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12. 過ぎた事はなくならないのに。 (前編)
2008.07.13 Sun
「俺………………ゲイなんだよね」
「……………………え?」
哲也の声が聞こえなかったわけじゃない。
その言葉の意味が分からなかったわけでもない。
ただ、それが脳に伝わって、それから理解に至るのに時間が掛かっただけで。
「え…………ゲイ?」
念のために問い返したら、哲也はコクリと頷いた。
「そう。女の子よりも、いや女の子はかわいいと思うけど、男のほうが好きなの。引くでしょ?」
「…………あ……いや、引きはしないけど…………正直、ビビった、かな…」
「ハハ、ホントいい奴だね、貴久」
そう言って哲也は自嘲気味に笑ったけど、別に俺だって、哲也に気ぃ遣ってそんなふうに言ったわけじゃないし。
ゲイとかそういうの、別にキモイとは思わないけど、周りにいないから、ビックリしただけで。
こういうのを、カミングアウトって言うのかな?
結構重大な告白をされたのに、意外と冷静でいられるのは、脳がちゃんと理解してないせいなんだろうか。
何から聞いたらいいんだろ。
きっと哲也が、ここを出てくとか出てかないとか、そう言ってたのも、このことに起因するんだろうけど、いったい何をどう聞いたらいいか、分かんない。
そのことを啓ちゃんは知ってんの?
友達のトコ、転々としないといけないのは、やっぱりそのせい?
最初に出てけって言った、この上の階に住んでる元カノって、もしかして彼氏ってこと?
ここ出て行くって言ったんは、ゲイやと俺が気持ち悪がると思ったから?
「聞きたいことあるなら、別に何でも聞いていいよ。他に隠すことも何もないし。それとももう話すのも嫌だって言うなら、すぐに出てくけど」
「いや……ってかお前、自分のこと卑下しすぎだよ。別に引いてない言ってんだろ」
「だって貴久、ノン気だろ? 普通は気持ち悪がるもん。でもまぁ、怒って『出てけー!!』とか怒鳴られなくて良かった」
「怒鳴られたことあんの?」
「あるよ。だって男を恋愛対象として見てんだよ? 別にその人のこと、そういうふうに思ってなくたって、…………なぁ?」
なぁ? って言われて、どう返事をしたらいいのか分からなくて、俺は曖昧に笑って答えた。
「啓ちゃんは知ってんの?」
「うん。でも泊めてくれてる友達とか、知らないヤツもいるから、内緒にしてね? いざってとき、泊まれなかったら困るから」
「そんなの言わねぇよ。第一、お前の他の友達なんか知らねぇし」
でもそっか、啓ちゃんは知ってんだ…………って、あれ? そういえば、あのお好み焼きの日、啓ちゃん、何か言いたそうだったよな。
啓ちゃんは、哲也がゲイやって知ってるわけだろ?
で、俺が哲也を家にずっと住まわしてるって…………もしかして、俺が哲也の性癖を知ったうえで、恋人同士になったとか思ったんじゃないだろうな。
ちょっと待ってよ!
そんなん、別に恋仲でも何でもない女と、勝手に恋人だって思われるのと一緒じゃん! 違う違う! 違いますよっ!!
「貴久?」
「へ!? あー…いや…、何でもない…」
……こともないけど…。
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