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恋の女神は微笑まない (22)
2014.05.27 Tue
「ちっ…」
「うーそ。何ビックリしてんの、大和くん」
「……」
唇が触れるか、という寸前、千尋はプッと吹き出して、シートに体を戻した。
よほど大和が間抜けな顔をしていたのだろう、千尋はグフフといつまでも笑っている。
「…、」
大和は、触れられることのなかった唇を親指の腹でなぞると、笑っている千尋のほうへ手を伸ばす。
突然の行動に驚いたのか、千尋は目を見開いたが、大和はそれを無視して、助手席のシートベルトは引っ張り出すと、千尋の体を固定した。
「な…んだ、キスでもすんのかと思ったのに」
大和が運転席に身を戻すと、動揺を悟られたくないのか、千尋は茶化すようにそう言ったけれど、声が少しだけ上擦ったのに気付いていないとでも思っているのだろうか。
大和は何も言わずにエンジンを掛けて、駐車場を出た。
「で、結局どこ行く気? まさか家まで送ってくれるとか? 悪いけど俺、まだお家に帰るつもりは……」
「ちょっと黙って、ちーちゃん」
「ッ…」
そわそわしい雰囲気を隠し切れずに口数の増えた千尋を、大和は前を見たまま制する。
千尋は唇を噛んで、大和とは反対のほうを向いた。
「…言っとくけど、こんなの、誘拐と一緒だかんね」
先ほどより多少は渋滞の解消された道路で、隣の車線を走る車を眺めながら、千尋がボソリと言った(大和の車は左ハンドルなので、千尋が窓の外の景色を見ると、歩道でなく車道になるのだ)。
サングラスの下で視線だけ千尋のほうに向けると、子どものように片頬を膨らませている。誘拐だなんて、自分から『行こ?』と言って席を立ったくせに。
「別にこのままホテルに連れ込んじゃおうなんて思ってないから、心配しないで。誘拐して強姦じゃ、アイドル続けらんなくなっちゃうよ」
「フン」
千尋はつまらなそうに鼻を鳴らしたけれど、なら、どこに行くつもりなのだ、とは続けなかった。
こんなことをされて、こんなやり取りをして、怒っているのかな、とも思うが、駐車場を出てからもう2度ほど赤信号で停車したのに、その隙に車から降りないところを見れば、そこまででもないのかもしれない。
千尋の座っている助手席が車道側とはいえ、千尋だったら、本当に怒ったり嫌になったりしたら、構わず飛び出しそうだから。
「だったら、アイドルなんか辞めちゃえば?」
「、」
千尋のセリフにドキリとして思わず顔を向けると、それに気付いた千尋が大和のほうを振り返り、ニヤリと口の端を上げた。
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「うーそ。何ビックリしてんの、大和くん」
「……」
唇が触れるか、という寸前、千尋はプッと吹き出して、シートに体を戻した。
よほど大和が間抜けな顔をしていたのだろう、千尋はグフフといつまでも笑っている。
「…、」
大和は、触れられることのなかった唇を親指の腹でなぞると、笑っている千尋のほうへ手を伸ばす。
突然の行動に驚いたのか、千尋は目を見開いたが、大和はそれを無視して、助手席のシートベルトは引っ張り出すと、千尋の体を固定した。
「な…んだ、キスでもすんのかと思ったのに」
大和が運転席に身を戻すと、動揺を悟られたくないのか、千尋は茶化すようにそう言ったけれど、声が少しだけ上擦ったのに気付いていないとでも思っているのだろうか。
大和は何も言わずにエンジンを掛けて、駐車場を出た。
「で、結局どこ行く気? まさか家まで送ってくれるとか? 悪いけど俺、まだお家に帰るつもりは……」
「ちょっと黙って、ちーちゃん」
「ッ…」
そわそわしい雰囲気を隠し切れずに口数の増えた千尋を、大和は前を見たまま制する。
千尋は唇を噛んで、大和とは反対のほうを向いた。
「…言っとくけど、こんなの、誘拐と一緒だかんね」
先ほどより多少は渋滞の解消された道路で、隣の車線を走る車を眺めながら、千尋がボソリと言った(大和の車は左ハンドルなので、千尋が窓の外の景色を見ると、歩道でなく車道になるのだ)。
サングラスの下で視線だけ千尋のほうに向けると、子どものように片頬を膨らませている。誘拐だなんて、自分から『行こ?』と言って席を立ったくせに。
「別にこのままホテルに連れ込んじゃおうなんて思ってないから、心配しないで。誘拐して強姦じゃ、アイドル続けらんなくなっちゃうよ」
「フン」
千尋はつまらなそうに鼻を鳴らしたけれど、なら、どこに行くつもりなのだ、とは続けなかった。
こんなことをされて、こんなやり取りをして、怒っているのかな、とも思うが、駐車場を出てからもう2度ほど赤信号で停車したのに、その隙に車から降りないところを見れば、そこまででもないのかもしれない。
千尋の座っている助手席が車道側とはいえ、千尋だったら、本当に怒ったり嫌になったりしたら、構わず飛び出しそうだから。
「だったら、アイドルなんか辞めちゃえば?」
「、」
千尋のセリフにドキリとして思わず顔を向けると、それに気付いた千尋が大和のほうを振り返り、ニヤリと口の端を上げた。
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