変わらずの光景に、クラスメイトたちは苦笑いをしているが、昔からのこのパワーバランスを、石田は高校に入ってからも覆すことが出来ないでいた。
*****
「あ、水瀬、英語の小テスト、どうだった?」
「むぐ?」
約束どおり(というか、一方的な水瀬の決定により)、石田の奢りのハンバーガーを頬張っていた水瀬は、向かいの席でシェイクを飲んでいた石田の言葉に、キョトンとした顔で視線を向けた。
「え、水瀬のクラス、なかったの? 英語の小テスト」
「……あった」
クラスは違うが、どちらのクラスの英語も、栗原が受け持っている。今日の授業で小テストを受けた石田は、英語が死ぬほど苦手な幼馴染みをつい気に掛け、何となく聞いてみたのだ。
だが、『どうだった?』という問いは明らかに愚問で、水瀬の表情を見れば、その結果は聞くまでもないことだった。
「あぅー…英語嫌い、栗原嫌い…」
「お前の英語嫌いは栗原のせいじゃねぇだろ。大体、補習まで受けたのに、何でそんななんだよ」
「…………。ほ、しゅー…」
石田の発した『補習』という言葉に、ピタリと水瀬の手が止まった。
英語のテストだけ、あえなく赤点を取ってしまった水瀬は、休み返上で補習に参加したわけで。
けれどその補習は、教室の中だけでは、終わらなかったわけで。
(栗原のヤツ…。でも、気持ち良かったし…。あぅ…)
そんなつもりはないのに、水瀬は、あのとき自分を翻弄した栗原の手を思い出してしまった。
指の感触。
快感。
……顔が熱い。
「水瀬、どうした?」
顔を赤らめ、急に黙り込んでしまった水瀬に、石田は眉を寄せる。
目の前で手を振られ、ようやく水瀬はハッと我に返った。
「は、わ…何でもない…」
自分の意志とは関係なく、熱くなってしまった体を冷ますように、水瀬は石田のシェイクを奪い取って、ゴクゴク飲み干した。
「ちょっ…」
勝手にシェイクまで飲まれてしまった石田は、一瞬慌てたけれど、いつもの気ままな水瀬の行動と受け止め、深くは追求しなかった(こういうところが、いつまで経っても優位に立てない原因だということには、もちろん気が付きもせず)。
(ヤダな―…、俺、こんなとこで発情してるよ…。もぉヤダ…)
快感に弱い、自分の体が憎い。
別に誰かれ構わず抱かれたいわけではないが(もちろん女の子も大好きだし)、けれど、ちょっとタイプだなーなんて思った相手から誘われると、断り切れない自分がいて。
「…石田」
「ん?」
「今日ウチ来て。これから」
「何、英語の勉強する?」
「違ぇよ、バカ! ハゲ!」
会話の流れ的に、石田の言い分は何も間違っていないはずなのに、なぜかひどい言葉で否定されてしまう。
「じゃあ何?」
「今日もウチ、誰もいないの。帰っても」
「うん」
だから何? と、水瀬の言葉の意味を悟らない石田は、首を傾げている。
水瀬は溜め息をついて、シェイクの入っていたカップを握り潰すと、石田に耳を貸すよう手招きする。
「え、何なの、水瀬」
それでも素直に顔を近づけてくる石田。
水瀬はその耳元に口を寄せて。
「帰って、気持ちイイこと、しよ?」
たっぷりと甘みと艶を含んだ声で、そう囁いた。
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