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恋の女神は微笑まない (20)
2014.05.25 Sun
「ちーちゃん、ちょっと来て」
「…何で?」
大和は、思わず千尋の手首を掴んでいた。
合コンの席に突然割り込んできた謎の男に、その場の雰囲気は微妙なものになっていたが、大和が気付かないふりでいれば、千尋はコテンと首を倒した。
ほんのりと顔が赤くなっているけれど、前に見た酔っ払っている姿よりは大丈夫そうだから、まだそこまで飲んではいないのだろうが、その仕草はヤバい。
「ちーちゃ…」
「何か用っすか? てか、どちら様?」
もう一度声を掛けようとした大和の言葉は、千尋の向かいにいた男によって遮られた。
確かに、たまたま知り合いを見つけて声を掛けたというには、2人の様子は妙だし、大体からして今は合コンを楽しんでいる最中だ。勝手な割り込みは、感じが悪い。
しかし、もう今さらだ。
何の用かと尋ねられても、大和は、この合コン自体にも、千尋以外の連中にも、何の用事もない。ただ早く、千尋を連れ去りたいだけ。何という暴挙だ。
それに、さすがにこの場で正体を明かすわけにはいかないことくらい、今の大和にだって分かる。
ゲイが集まる合コンに、FATEの一ノ瀬大和がいきなり現れ、そこに参加していた男の1人を連れて帰ったとなれば、不本意ながら、ゴシップ誌やらワイドショーの格好のネタだ。
「…ねぇ、誰?」
大和が質問に答える気がないのを感じ取ったのか、千尋の隣に座る男が、うろんげに大和を見ながら千尋に尋ねた。
千尋は大和の手を振り解きこそしないものの、その登場を大変喜んでいるとも言い難い雰囲気なので、千尋が大和を突っ撥ねてくれれば、とでも思ったのだろう。
そうすれば、おおっぴらに大和のことを厄介払いできるから。
いくら千尋が、わりと突飛な性格をしているとはいえ、まさか大和の名を口にはしないだろうが、千尋に話を振られて、大和は少し焦る。一体何と答えるのだろうか。
千尋は、ジッと大和を見つめている。
大和は色の濃いサングラスをしているから、目と目が合うなんてこと、千尋にしたらないはずなのに、しっかりと視線を合わせられているような気がする。
そして、フ、とその口元が笑みを作った――――ような気がした。
「俺、行くわ」
「えっ!?」
千尋の言葉に驚きの声を上げたのは、その隣に座る男だったが、声にこそ出さなかったものの、大和も内心、非常に驚いていた。
大和は、千尋を連れて行くためにやって来たわけだけれど、大和が来てからの千尋の態度を見る限り、とてもそんなセリフを言ってくれるなど、思いも寄らなかったのだ。
「え、ちょっ…」
あまりにすべてが突拍子もないことで、みんな文句も不満も言えないでいる。
千尋はいったん大和の手を解くと、財布から出した1万円札を隣の男に押し付けて立ち上がった。
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「…何で?」
大和は、思わず千尋の手首を掴んでいた。
合コンの席に突然割り込んできた謎の男に、その場の雰囲気は微妙なものになっていたが、大和が気付かないふりでいれば、千尋はコテンと首を倒した。
ほんのりと顔が赤くなっているけれど、前に見た酔っ払っている姿よりは大丈夫そうだから、まだそこまで飲んではいないのだろうが、その仕草はヤバい。
「ちーちゃ…」
「何か用っすか? てか、どちら様?」
もう一度声を掛けようとした大和の言葉は、千尋の向かいにいた男によって遮られた。
確かに、たまたま知り合いを見つけて声を掛けたというには、2人の様子は妙だし、大体からして今は合コンを楽しんでいる最中だ。勝手な割り込みは、感じが悪い。
しかし、もう今さらだ。
何の用かと尋ねられても、大和は、この合コン自体にも、千尋以外の連中にも、何の用事もない。ただ早く、千尋を連れ去りたいだけ。何という暴挙だ。
それに、さすがにこの場で正体を明かすわけにはいかないことくらい、今の大和にだって分かる。
ゲイが集まる合コンに、FATEの一ノ瀬大和がいきなり現れ、そこに参加していた男の1人を連れて帰ったとなれば、不本意ながら、ゴシップ誌やらワイドショーの格好のネタだ。
「…ねぇ、誰?」
大和が質問に答える気がないのを感じ取ったのか、千尋の隣に座る男が、うろんげに大和を見ながら千尋に尋ねた。
千尋は大和の手を振り解きこそしないものの、その登場を大変喜んでいるとも言い難い雰囲気なので、千尋が大和を突っ撥ねてくれれば、とでも思ったのだろう。
そうすれば、おおっぴらに大和のことを厄介払いできるから。
いくら千尋が、わりと突飛な性格をしているとはいえ、まさか大和の名を口にはしないだろうが、千尋に話を振られて、大和は少し焦る。一体何と答えるのだろうか。
千尋は、ジッと大和を見つめている。
大和は色の濃いサングラスをしているから、目と目が合うなんてこと、千尋にしたらないはずなのに、しっかりと視線を合わせられているような気がする。
そして、フ、とその口元が笑みを作った――――ような気がした。
「俺、行くわ」
「えっ!?」
千尋の言葉に驚きの声を上げたのは、その隣に座る男だったが、声にこそ出さなかったものの、大和も内心、非常に驚いていた。
大和は、千尋を連れて行くためにやって来たわけだけれど、大和が来てからの千尋の態度を見る限り、とてもそんなセリフを言ってくれるなど、思いも寄らなかったのだ。
「え、ちょっ…」
あまりにすべてが突拍子もないことで、みんな文句も不満も言えないでいる。
千尋はいったん大和の手を解くと、財布から出した1万円札を隣の男に押し付けて立ち上がった。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒ Σ( ̄□ ̄ =)ハッ!これって!
「フ、と 口元が笑みを作った」
私、ちーちゃんの人柄と言うか 性格と言うか 本質を見誤ってたの!?
どうも そんな気がして しょうがないです!( ゚∀゚;)タラー
私の妄想から 推測すると、
長く交付き合っている恋人が 中々 煮え切らなくて 「プロポーズ」の言葉を いつまで経っても 言ってくれない。
そんな時に 「私、親から お見合い話しを進められて 今度 しようと思うの。。。」
そなん話しを聞かされた恋人が、やっと 決心する。
…な、展開に 激似していませんか!
まぁ 違ったとしても あの様子で ここまで 妄想出来る 私の腐脳を褒めてつかぁさいませ。。。。(笑)
アハハハハハ(〃▽〃)。o 0...byebye☆
私、ちーちゃんの人柄と言うか 性格と言うか 本質を見誤ってたの!?
どうも そんな気がして しょうがないです!( ゚∀゚;)タラー
私の妄想から 推測すると、
長く交付き合っている恋人が 中々 煮え切らなくて 「プロポーズ」の言葉を いつまで経っても 言ってくれない。
そんな時に 「私、親から お見合い話しを進められて 今度 しようと思うの。。。」
そなん話しを聞かされた恋人が、やっと 決心する。
…な、展開に 激似していませんか!
まぁ 違ったとしても あの様子で ここまで 妄想出来る 私の腐脳を褒めてつかぁさいませ。。。。(笑)
アハハハハハ(〃▽〃)。o 0...byebye☆
- |2014.05.25
- |Sun
- |12:54
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ちーちゃん、天然なのか、計算ずくなのか……どんどんと謎なお方になっていってますね…(笑)
煮え切らない恋人に、お見合い話をちらつかせて、決心させる……確かにそんな展開っ!!
ただ問題は、ちーちゃんがそこまで考えてるかどうかですが…(^_^;)
けいったんさんの妄想力、すばらしい!
けいったんさんもお話書いてみませんか? …いや、私にネタをこっそり提供してくれませんか? (笑)
コメントありがとうございました!
煮え切らない恋人に、お見合い話をちらつかせて、決心させる……確かにそんな展開っ!!
ただ問題は、ちーちゃんがそこまで考えてるかどうかですが…(^_^;)
けいったんさんの妄想力、すばらしい!
けいったんさんもお話書いてみませんか? …いや、私にネタをこっそり提供してくれませんか? (笑)
コメントありがとうございました!
- |2014.05.25
- |Sun
- |22:22
- |URL
- |EDIT|